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【報告】ファンドレイジングセミナー第5回「『ジャスト・ギビング』する人たち」講師:佐藤大吾氏

2010.11.16

【報告】ファンドレイジングセミナー2010 第5回「『ジャスト・ギビング』する人たち」
講師:佐藤大吾氏(一般社団法人ジャスト・ギビング・ジャパン業務執行理事)

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第5回は、ジャスト・ギビング・ジャパンの佐藤大吾氏による「『ジャスト・ギビング』する人たち」をテーマに、ジャスト・ギビング・ジャパンやジャスト・ギビングを生み出したイギリスのファンドレイジングの事例などを学べるセッションとなりました。

佐藤氏のお話しはご自身の経歴から始まりました。
佐藤氏は大学生の頃からインターン事業の会社を経営されていたのですが、公務員・議員希望の学生も出て来た事もあり、議員インターン事業を始められました。

議員インターンは赤字事業でしたが、若者の投票率低下の観点から学生の議員インターンがメディアに良く取材されたそうです。
その時に佐藤氏は、「議員インターンは赤字事業なので、会社では出来ないがNPOなら出来るのでは?」と思いNPOについて調べ始めました。

NPOを調べていく中で、「日本にはNPOを支援する寄付文化が無い」と言われる事もありましたが、佐藤氏は、寄付をしない大きな理由は寄付の使途が解かり難いという事にあると思う様になりました。
そこで、信頼できるNPOの発掘し、その情報を公開し寄付を募るというチャリティ・プラットフォーム
を設立されました。
そんなある日、佐藤様はジャスト・ギビングの存在を知り、その仕組みに感動してジャスト・ギビング・ジャパンの設立を決心されたとの事です。

ここで、佐藤氏はジャスト・ギビング・ジャパンが報道されたテレビニュースを流しました、
そこには、元プロ野球選手の古田敦也氏がハワイでのトライアスロンに挑戦する姿が映し出されました。
古田氏は今回初めてトライアスロンに挑んだとの事ですが、そのきっかけはジャスト・ギビング・ジャパンとの事で、トライアスロン完走への挑戦を通じて不登校児童をサポートする団体への寄付を訴えていました。
古田氏は練習中のインタビューで「プレッシャーだけど、頑張れる。目標は完走。」と話していました。
そしてトライアスロンの当日、古田氏は見事に完走を達成しました。

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ジャスト・ギビングとは、この様に何かに挑戦する事により、寄付を集めるサイトです。
2001年にイギリスで設立され、1200万人が利用しており、年間約280億円の寄付を仲介しています。
そして、佐藤氏の尽力により、2010年3月9日に日本版がスタートしました。

次に、佐藤氏はジャスト・ギビングで過去話題になった事例を話されました。
ひとつ目は、イラク戦争で足に重症を負った英国人兵士が、負傷した兵士を支援する慈善団体のためにロンドン・マラソンに出場した、というものです。彼は1日約3キロずつ歩いて約2週間でゴールしましたが、日を追う毎に彼を囲む応援者の数が増えて行き、最終的に約9400万円の寄付を集めました。
ふたつ目は、ハイチ大地震の映像に驚いた英国の7歳の少年の例です。彼は被災者を救おうとロンドン市内をサイクリングしましたが、これが新聞に取り上げられ義援金が一気に集まりました。

次に会場の参加者との質疑応答に移りました。
「イギリスのNPOのファンドレイジングで他の面白い事例について聞かせて貰いたい。」という問いに対して、佐藤氏は「ドナーズチューズというNPOがある。イギリスのパブリックスクールでは、そこの出身の人達が文房具を寄付する文化があるが、ドナーズチューズがそれを一括して行う事により大量購入が出来て安く済む事が出来る。」と返答されました。

「ジャストギビングではお金を出す人はお金の行き先のNPOをどれ位気にするか?」という質問については、「人は人に共感する。寄付者は寄付が何処のNPOにいっているかは余り気にしない。24時間テレビでは3億円集まり障害者施設に行くが、寄付者ははるな愛が頑張っているから寄付する。」と話されました。

「イギリスのファンドレイジングの事例を知りたい場合の情報源は?」という質問には、「一番良いのは行く事。あるいはイギリスの人に聞く事。」とアドバイスされました。

記録:村松正彦(ボランティア・スタッフ)