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日本の寄付研究アーカイブ

日本の寄付研究アーカイブ

アーカイブの設置趣旨・目的

日本ファンドレイジング協会では、2010年日本で初の『寄付白書』を発行して以来、毎年(2013年以降は隔年)、日本の寄付市場を明らかにするために本書を発行して参りました。2017年版からは、特に寄付に関する研究成果の収集と紹介にも力を入れ、ファンドレイジングの実務に研究成果を活かしてもらえるような取り組みもして参りました。

この度、このような取組みを更に進め、紙面上では限られていた研究成果の紹介をオンライン上で行いたいという趣旨から、本アーカイブを設置するに到りました。本アーカイブでは、寄付に関連するトピックに関するテーマで研究発表された論文を紹介し、ファンドレイザーなど実務家にとっては研究成果を実務に活用できるように、また研究者にとっては研究成果の実務家へのアピールの場として活用してもらうことを目的として設置いたしました。本アーカイブを活用し活発な研究と実務の交流が進むことを期待しています。

論文選定について

本アーカイブに掲載した論文の選定は、日本ファンドレイジング協会が、アカデミックアドバイザーからの専門的知見の提供とアドバイスを受けて行いました。論文選定については、研究水準、実務への応用可能性などいくつかの観点から行いましたが、必ずしも全体を反映しているものではない点をご了承ください。本アーカイブで紹介しております研究論文の執筆者の皆様には、掲載に関しまして可能な限り事前に趣旨及び目的にご説明をさせて頂いておりますが、連絡先不明などの理由によりご連絡ができていない場合もございます。掲載につきまして何かありましたら、下記までご連絡ください。

また研究者の方々には、本アーカイブに掲載されておらずかつ有益と思われる研究論文がございます場合は、是非下記のお問合せ先にご連絡下さい。

アカデミックアドバイザー:

石田祐 / 宮城大学 事業構想学群 准教授、博士(国際公共政策)
坂本治也 / 関西大学 法学部 教授、博士(法学)
佐々木周作 / 京都大学大学院 経済学研究科 特定講師、博士(経済学)

※上記3名は、寄付白書2017発行研究会委員

寄付研究アーカイブ

分野 著者 出版年 書名・論文名
総合 寄付白書発行研究会 2021 寄付白書2021
総合 寄付白書発行研究会 2017 寄付白書2017
心理学 Yuta Kawamura, Takashi Kusumi 2018 The relationship between rejection avoidance and altruism is moderated by social norms
心理学 Yuta Kawamura, Takashi Kusumi 2017 The norm-dependent effect of watching eyes on donation
心理学 Ryo Oda, Ryota Ichihashi 2016 Effects of Eye Images and Norm Cues on Charitable Donation: A Field Experiment in an Izakaya
心理学 白木優馬・五十嵐祐 2016 向社会的行動の受け手の感謝および負債感を喚起する要因の検討
心理学 竹部成崇 2016 経済的な豊かさと寄付の心理的効用の関連:東日本大震災前後の比較
心理学 河村悠太・楠見孝 2015 募金広告の描写が援助対象への顕在的・潜在的評価及び寄付行動に与える影響


実務への示唆

心理学 山本陽一・兪善英・松井豊 2014 南関東居住者の東日本大震災への募金に及ぼす共感の影響
心理学 阿形亜子・釘原直樹 2014 向社会的行動における競争的利他主義の検討
経済学 Shusaku Sasaki, Hirofumi Kurokawa, Fumio Ohtake 2021 An experimental comparison of rebate and matching in charitable giving: The case of Japan
経済学 Eiji Yamamura, Yoshiro tsutsui, Fumio Ohtake 2018 Altruistic and Selfish Motivations of Charitable Giving: Case of the Hometown Tax Donation System
経済学 Shusaku Sasaki, Yoshifumi Funasaki, Hirofumi Kurokawa, Fumio Ohtake 2018 Blood Type and Blood Donation Behaviors: An Empirical Test of Pure Altruism Theory
経済学 Takahiro Kubo, Yasushi Shoji, Takahiro Tsuge, Koichi Kuriyama 2018 Voluntary Contributions to Hiking Trail Maintenance: Evidence From a Field Experiment in a National Park, Japan
経済学 Shusaku Sasaki 2017 Majority size and conformity behavior in charitable giving: Field evidence from a donation-based crowdfunding platform in Japan


