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最新調査が明かす日本のファンドレイザー事情|資金調達への貢献度、収入見通し、キャリア展望を探る

2024.06.21

報告

日本ファンドレイジング協会が、会員を対象に実施した2024年度のファンドレイジング業務に関する関心および取り組み状況に関するアンケート調査の結果が発表されました。この調査は、ファンドレイザー有資格やファンドレイジング関心層の現状や直面する課題、ニーズを明らかにすることで、時代とともに変化する傾向を捉え、将来を展望することを目的にしています。
 
アンケート結果の全文はこちら

専任で従事している人は1割以下、潜在層のニーズも明らかに
 
この調査は、2024年5月31日から6月7日の8日間にわたり実施され、283件の回答が集まりました​。ファンドレイジング従事者向けには、所属する組織や外部支援者として関わっている組織の資金調達状況や貢献度、収入の状況と今後の見通しについて質問し、昨年度との比較を行いました。

 
さらに、今年度は新たに現時点ではファンドレイジングの実務に関わっていない人も調査対象に含め、今後のファンドレイザーとしてのキャリア選択における障壁や重視する条件などを明らかにしました。この新たな視点が加わることで、ファンドレイジングに関心を持つ人々の多様な意見やニーズが浮き彫りになりました。
 

 
回答者の約半数は非営利組織に所属し、ファンドレイジング業務に専任もしくは兼務で従事しています。ただし、専任のファンドレイザーは1割以下と非常に少ないことが明らかになりました。また、約2割の回答者が外部支援者としてファンドレイジングに関わっているという結果も出ています。
 
多くの組織が、専任のファンドレイザーを確保できていない現状の中で、組織内でファンドレイジングの知識をもったスタッフの育成や、ファンドレイジングに関する外部の専門家や支援者との連携をいかに強化していくかが、組織のファンドレイジングを強化していく上で今後のヒントになるかもしれません。

「寄付・会費」の調達にもっとも貢献、約半数が収入増に期待
 
所属する組織や関わっている組織の資金調達状況について、「寄付・会費」「助成金・補助金」「事業収入」の3つの資金調達源についての貢献度を質問したところ、多くの回答者が「寄付・会費」の資金調達に貢献していると感じていることがわかりました。

 

 
また、ファンドレイザー自身の収入の状況と今後の見通しについての質問に対し、「一年前と比較して“増えている”または“今後は増加すると感じている”」と回答した層が約半数に上りました。これは、ファンドレイザーの収入に対する期待が高まっていることを示していると言えるかもしれません。
 

団体とファンドレイザーのマッチングのニーズが明らかに
 
日本ファンドレイジング協会に期待することを自由記述で質問したところ、89件の回答が寄せられました。これらの回答をカテゴリー分けすると、ファンドレイザーのスキル習得やキャリアの発展へのサポートに対するニーズが高いことが分かりました。また、昨年度の結果と比較すると、今年はファンドレイジングに取り組みたい団体とのマッチングサポートへのニーズが新たに見られました。これは、団体とファンドレイザーの連携強化を求める声が増えていることを示しているかもしれません。

 
さらに、「組織の内外を問わず、信頼と実績のあるファンドレイザーとして、アドバイスを求めたり、業務の一部を依頼したいと思い浮かぶ人はどれくらいいますか?」という質問に対して、約7割が「1人から10人くらい」と回答しています。これは、信頼と実績のあるファンドレイザーが未だ少ないこと、あるいは、それらのスキルや経験の可視化や会員相互のつながりを強化するための土壌作りが必要とされていると言えるかもしれません。

多様なファンドレイザー像、組織内外での多様な役割
 
目指すファンドレイザーのキャリアのイメージに関する質問には、「非営利組織に所属してファンドレイジングを実践するファンドレイザー」と「非営利組織のファンドレイジングに対して外部から支援するファンドレイザー」がおよそ半々という結果になりました。
自由記述で寄せられたその他の回答では、さまざまなファンドレイザーのあり方が示されました。ファンドレイザー像は多種多様であり、ファンドレイジングのスキルが多様なキャリアの可能性につながっていることを明らかにしています。

 

 

(その他の回答より抜粋)
・組織内外のどちらからでも関わることができるファンドレイザー
・ファンドレイザーにこだわらない
・寄附のマーケティング研究者
・経営~調達~評価の支援をワンストップで提供する専門家
・組織に所属しファンドレイジングを統括するファンドレイザー
・団体とファンドレイザーをつなぐコーディネーター
・非営利と営利の両方に所属するファンドレイザー
・ファンドレイジングに限定せず、組織全体に関わる
・非営利組織の経営者としてファンドレイザーの知見を活用する など

 
現時点ではファンドレイジングの実務に従事していない人に求職状況をたずねたところ、約半数が現在ファンドレイジングの仕事を探していないと回答しました。一方で、ボランティアやプロボノでの関わり方を探しているという回答も多く見られました。
 

 
また、ファンドレイザーのキャリア選択において重視する条件について質問したところ、組織の理念への共感に加えて、柔軟な働き方が可能であることが高く評価されました。これは、ファンドレイジングへの関わり方に対するニーズも多様であることを示しています。
 
これらの結果をふまえて、日本ファンドレイジング協会は、団体とファンドレイザーのマッチング支援の強化、信頼と実績のあるファンドレイザーの育成や可視化、そしてより健全な寄付・社会的投資市場の拡大に注力してまいります。本調査結果は、以下のリンクより全文をご覧いただけます。
 
https://jfra.jp/pdf/fundraiser_survey_2024.pdf
 
本調査にご協力いただきました会員の皆様に厚く御礼申し上げますとともに、多くの方々がファンドレイザーの現状や期待される役割に関心を持ち、ともに寄付・社会的投資が進む社会の実現に向けて歩んでいけることを願っています。
 
【本調査に関するお問合せ】
日本ファンドレイジング協会
事務局次長 宮下 真美
お問合せフォーム:https://jfra.jp/contact