【報告】第6回ファンドレイジング研究会
第6回ファンドレイジング研究会
■パブリックスピーキング■
報告:徳永洋子(事務局次長)
1月19日、午後6時半から8時半、第6回ファンドレイジング研究会を開催しました。
「ファンドレイジング研究会」は、当協会の会員を対象として、NPOの資金調達改善の事例研究やスキルアップ研修を実施することを目的とするもの。相互の学び合いの環境を担保するために、人数を20名と限定して、参加型で開催することで、ノウハウや知見の集約、共有を図ります。
今回のテーマは、「パブリックスピーキング」。
講師には、日本で唯一のパブリックスピーチ・コーチの蔭山洋介氏をお招きしました。
はじめに、蔭山氏は、パブリックスピーキング(=人前で話すこと)において重要なのは、「説明すること」ではなく「表現すること」だとし、日米を代表するベンチャー企業創業者の二人による新製品の発表会でのビデオを映写して、「説明」と「表現」の違いを示されました。蔭山氏によれば、「説明」は、情報伝達に終始する「リポートトーク」。「表現」は共感を呼び起こす「ラポートトーク」。パブリックスピーキングでは、後者のラポートトークを行うことが大切だとされました。
蔭山氏は、スピーチを演劇にたとえ、どんなに演技がうまい役者さんが登場しても台本と演出がなければ、いい舞台にはならないのと同様に、準備不足では良いスピーチはできないと述べました。
具体的には、コンセプト、目的、対象を確定して、それに沿ったシナリオを練り、大道具や小道具、衣装にも配慮してスピーチに挑む必要があると説明。オバマ大統領をはじめ、各界の名士のスピーチ風景を流して、どういう工夫と計算がなされているか、あるいは何が足りないかを示されました。
NPOの人たちが講演などで話す場合の「小道具」についてもアドバイスされ、聴衆は登壇者の目線を追うという習性があることから、スライドに注目を集めたいなら、座ってPCを操作していてはダメ。リモコンとポインタは欠かせないと。また、可能なら、配布資料は、話の合間に配ると「眠気覚まし」の効果がある、時間管理のためには腕時計はデジタル時計がいい・・・といった細かなアドバイスもされました。
また、パワーポイントのスライドについては、自分を売り込む場合には不要で、自分以外のもの(商品や事業)を売り込む場合には必要となると解説。それが、「スピーチ」と「プレゼンテーション」の違いだと述べました。また、壇上でスライドを投影する場合は、登壇している自分もスライドの一部であることを意識して、文字や画像の位置を確認しながら立ち位置を決めることが重要だと話されました。
また、スピーチ自体の書き方も指南されました。基本構成として、1.あいさつ、2.緊張を解くチョットした話(アイスブレイク)、3.話の骨子を示す、4.事実(日常)と事件(非日常)を交互に盛り込みながら 5.意見を述べる、そして6.結論を導いていけば、良いシナリオが書けるそうです。
また、皆で、名スピーチとされている文書の輪読にも挑戦。スピーチに欠かせない演技力を鍛えるためには、声の高低、強弱、緩急と間を意識するといいとのアドバイスを受けました。
蔭山氏は、こうした説明を、たくさんの映像と画像とともに示され、参加者はひとつひとつに納得。なんとなく「上手」、「サマになっている」と感じられるスピーチやプレゼンテーションに、実は周到な準備と演出がなされていることを実感しました。
参加者からは「人前で話すと早口になってしまうがどうしたらいいか?」といった質問が出ました。蔭山氏は、早口自体は問題ではない、きちんと聞き取れる話し方なら問題ないと答えられました。
また、「途中でマイクの調子が悪くなるといったトラブルへの対処は?」との質問には、とにかく落ち着いていることが重要で、あわててしまうと聴衆に同情されてしまい、その後のスピーチが台無しになってしまうと話されました。また、なにかあった場合の「つなぎ」のネタを考えておくことも大事だとされました。
毎回、研究会では、終了後に「1時間だけ」の懇親会を開催します。この日も、ほとんどの方が参加され、講師を交えて、和やかな交流と、熱心な議論が続いていました。
なお、研究会では、毎回、終了後の1週間後の週末に、参加者がオンライン上(ファンドレイジングネット:http://frn.npoweb.jp/ )で研究会を振り返る1日書き込みイベントを行います。
研究会の2時間だけではなく、その後に皆で振り返ることで、さらに学びが深まればということで始めたものです。
研究会は会員限定で開催されるものです。会員となって御参加を希望される方は、こちらから会員申し込みをお願いいたします。
https://jfra.jp/wp/form/sanka.php