投稿日:2019年8月7日

高校生は何を感じ、何を想うのか。国際協力と社会貢献をテーマに学んだ高校生の「等身大」記録

大石 俊輔Shunsuke Oishi
日本ファンドレイジング協会 マネージング・ディレクター
今年度、子どもたちが楽しみながら考え、体験する教育プログラム「社会貢献教育」の事業の一貫として、ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社のご支援を受け、東京学芸大学附属国際中等教育学校6年生(高校3年生)で、「国際協力と社会貢献」という講座を実施しています。
講座は、「日本が行う国際協力と、個人としての社会貢献について自身の言葉で述べられるようにする」ことを目標に、前半の講座では、日本のODA政策から、「社会に貢献する」ということはどういうことなのかを学び、後半では、NPOの存在意義や高校生としてどう評価できるかを様々な視点から深堀りしていきます。受講した17名の高校生が、何を感じ、何を学んだのか、等身大の振り返りの記録を、シリーズでご紹介します!

 
※以下の記事は、東京学芸大学附属国際中等教育学校6年生(高校3年生)が執筆しました。

高校生にとってODA(政府開発援助)とは

第1回目の講座では、「ODAってなに?」をテーマに、外務省発行の書籍を参考資料として配布しました。(「ODA白書2014」、「ODAガール&主夫ボーイ」、「教えて!外務省 知っておきたい国際協力」)その中で、受講生が注目したキーワードは、「恩をおくる」「オーナーシップ・パートナーシップ」。今回の振り返りは、「資料を読んでの率直な感想・今後リサーチしたいこと」を聞きました。

人と人の関わりで繋がりが続いていくもの。まずはそれを知ることから。

ODAについて少しは知っていたが、戦後の「恩送り」が原点であることをはじめて知った。支援の対象であったコロンビアの女の子の手紙などを通して、経済での条約や協定だけでなく、ODAの取り組みのように人と人の関わりで繋がりを築けるのだと感じた。ただ、ODAは国の政策で私たちの税金で行われているため、私たちがODAの仕組みを知り、理解した上で支援することに本当の意味があるのではないかと思う。また、中にはODAが税金で行われる援助であることに対し、不満の意見もあるのだと知った。私は個人的に、支援に意味はあると思う。以前、日本がトルコ人を助けたことに恩を感じ、何十年も経った後の東日本大震災でトルコが日本に恩返しとして物資を送ってくれたことを学んだ。このように、すぐに利益は直接日本に返ってこないかもしれないが、ODAの援助によって国同士または市民間の友好関係に大きく貢献しているのではないかと思う。一方、漫画やコラムなどで広報はされているが、あまり目に着く、手に取ることがないため、私たちがODAについて知る機会が少ないと思った。だからこそ、この授業でODAや国際協力について学ぶということに意味を感じた。

支援する意味が分からなかった。だからこそ、興味を持つことからはじめる。

私はODAという言葉自体を聞いたことはあるけれど、それが何なのかを一切知らない状態で、受講した。そのため、今回資料を読んでみて、最初は発展途上国の支援ということで、日本国内で税金をかけるべき問題はたくさん存在しているのに、発展途上国に税金を使用した支援をするべきか、と批判的に捉えてしまった。だが、戦後の日本が他国の支援により復興出来たように、日本も発展途上国の支援を行っていくことで、恩をおくることができること。そして、これは結果的に「日本」というブランドの向上につながり、中小企業が発展途上国に進出する時に、進出しやすくなる。これらを踏まえると、ODAは日本にもメリットのあるのだと感じ、肯定的に捉えることができた。

だが、疑問に感じたこともある。1つ目に、発展途上国の支援を行う時、どのようにして支援を行う国を決めているのだろうか。2つ目に、ODAと民間が行う支援の違いは何なのか。3つ目に、なぜODAはここまで知名度が低く、注目されていないのか。国民は自分たちの納めた税金がどこにどのように使われているのかもっと興味を持つべきなのでは、と思う。

講座は、ティーチング形式ではなく、高校生でも簡単に知ることができる情報をもとに、自身がどう捉え、深められるかを受講者同士のダイアログによって進めることによって、受講者自身で学びを深める形をとっています。ODAについての最初の印象が、この後どう変化していくのか。実際に、開発援助・国際協力に携わる人たちの意見交換もふまえて深めていきます!

 

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大石 俊輔 Shunsuke Oishi

日本ファンドレイジング協会 マネージング・ディレクター

2008年3月法政大学大学院政策科学研究科修士課程修了。学生時代より、まちづくり、文化芸術分野のNPOでのボランティアを経験。同年4月より特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンターに勤務。2010年6月より現職。2010年日本で初めての寄付白書の編纂で中心的な役割を担うとともに、次世代向けのフィランソロピー教育である「寄付の教室」実行責任者として活躍中。

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