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【ご報告】第22回ファンドレイジング研究会

2011.11.18

【ご報告】第22回ファンドレイジング研究会「日本発のファンドレイジング!」11月8日18時30分~20時30分

講師: TABLE FOR TWO International 小林智子氏
講師: ハンガー・フリー・ワールド 渡邉清孝氏・石川圭氏
ファシリテーター: SVP 東京パートナー 神代伸一氏
記録者: 三輪 喜則氏(日本ファンドレイジング協会ボランティア)

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今回の研究会では、「日本発のファンドレイジング!」をテーマに、2団体から講演いただきました。TABLE FOR TWO International(以下、TFT)の小林智子氏からは、団体がどのような仕組みでファンドレイジングを行い事業の運営を行っているか、ハンガー・フリー・ワールド(以下、HFW)の渡邉清孝氏と石川圭氏からは、団体の主事業であるキャンペーンの詳細について説明いただきました。ファシリテーターには、SVP東京パートナー神代伸一氏をお迎えし、発表後には、団体ごとに2グループに分かれ、質疑応答を行いました。事業で大きな実績を示している2団体のファンドレイジングの工夫や事業活動の苦労を知ることができ、有意義な研究会になりました。

【講演】
最初に、TFTの小林智子氏から、団体の①ミッション②提携③組織・人事④宣伝・広報⑤利益・成果について、お話いただきました。

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①ミッション
「先進国の10億人は過食で肥満に、一方、途上国の10億人は食料不足で飢餓に苦しむ。その食の不均衡を是正する。」
(ミッションを実現する手段)
1.先進国の企業社員食堂や大学学生食堂にて、ヘルシーメニューを採用してもらう。
2.ヘルシーメニューの価格のうち20円を、途上国の学校給食プログラム支援に活用する。
(2011年9月末までに届けた給食の累計)約46,000人の子供たちに1,050万3,892食。

②提携
TFT参加団体は、450企業/団体。2008年のメタボ検診導入後、急激に参加企業が増加した。「誰でも気軽に参加可能」「参加者の健康につながる」「20円で1食の分かりやすさ」「負担が少なく継続が容易」という4点が、飛躍的増加の要因。
(社員食堂以外でのTFTプログラムも拡大)

③組織・人事
職員→有給職員3名、ボランティア3名、学生インターン多数という講成。
ボランティアは専門性を重視して採用。内訳は、広報担当1名、ライター1名、システムエンジニア1名。
職務→TFTプログラムの運営、新規開拓営業、寄付金管理・運営、海外の支援団体との連携、支援先プログラム管理などを行う。学生インターンは、マニュアル作成や記事クリッピングなどを行う。(TFT大学連合)全国の大学生が、TFTの草の根運動に携わっており、その運営組織。設立は2009年3月、現在では、TFT導入大学は80校、メンバーは約800名。

④宣伝・広報
「社内認知向上」と「マスメディアに向けたプロモーション」の2つの手法にて行う。特に「社内認知向上」の取り組みでは、1.写真パネルの掲示、2.オリジナル卓上POPの設置、3.サンプルメニューの展示、4.会社受付での紹介映像の放送、の4点を行う。写真パネルや卓上POPは、見出し文を読むだけで内容が分かるように工夫。また、企業のCSR担当者向けに「チビかわら」という広報物を作成し、他の企業のTFTの取り組みを紹介することも行う。

⑤利益・成果
寄付金である20円をそのまま途上国の給食費として届けるのではなく、寄付金の20%である4円を事務局運営費として活用する。残りの16円を「Millennium Villages」を通じて、途上国の給食費として届ける。活動するためには運営費が必ず必要となる。運営費を確実に捻出する仕組みを確立することで、活動を長く継続させ、より多くの給食費を途上国に届けられるという考え方。「全ての寄付金を使うべき」との声もあるが、長い目で見て活動を発展させる必要性を訴える。

