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寄付白書無断転載にかかる原因究明・再発防止委員会からの報告を受けて

2014.07.02

寄付白書無断転載にかかる原因究明・再発防止委員会からの報告を受けて

 
 日本ファンドレイジング協会では、弊協会編集の『寄付白書2011』および『寄付白書2012』の「寄付の国際比較」の箇所において、国立国会図書館発行の「レファレンス」715号(2010年8月号)から、著者名を明示せずに無断転載していた事案について、その原因究明と再発防止のために、「寄付白書無断転載にかかる原因究明・再発防止委員会」(以下「委員会」)に、原因究明と再発防止策の検討をお願いしてまいりました。

 6月12日に委員会から原因調査の結果と再発防止に向けた提言についての報告書を頂きました。樽本哲委員長はじめ委員の方々には、二カ月間にわたり献身的に調査とご検討いただいたことについて、心より感謝いたします。

 報告書をうけて、弊協会理事会では、今後の再発防止策等について議論を重ねてまいりました。別途理事会名文書で対応方針についてご報告させていただきます。

 弊協会は、寄付文化醸成にとって寄付の全体像を明らかにする取り組みは必要不可欠であるとの認識のもと、より慎重かつ適切な管理体制のもとで、『寄付白書』の発行の継続を考えておりますが、委員会からの報告書を真摯に受け止め、とりわけ再発防止に関する提言については、具体的な実行に移してまいります。

平成26年7月2日 
特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会 代表理事 
鵜尾雅隆 

 
 
 

論文剽窃問題に関する報告書(概要)
平成26年6月12日
寄付白書無断転載にかかる原因究明・再発防止委員会

 
 
1 委員会発足の契機となった事案の概要

 特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会編『寄付白書2011』及び『寄付白書2012』に収録された寄付の国際比較の中の各国の寄付税制に関する各記述部分に、国立国会図書館発行の『レファレンス』715号(2010年8月号)に掲載された論文から表現内容の一部改変(パラフレーズ及び数値データのアップデート)を伴う態様での長文無断転載がなされていた事実が、国立国会図書館からの出版社に対する指摘によって発覚した。
 協会は、事実確認を行ったうえで、国立国会図書館にお詫びの書面を提出した。また、寄付白書の発行パートナーに本事案を報告し、ウェブサイト上でも公表した。
 出版社が『寄付白書2010』、『寄付白書2011』及び『寄付白書2012』の絶版対応をしたことを受けて、協会は、出版社に対してこれらの書籍の印税の一部を自主返納し、買取り済みの書籍は廃棄することを決定した。

 
 
2 寄付白書無断転載にかかる原因究明・再発防止委員会の発足

 当委員会は、協会から委嘱を受けた委員3名(外部有識者2名、協会理事1名)によって平成26年4月28日に組織され、同年5月29日までに合計3回の会議を開催し、上記書籍の執筆編集を担当した寄付白書発行研究会及び問題が指摘された記述部分の執筆担当者らからのヒアリング調査などを通じて、この問題の原因究明とともに再発防止策の検討を行い、その結果を論文剽窃問題に関する報告書としてとりまとめた。

 
 
3 論文剽窃がなされた原因

 当委員会は、『寄付白書2011』及び『寄付白書2012』において論文剽窃がなされた原因として、執筆担当者の論文剽窃行為に対する理解の欠如と著しい不注意が認められた一方で、寄付白書発行研究会の体制及び編集姿勢には特段の原因は見当たらないと結論づけた。

 
 
4 再発防止の提言

 今後、寄付白書など協会が主体的に関与する書籍等において同種の問題を生じさせないためには、以下の取り組みが有効である。

 
(1) 寄付白書発行研究会の構成、運営の改善

 研究会に監修者を参加させることが望ましく、適任者が見つからない場合には執筆を担当とせず編集と原稿チェックのみを行う委員を少なくとも1名参加させるべきである。
 執筆者の選定においては原稿の質を担保するために研究や執筆実績を重視し、執筆のテーマ及び執筆範囲の設定にあたっては執筆者の能力・時間的余裕にも配慮した無理のないテーマと執筆範囲の設定を行うべきである。
 執筆要領は策定して配布するだけでなく、研究会開催の都度、繰り返しアナウンスして執筆担当者の注意を喚起するべきである。
 途中原稿を確認できる仕組みを導入するべきである。

 
(2) 契約の改善

 本事案では協会から調査、推計及び執筆等を受託した研究者が、研究会の同意のもとに、執筆業務の一部を他の研究者に再委託していたが、責任の明確化と業務の質の確保の観点からは、執筆担当者と直接契約することが望ましい。

 
(3) 項目ごとの執筆者名の明記

 執筆担当者に自己の執筆範囲について責任意識を持たせるために、執筆項目ごとに執筆担当者の氏名を明記することにより違法行為の抑止に繋げるべきである。

 
(4) 原因者に対する責任追及

 本事案を教訓として同種の問題の再発防止を期するため、原因者に対する責任追及を厳正に行い、論文剽窃ひいては著作権法に違反する行為を容認しない姿勢を内外に示すことも再発防止の観点からは重要である。
以 上

 
 
 
寄付白書無断転載にかかる原因究明・再発防止委員会委員会委員名簿

○委員長
区 分 役職等 氏 名
学識経験者    赤坂シティ法律事務所
パートナー弁護士
○樽本 哲   
学識経験者    ジャーナリスト     上田 敬   
協会理事    日本NPOセンター代表理事 他     早瀬 昇