【メディア掲載】12/23産経新聞「寄付月間」スタート カンパイで、古本で…楽しく
【メディア掲載】12/23付け産経新聞に、弊協会代表理事の鵜尾雅隆のコメントや寄付白書のデータが取り上げられました。
「寄付月間」スタート カンパイで、古本で…楽しく
以下、転載です。
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民間団体が中心となり、毎年12月を「寄付月間」とする取り組みが今年から始まった。寄付の受け手が寄付者への感謝を表す一方で、さまざまな形での寄付を提案し、関心を持つ人を増やしていく。多くの人が何らかの形で寄付をしたとされる平成23年の東日本大震災から約5年、日本に寄付文化が根付いてほしいとの関係者の思いがこめられている。(加納裕子)
楽しみながら
「寄付の風土はまだ日本にはないが、アクションの積み重ねで風土ができていく。みんなで進めていきましょう」
12月7日、東京都渋谷区の国際連合大学で開かれた「寄付月間創設記念シンポジウム」。寄付月間推進委員長を務める三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏は、集まった約270人を前にこう訴えた。1日にスタートした寄付月間には、趣旨に賛同した全国の公益法人やNPO法人など22の団体が参加し、さまざまな取り組みが行われている。例えば、愛知県の居酒屋約1800店で行われている「カンパイチャリティ」。飲まれた生ビール1リットルにつき1円を子供の貧困対策に寄付する。このほかインターネットを通じたチャリティーオークション、古本を寄付する「チャリボン」など、楽しみながら寄付できる企画がそろった。
「寄付の行き先が見えない」という不満に応えようという取り組みも。非営利法人データベースシステム「ノポダス」では、寄付を受ける公益法人約80団体から、寄付の役立て方や感謝のメッセージを集めて公開。寄付月間推進委員会の共同事務局長を務める日本ファンドレイジング協会代表の鵜尾雅隆さん(47)は「一人でも多くの人が寄付について考えるきっかけを作りたい」と意気込む。
震災がきっかけ
日本で寄付への関心が最も高まったのは、23年の東日本大震災後。国内の寄付の実態をまとめた「寄付白書2015」(日本ファンドレイジング協会)によると、震災前年の22年の個人寄付総額は推計4874億円(3733万人)だったが、23年は推計1兆182億円(7026万人)に急増した。
個人寄付をした人の割合は、震災前は15歳以上人口の33~34%だったが、23年には68・6%に。震災後の24年以降は43~46%で推移しており、震災のために寄付をした人の一部が、その後も何らかの寄付を続けている状況が浮かび上がる。
インターネットの普及も寄付を後押ししたようだ。女性の自立を応援する「あい基金」を設立したパブリックリソース財団の田口由紀絵さん(49)は「オンラインでの寄付が増えてきた」と指摘。公益活動をサポートするNPO法人「CANPANセンター」代表の山田泰久さん(42)は「SNSの普及で若い人に寄付が広がり、20~30代が同世代を応援する寄付が目立ってきた」と分析する。
遺贈しやすく
少子高齢化社会を迎えて関心が高まりそうなのが、遺言によって公益団体などに遺産を寄付する「遺贈寄付」だ。配偶者や子供がいない人だけでなく、相続人がいても資産の一部を社会に還元したいと考える高齢者が増えているという。
ただ、「寄付白書2015」によると、40歳以上の約21%が遺贈寄付の意思があるが、このうち実際に遺言書を作成した人は約3・9%にとどまっている。
そこで遺贈寄付をしやすい仕組みを作ろうと12月、有識者による「全国遺贈寄付(レガシーギフト)推進検討委員会」が発足した。委員を務める龍谷大学政策学部の深尾昌峰准教授(非営利組織論)は「社会に還元したいとの思いをくみ取り、少額から安心して託せる窓口を各地域に作りたい」としている。