【メディア掲載】走って震災遺児支援 根付かせたい寄付文化
2016年1月18付け河北新聞「走って震災遺児支援 根付かせたい寄付文化」に、弊協会代表理事のコメントが掲載されました。
以下、転載です。
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「走って震災遺児支援 根付かせたい寄付文化」
市民ランナー 竹俣 正之(73歳・仙台市泉区)
楽しく走って社会貢献―。
うれしいことがあった。私が呼び掛けている、トレーニングなどで1キロ走るごとに10円をため続け東日本大震災で親を亡くした子らを支援する「走る貯金」が、公益財団法人「地域創造基金さなぶり」(仙台市)から昨年11月末「共感大賞」を頂いた。
こつこつ貯金するという泥くさいやり方だが、遺児らに寄り添う気持ちを忘れないためだ。こんな小さい活動にまぶしいほどの大きな光が当てられ、驚いた。多くの賛同者のおかげだ。ありがとう。
「さなぶり」は被災地支援などの調整役を担い、寄付金の仲介、資金の提供などを行っている。12月の寄付月間に合わせて、寄付者、寄付を受けた側、寄付への思いの3部門のエピソードを募集していた。
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大震災から間もなく5年になる。被災地支援を行っている現地のNPO関係者が一番心配しているのが「風化」だ。発生直後からみると支援の寄付は激減し、先行きの運営に不安の声も上がっている。社会に貢献したいという人が7割以上もいるといわれながら、日本の寄付事情はかなり寂しい。
英国のチャリティー団体CAFがまとめた世界の寄付ランキング(昨年11月発表)によると、145カ国のうち日本は総合指数102位。前年90位より順位を下げた。特に「知らない人への寄付」は最下位に近い。
宗教的な背景が希薄、税制の違い、寄付の使い道の不透明感など理由はいろいろある。「走る貯金」に対しても、「何て奇特なこと」と変に見る人も少なくない。こうしたことから寄付への理解を深めるため、企業やNPOらの呼び掛けで歳末助け合いが行われる12月を寄付月間と設定し、各地でイベントなどが行われた。
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「走る貯金」はランニングと貯金(寄付)の組み合わせだ。70歳を超し年金生活のわが身には、大金をぽんと出す余裕はない。だが、走るたびに少しずつの貯金ならできる。ペットボトルに10円玉でためていくと、増えていくのが目に見え、ますますやる気が出てくる。気持ちが前向きになって、走力も確実につく。この好循環が楽しみながらの寄付となり、長く続いてきた秘訣(ひけつ)だろう。
毎年5月に開かれる仙台国際ハーフマラソン大会が「走る貯金」の満期日。ことしが5回目になる。私の貯金額は、年間走行距離が約1000キロなのでほぼ1万円前後。この金額で晴れの大賞を頂くなんて実のところ恥ずかしいが、日本ファンドレイジング協会の鵜尾(うお)雅隆代表理事は、表彰式の席で「スポーツは寄付文化を根付かせる大きな力になる」と話された。意を強くしている。
仙台ハーフを完走し、被災者のためにさらに頑張ろう。5月7日の大会前日と8日の当日は、各会場にブースを設けて、賛同者の貯金を預かるとともに被災者支援の募金も呼び掛ける。あらためてご支援をお願いしたい。預かったお金は全額、仙台市の「絆・寄付」に寄託する。