次に、HFWの渡邉清孝氏と石川圭氏から、「書損じハガキ回収キャンペーン」の事例紹介をして頂きました。

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①キャンペーンについて
・書損じハガキの価値は、40円。一方、日本においては年間4億枚の書損じハガキが発生。年間160億円(40円×4億枚)が無駄になっている。キャンペーン開始のきっかけは、これらを集め換金し途上国に届ければ、貧しい人々の暮らしを応援することができる、という想い。
・収集物は、書損じハガキだけではない。未使用・使用済み切手、外貨紙幣、金券など。近年は、ブルーチップや使用済みディズニーリゾートパスポートも収集している。
・キャンペーンの流れ
(回収ボックス設置の場合)
回収ボックスに、個人で書損じハガキなど収集物を投入→HFWが回収ボックスを回収
(回収封筒配布の場合)
HFWが回収専用封筒を参加団体に配布
→団体が職員に回収専用封筒を配布
→職員が個別にハンガー・フリー・ワールドに回収専用封筒を送付
※参加団体は、全体の約95%が生協(コープ)で占められている。
※HFWは年2回、活動結果の報告を直接参加団体を訪れ行う。
※団体を通じたキャンペーンの封筒送付率は、約2%前後。
・キャンペーンの実績は、金額ベースでは2010年より右肩上がり。ブルーチップや使用済みディズニーリゾートパスポートのような高額換金可能な収集物の増加が要因。

②苦労したこと・ボランティアの確保と定着
数多くの収集物の計算など、作業が緻密で膨大な作業量になる。主婦をターゲットにするとともに、成果を定期的に共有することや、作業中に音楽を流すなど、ボランティアのモチベーションを向上させる工夫をする。

③今後の方向性
・キャンペーンは、「余っているものをあげる」という行為から成り立つ。そのため、敷居は低い。この意識をより多くの世の中の人々に知ってもらい、如何にして行動に移してもらうかを考える。
・キャンペーンの敷居が低いため、自然災害の緊急救援に適しており、今後は緊急救援にもキャンペーンを活かしていく。

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最後に、参加者が2団体ごとに2グループに分かれ、質疑応答を行いました。講師の方にも2グループに分かれて頂いて、とても活発な意見交換となりました。

Q.約800名の大学生が参加するTFT大学連合をどのようにしてまとめているのか?
A.きっちりとした枠組みを作り、組織が出来上がったわけではない。TFTの活動に関心のある大学生が、それぞれの大学で「楽しいことをやろうよ!」という意識で緩い関係で繋がり、やがて各大学の団体間の協力体制が生まれた。TFTからの働きかけはしていない。活動の中心になるメンバーは「コアメンバー」と呼ばれ、コアメンバーが大学を卒業する際には、2ヵ月程度かけて活動のフォローアップを行い、残りのメンバーの中で「我こそは」というメンバーが自ら手を上げコアメンバーになる、人材の好循環が生まれていた。

Q.TFTのプロモーションのコツは?
A.広告を使ったプロモーションは行っていない。「社員食堂でのPR」と「マスメディアを通じたPR」の2本立てで行っている。社員食堂では、主にPOPを置かせてもらったり、食堂の掲示板を使わせてもらったりしている。少し見ただけでも、内容がすぐに把握できるように、文言には細心の工夫をしている。マスメディアを通じたPRでは、「記念日」や「初もの」を如何にTFTの事業と組み合わせるか、いつも考えながらプロモーション活動を行っている。また、首都圏や大阪など大都市圏のマスメディアに取り上げられることは難関であるので、地方のマスメディアに対して「初もの」と組み合わせ、報道される確率を上げる工夫をしている。

Q.HFWの事業が上手くいった秘訣は?
A.ターゲットの絞り込みをして、地道な営業を行ったこと。3~4年は通常で、長ければ10年かかった場合もある。

2時間の研究会は、活発な意見交換が行われ、時間通りに閉会しました。