【メディア掲載】社会起業家が新公益連盟 分野の枠超え政策提言 社会貢献 顔ぶれ多彩
9/2付け日本経済新聞(夕刊)に、弊協会の代表理事の鵜尾雅隆、事務局長の鴨崎貴泰も役員として参加させていただいている新公益連盟についての記事が掲載されました。
ーー以下、転載です。ーー
社会起業家が新公益連盟 分野の枠超え政策提言 社会貢献 顔ぶれ多彩
子どもや女性の支援、災害復興、地域活性化など社会が抱える課題の最前線で奮闘する、NPOの代表など社会起業家が「新公益連盟」を結成した。分野の枠を超えた政策提言や経営・人材育成のノウハウ共有を狙う。東日本大震災を機に社会貢献への関心は高まった。ただ個々の活動だけで社会を変えるには限界がある。そんな危機感を胸に、志を同じくする人たちが続々と集まった。
中心メンバーは病児・障害児保育などを手掛けるNPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事(36)と震災復興を手助けする一般社団法人RCFの藤沢烈代表理事(40)。新団体では駒崎氏が代表理事、藤沢氏は事務局長に就いた。
今はNPO法人化に向けた準備に入っており、50団体ほどが名を連ねる。社会課題の解決にビジネスの手法を採り入れ、収益を確保しながら活動を長続きさせる「ソーシャルビジネス」に挑むメンバーが目立つ。
きっかけは活動する上で直面する制度の壁や人材・資金不足の解決策。金融機関に放置された休眠預金の活用などアイデアをどう実現させるか。「分野を超えて影響力のある制度について、『こうあるべきだ』と声を上げる存在が必要」(駒崎氏)と実感した。
呼びかけに共感して集った顔ぶれは役員だけみても多彩。メンバー同士の関係も密接だ。
若者の就労支援を手掛けるNPO法人育て上げネットの工藤啓理事長(39)は駒崎氏が「父親の育児休暇取得について相談し合った仲」。大阪府池田市で不登校児らが通う公設民営フリースクールを手掛けるNPO法人トイボックスの白井智子代表理事(43)は東北で被災地の子どもを支援する「ハタチ基金」に駒崎氏らとともに携わってきた。
企業の人材を新興国に送る「留職」を始めたNPO法人クロスフィールズの小沼大地代表理事(34)は藤沢氏と同じく一橋大学出身で、マッキンゼー・アンド・カンパニーに在籍した先輩後輩の間柄。就職相談を受けた藤沢氏は「君はきっと社会起業家の道に来るんだから、まずはマッキンゼーに行って経験を積んだら」と勧めたという。
彼らのような現場での挑戦を後押しする人々も加わった。社会起業家を支援するNPO法人エティックの宮城治男代表理事(44)はそのストイックな仕事ぶりと風貌から「仙人」と呼ばれ、尊敬を集める存在。駒崎氏や小沼氏も宮城氏のもとで事業計画を磨くなど、エティック人脈は広く深く根を張っている。
政策提言のサポート役はNPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会。20年以上の歴史を持ち、1998年のNPO法制定当初から関わってきた市民団体だ。関口宏聡代表理事(32)は「伝統的な市民活動とソーシャルビジネスでは毛色が違うかと思ったが、声が掛かったのはうれしい」と意気込む。
投資や寄付など資金調達面で活動を支える日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆代表理事(47)はメンバーの兄貴分的存在。寄付仲介サイトを運営するジャパンギビングの佐藤大吾代表理事(42)は若くして学生インターンシップ事業を起こしたことでも知られ、藤沢氏とは20年来の付き合いだ。
彼らは面識はあっても何かを一緒にする機会は限られていた。そこで6月に「こころざし合宿」を企画。経営者としての悩みや失敗談を赤裸々に語り合った。出席した若手は「こういう話のできる場は貴重。迷いも軽くなった」。新公益連盟は活動を次世代に継承する役割も担う。
目指すのは行政や企業、住民をも巻き込み、組織や立場の壁を越えて成果を出す「コレクティブ・インパクト」。米国でも最近よく聞くようになった言葉だ。NPOや社会起業家の認知度が高まるなか、内輪のサークル活動に終わらせず、真のインパクトを生み出せるかに注目が集まる。
(地方部 河野俊)