寄付税制に関する政府の動きについて
寄付税制に関する政府の動きについて
6月9日 日本ファンドレイジング協会
昨年12月12日に発表された自由民主党・公明党が出した「平成26年度税制改正大綱」では、税額控除制度の再検討が打ち出されています。平成23年7月に施行されたNPO法人への新寄付税制では、認定NPO法人への寄付者の所得税に関して、所得控除と税額控除のどちらか有利な方式で税の軽減が受けられるようになり、寄付者が地方税とあわせて寄付金額の最大約50%が控除されるようになりました。それを見直そうという一文が盛り込まれています。
平成26年度 税制改正大綱は下記に掲載されています。
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/zeisei2013/pdf128_1.pdf
※この中の116頁が問題の部分です。
さらに、内閣府の税制調査会の第3回法人課税ディスカッショングループでは、4月14日に政策的に税の特例を認める租税特別措置について、ゼロベースで見直す方向で検討が始まりました。その中で、認定NPO法人の優遇税制の一つである「みなし寄付金制度」も見直しのリストに入れられています。
「みなし寄付金制度」とは、収益事業から得た利益を非収益事業に使用した場合に、この分を寄付金とみなし、一定の範囲で損金に算入できるという制度です。NPOにとっての事業は、ミッションに共感した人たちが購入するサービスや製品によるもので、この制度は「善意の資金循環」を促すものだと思われます。
第3回法人課税ディスカッショングループでは、その見直しの基準として「利用実態が特定の企業に集中しているもの、適用者数が極端に少ないものは、廃止・縮減を検討すべきではないか」という表現がありますが、そもそも事業収入を中心とするNPO法人が認定をとれるようになったのが絶対値基準が導入された平成24年度以降なので、「利用実績が少ない」というには時期尚早です。
第3回法人課税ディスカッショングループ資料一覧は下記に掲載されています。
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion3/2014/26dis33kai.html
※資料一覧の中の「租税特別措置と減価償却制度の論点」の2頁と、「参考資料」の18頁が問題の部分です。
当協会としては、寄付促進は、日本社会の未来にとって必要不可欠な取り組みであり、その推進策の後退ともなる措置については、反対の立場です。上記の動向について、寄付文化の後退を招かぬように、関係機関と連携して各方面への働きかけを行ってまいります。