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【ご報告】第24回ファンドレイジング研究会

2012.01.27


「ダイレクトメールを活かしたファンドレイジング」

【講 師】
 岡 徹 氏 (ダイレクトマーケティングジャパン株式会社)
【ファシリテーター】
 山元 圭太 氏 (かものはしプロジェクト)
【記 録】
 山本 匡浩 氏 (ADRA Japan/日本ファンドレイジング協会)

【講演要旨】

1.ダイレクトマーケティング成功の鍵

●ダイレクトマーケティング成功の3つの鍵

ダイレクトマーケティングの成否を分けるのはレスポンスは良さにある。ダイレクトマーケティングの肝はリストの存在にあり、リストは常にタネをまいて、自分で作っていかなければならない。

ダイレクトマーケティングの成功の鍵は3つ。

1)リスト・データベース(データ内容、利用履歴RFM)
2)オファー・特典(ベネフィット、心理的・物理的効果)
3)クリエイティブ・制作表現技術(コピー、デザイン、ビジュアルなど)

成功の鍵の60%を占めるのは、1)リスト・データベースである。30%を占めるのは2)オファー・特典。残り10%が3)クリエイティブ・制作表現技術である。

オファーやクリエイティブが重要でないわけではなく、よいリストを使ってダイレクトマーケティングをすることでオファーとクリエイティブの効果を増大することができる。

●ダイレクトマーケティングの成功の条件

 ダイレクトマーケティングを行うときに考慮すべきことには次の3点がある。

1)タイミング:曜日、週、日、季節など 
例えば曜日の場合、ダイレクトメールを個人へ送るときは土曜日に届くと効果的。企業へ送るときは月曜に届くと効果的。季節の場合は、12月に送るともっとも効果が高い。年末、新年度など節目に合わせると効果がある。

2)受け手の特徴 
地域、性別、年齢、団体との関係性など。特徴ごとにダイレクトメールを送ることが重要である。

3)RFM
最新購買日(Recency)、購買頻度(Frequency)、購買金額(Monetary)を分析する。


2.ドナー情報とセグメント

●リストの種類

リストには、ハウスリスト(既存ドナーのリスト)、アウトサイドリスト(見込ドナーのリスト)の2種類がある。
ハウスリストの費用対効果はアウトサイドリストの7倍高い。そのため、ハウスリストを大切にしなければならない。

次にあげるRFM分析やドナー・セグメント法によって、ドナーと団体との関係性を分析することができる。

●RFM分析

・Recency…最新購買日:いつごろのドナーか。10年来のドナーか、1年以内の新規ドナーか。
・Frequency…購買頻度:頻度。何回購入・参加したのか。何を何年以内に寄付したのか。
・Monetary…購買金額:寄付した金額

●ドナー・セグメント法

【サスペクト】(一般的な人)
   ↓
【プロスペクト】(興味ありと意思表示した人)
   ↓
【カスタマー】(寄付実績者、サービスを受けた人。ドナーの人数に占める割合70%) 
   ↓
【クライアント】(優良ドナー・定期的にサービスを受けた人。人数は10~20%)
   ↓
【アドボケイト】(最優良ドナー、最大のRFM。人数は5~10%)

「20:80原則」と言われるものがある。20%の人・団体が、全体の80%の寄付・売り上げに貢献している。そのため、残り80%のドナーをいかに活性化することができるのかが課題である。
ドナーの意見を聞くためにアンケートなどをする場合には、アドボケイトやクライアントといった優良ドナーの意見を聞いたほうがいい。

●リストメンテナンス・クリーニング

ハウスリストだけではDMを送る対象が徐々に縮小してしまうため、リストは常にメンテナンスが必要である。住所やメールアドレスなどが変わるため、1年間でリストの15%が変化する。何もしなければ2年経つと現在のリストのうち使用可能な情報は55%になる。そのため、常にデータを更新していかなければならない。

●リストの疲弊率(メーリング回数とレスポンス率の関係)

DMを送るたびにレスポンスは悪くなる。1回目のレスポンス率を100%とすると、2回目が45%、3回目が30%になる。ハウスリストは徐々に疲弊するため、新しくマーケットを作り続ける必要がある。 リストの疲弊の対策としてはまず、どの人に何回DMを送ったか把握する必要がある。そして、デザイン、コピーを変えるなどクリエイティブで手紙を読んでもらう工夫をする。

3.ダイレクトマーケティング最大の武器:テスト

ダイレクトマーケティングの最大の武器はテストをすること。テストをして、自分達にとって最も効率の良い方法を探し続けなければならない。そのためテストの予算をしっかりと取ったほうがいい。他人の成功事例は参考になるが、必ず自分でテストしてみる必要がある。

●テストの種類

テストには次のような種類がある。さまざまな組み合わせでテストをして、最も効果があるものを実行する。

・リストテスト…さまざまな属性別(地域、年齢、性別、RFMなど)
・オファーテスト…寄付の内容、支払方法、特典など
・クリエイティブテスト…DMのパッケージ、内容(手紙、パンフレット)など
・その他…タイミングなど

●テストの方法

対象をランダム(無作為抽出)セレクションをし、テストグループを設定する。テストグループにはコントロールグループ(統制群)とテストグループ(実験群)を設定する。コントロールグループと、テストグループ(1つ以上)にはそれぞれテストの種類(リストテスト、オファーテストなど)に違いを設けて、レスポンス率の違いを検証する。レスポンス率の高いものを本番(テストより大規模なDMの発送)に採用する。

●ダイレクトマーケティング実施プロセス

ダイレクトマーケティングは次のようなプロセスを取る。

テスト実施→分析・評価→本番の実施(第2次テスト)→分析・評価

テスト、本番を実施し、その結果をさらに分析・評価して、次のテスト、本番に活かしていくことが必要である。

たくさんの事例を交えたお話により、非常に中身の濃い研究会になりました。