投稿日:2021年10月27日

なぜ、NPOと企業は連携するのか【法人寄付を語るシリーズ2】

御手洗 薫Kaoru Mitarai
認定ファンドレイザー
ファンドレイジングコンサルタント/株式会社岡澤商店

「法人寄付を増やしたい」、そう思うのは、寄付単価が高いからでしょうか?今回の記事では、NPOが企業と連携することの価値について語りたいと思います。

認定NPO法人フローレンスの場合

以下の図は、私が所属する認定NPO法人フローレンス(以下、フローレンス)で実際に行ったワークショップでまとめたものになります。縦軸を“寄付金/使役/物資”とし、横軸を“一時的/継続的/イベントベース”にグループを分け、それぞれの支援で得られるモノ・コトは何か、チームメンバーとともに洗い出しました。

企業と連携すると何が得られるのかを洗い出し、その結果を、さらに以下のように分類しました。

私たちは、限られた予算から、「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」ために、多くの人に社会問題そのものを知ってもらうための広報を行い、そして、フローレンスの活動に共感と信頼を得た結果として、寄付を獲得しています。法人からの寄付は、資金的な支援だけでなく、そうした広報活動そのものへの協力を得ることができるのです。

企業がNPOと連携する理由

前回の記事でもご紹介した通り、企業は、社会的な課題の解決と企業の競争力向上を同時に実現するCSV(共通価値の創造 Creating Shared Value)への関心が高まっています。企業は、本来主軸に考える「いかにお金を生み出すか」「いかにお金を守るか」「いかにリスクを管理するか」という軸を社会貢献と同時に実現していこうと考えています。

一方、NPOは、「いかにお金を生み出すか」「いかにお金を守るか」「いかにリスクを管理するか」を考えて、非営利活動を取り組んでいるわけではありません。

この違いをふまえて、企業と連携していく必要があります。

NPOと企業は強みを活かし合うパートナー

環境に優しい商品であるか?生産段階に労働搾取や環境破壊の問題は含んでいないか?食品ロスは少ないか?消費者の意識が高まる中、自社の利益だけを追求する時代は終わりました。どの企業も、消費者に選ばれるためだったとしても、本気で社会をより良くしていこうと取り組んでいます。

ですが、企業の本来のミッションはシェア拡大であり、そのためのスキルを持っています。一方、私たちNPOは、よりよい社会を作るために、あらゆるステークホルダーと協力し合う強みを持っています。

企業の強みと、NPOの強みをかけ合わせ、シナジー効果(相乗効果)を出す。

私たちNPOにとって、企業は「多額の寄付や様々な支援をしてくださる寄付者」ではなく、互いの強みを持ち合わせて、社会をより良くしていく強靭なパートナーなのです。

次号では、法人寄付を戦略的に集めていくためには、どのようなことをすると良いのかについてお話します。

【関連記事】法人寄付を語るシリーズ
(1)なぜ、企業は社会貢献活動をするのか
(2)なぜ、NPOと企業は連携するのか
(3)実践編・法人寄付獲得のポイントとは(会員限定記事)
(4)実践編・法人寄付事例から学ぶ

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御手洗 薫 Kaoru Mitarai

認定ファンドレイザー
ファンドレイジングコンサルタント/株式会社岡澤商店

東京生まれ。日本女子大学理学部卒。外資系IT企業にて、エンジニア、マーケティング、営業を経験後、2017年フローレンスに入社。入社後は、法人寄付、遺贈寄付の立上げを担当。特に法人CSR担当者が抱える課題を解決する寄付のソリューション提案を得意とする。
2022年9月より現職。ファンドレイジングコンサルタントとして、日本をよりよくしたいと願うNPO、ソーシャルビジネス、財団、企業などをパートナーとし、事業戦略策定、ファンドレイジング伴走支援、ファンドレイジング研修などを行っている。

認定NPO法人フローレンスこども宅食事業部/一般社団法人こども宅食応援団/株式会社探究学舎

WEB:https://okazawashouten2022.wixsite.com/home
twitter:https://twitter.com/raika153

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