実務への示唆

経済学 西村慶友・石村知子・赤井伸郎 2016 ふるさと納税(寄付)のインセンティブに関する分析~個別自治体の寄付受け入れデータによる実証分析~


実務への示唆

経済学 Tim Tiefenbach, Florian Kohlbacher 2015 Disasters, donations, and tax law changes: Disentangling effects on subjective well-being by exploiting a natural experiment
経済学 福重元嗣 1999 家計のフィランソロピー活動の実証分析:寄付とボランティアとボランティア貯金
経済学 山内直人 1997 ノンプロフィット・エコノミー:NPOとフィランソロピーの経済学
経済学 林隆一 1996 寄付税制が民間公益活動に与える影響:日本における実証分析
政治学 坂本 治也, 秦 正樹, 梶原 晶 2020 NPOへの参加はなぜ忌避されるのか―コンジョイント実験による忌避要因の解明
政治学 後房雄・坂本治也 2017 日本におけるサードセクター組織の現状と課題 ―平成29年度第4回サードセクター調査による検討―


実務への示唆

政治学 善教将大・坂本治也 2017 何が寄付行動を促進するのか-Randomized Factorial Survey Experimentによる検討


実務への示唆

社会学 桜井政成 2017 ボランティアと寄付-市民社会を支える資源
社会学 Hiromi Taniguchi, Gul Aldikacti Marshall 2014 The Effects of Social Trust and Institutional Trust on Formal Volunteering and Charitable Giving in Japan
社会学 桜井政成 2013 東日本大震災における大学生の被災地・被災者支援行動
社会調査論 松本渉 2016 日本・米国・韓国における社会貢献の意識と行動の国際比較 : 二種類のモードからなる市民社会調査の連鎖的な比較
社会福祉学 永田祐 1999 共同募金寄付者の類型化とその特徴からみる募金運動の課題―『共同募金とボランティア活動に関する意識調査』の分析から
経営学 渡邉 文隆 2022 寄付市場の成長ドライバー・断片化・公正性―SCPパラダイムと市場の質理論の視点から―
経営学 大平修司・薗部靖史・スタニスロスキー スミレ 2015 日本のソーシャル・コンシューマーに関する一考察─寄付つき商品の意思決定プロセスの解明─
経営学 大平修司 2004 非営利組織の寄付金獲得のためのマーケティング活動 : 『国境なき医師団日本』を事例として
行政学 西村忠士・瀬田史彦 2017 ふるさと納税の寄付者の地域貢献に対する意向に関する研究〜寄付者の地域への共感に着目して〜
NPO研究 Okada, Aya; Ishida, Yu and Yamauchi, Naoto (Aroon P. Manoharan ed.) 2018 In Prosperity Prepare for Adversity: Use of Social Media for Nonprofit Fundraising in Times of Disaster (in Innovative Perspectives on Public Administration in the Digital Age)


実務への示唆

NPO研究 Naoko Okuyama, Naoto Yamauchi 2015 Giving in Japan: The Role of Philanthropy in Strengthening Civil Society
NPO研究 Yu Ishida and Naoko Okuyama 2015 Local charitable giving and civil society organizations in Japan


実務への示唆

NPO研究 馬場英朗・石田祐・五百竹宏明 2013 非営利組織の財務情報に対する寄付者の選好分析
NPO研究 石田祐・奥山尚子 2012 地域福祉を高める寄付の仕組みに関する研究


実務への示唆

NPO研究 中嶋貴子・馬場英朗 2012 非営利組織の成長性と安定性に関する実証分析 : NPO法人パネル・データを用いた財務分析から
NPO研究 馬場英朗・石田祐・奥山尚子 2010 非営利組織の収入戦略と財務持続性
NPO研究 大阪大学大学院国際公共政策研究科NPO研究情報センター 2004 日本の寄付とボランティア[改訂版]
脳科学 Keise Izuma, Daisuke N. Saito, Norihiro Sadato 2010 Processing of the Incentive for Social Approval in the Ventral Striatum during Charitable Donation

実務への示唆

河村悠太・楠見孝 2015 「 募金広告の描写が援助対象への顕在的・潜在的評価及び寄付行動に与える影響 」

寄付を募るにあたって援助の必要性を訴える広告と,援助の効果を訴える広告を比較し,どちらの広告も同程度の寄付を集めうる一方で,前者の広告では寄付対象に対する印象評価が否定的なものに変わる可能性を指摘した研究。架空の広告を用いた二度の心理学実験により実証的検証を行っている。寄付を募る際,寄付額の多寡に加えて寄付対象に対する印象への影響を考慮する必要性を示唆している。

Shusaku Sasaki 「 Majority size and conformity behavior in charitable giving: Field evidence from a donation-based crowdfunding platform in Japan 」

日本の寄付型クラウドファンディング・サイト「JapanGiving」の寄付決済データを使い、過去の寄付者の寄付金額が新しい寄付者の寄付金額にどのような影響を与えるかを分析した。結果として、過去に同じ金額で寄付する人の数が多いほど、新しい寄付者も同調して、同じ金額で寄付しやすくなることが分かった。この同調効果は低い金額帯でより強く、多くの寄付者の金額が低金額帯に張り付く現象の発生要因になっているので、ファンドレイザーは留意すべきである。

西村慶友・石村知子・赤井伸郎 2016 「 ふるさと納税(寄付)のインセンティブに関する分析~個別自治体の寄付受け入れデータによる実証分析 」

全国アンケート調査データを用いた、ふるさと納税(寄付)における個人のインセンティブに関する実証分析。分析結果から、寄付者の行動要因として、小規模地域において、財政的に恵まれない地域に寄付しようという利他的要素はあるが、どの自治体を選択するかの決め手は、返礼品に左右される可能性が高く利己的要素もあること、また、返礼品がない場合には、使途説明など、地域にどのように貢献するのかが明確な自治体に寄付する傾向が見られ、利他的要素があることが明らかになった。

後房雄・坂本治也 「 日本におけるサードセクター組織の現状と課題 ―平成29年度第4回サードセクター調査による検討― 」

日本に存在する様々な非営利法人と協同組合を対象にした団体サーベイである第4回RIETIサードセクター調査の概要をまとめた論文。一般社団・財団、公益社団・財団、NPO法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人、各種協同組合など、様々な法人格ごとの団体活動や団体財政の現況を把握できる。「ファンドレイジングが得意な人がいる」と答えた団体は全体の16.2%、認定NPO法人では31.9%、NPO法人では21.2%であることが示されている。

善教将大・坂本治也 「 何が寄付行動を促進するのか-Randomized Factorial Survey Experimentによる検討 」

日本全国の有権者を対象とするサーベイ実験によって、寄付行動を規定する諸要因のうち、とくにどの要因の規定力が大きいのかを明らかにした研究。分析結果として、寄付金を管理運営費にあてる割合が小さく、税控除できる場合の方が寄付金額は高くなること、また寄付を集める団体が「NPO法人」であることを示すと寄付金額が逆に低くなることが示されている。どのような情報を提示するかによって、人々の寄付行動は大きく変わることが示唆される。

Okada, Aya; Ishida, Yu and Yamauchi, Naoto (Aroon P. Manoharan ed.) 「 In Prosperity Prepare for Adversity: Use of Social Media for Nonprofit Fundraising in Times of Disaster (in Innovative Perspectives on Public Administration in the Digital Age) 」

NPOのソーシャル・メディアの利用のタイミングが災害復興のためのファンドレイジングにどのように寄与するかを検討した論文。発災以前より利用し、つながりを有していることは、発災後にそれらを持つようになるよりも、ファンドレイジングの効果をあげうることが論じられている。

Yu Ishida and Naoko Okuyama 「 Local charitable giving and civil society organizations in Japan 」

地域の団体・活動に寄付を行う地域住民はどのような人であるか、より多くの寄付を支出する人はどのような人であるを問題意識として分析を行った論文。地域へのアタッチメントやNPOなどへの理解が重要な要素となりうることが論じらている。

石田祐・奥山尚子「 地域福祉を高める寄付の仕組みに関する研究 」

地域の団体の活動を地域の人々の寄付でどれほど支援できるかを問題意識として調査を行った報告書。兵庫県全市町を対象にランダムサンプリングにより調査を実施している。結果、地域の団体・活動に寄付をしている地域住民は約4割であることが示されている。

免責事項

本アーカイブは、その完全性、確実性、有用性、特定の目的への適合性、権利の非侵害性、その他何らの保証も付されておりません。提供されている研究論文の利用により何らかの不利益を被ったとしても、日本ファンドレイジング協会およびアカデミックアドバイザーは一切の責任を負いません。

問合せ先

日本ファンドレイジング協会 調査研究事業担当 jfra@jfra.jp

他の寄付研究サイト

寄付研究センター(日本寄付財団)