投稿日:2022年7月29日

キッズドアで講師を6年つづける難波さんが、教育とITでおりなす夢とは?

鈴木 大悟Daigo Suzuki
准認定ファンドレイザー
フリーランス・ファンドレイザー

難波 真人(なんばまこと)さん
1992年生まれ。高校の教員を経て、IT企業に転職。現在は本業の傍ら、認定NPO法人キッズドアで足立区の中高生に向けた無料英語学習会(English Drive)のボランティア講師として、教育課題に取り組む。
「自由にあなたらしいNPOキャリアを描く」というテーマで、ワカモノ人材にインタビューする連載企画。
5人目は、認定NPO法人キッズドアでボランティアをされている難波真人さんにお話を伺いました。
今回のインタビューは、「NPOへの転職はハードルが高いけど、まずはNPOと関わりを持つことから始めたい」とお考えの方に、ぜひ読んでいただきたい記事です。

認定NPO法人キッズドアは、貧困の連鎖を断ち切るため、⼩学⽣〜⾼校⽣を中心とする幅広い若者層へ無料の学習機会を提供しています。

難波さんはなぜキッズドアでボランティアをされているのか?そこにどんな課題意識があるのか?難波さんの原点を伺うことができました。

アメリカの教育系NPOとの出会いがキャリアを拓くきっかけに

キッズドアにボランティア講師として関わり始めて6年が経ちました。
現在は、足立区の英語学習会「English Drive」で、中学生に勉強を教えています。

足立区以外にも、これまで墨田区や江戸川区の学習会で指導をしていた時期もあります。
もともと高校の教員をしていたこともあり、日本の教育課題をいろいろな角度から見てきたと思います。

本業はIT企業で、開発部門と営業部門が円滑にコミュニケーションできるように仲介する仕事をしています。

一見すると、まったく異なる畑に見える「教員」から「 IT企業」へのキャリアチェンジには、実は明確な軸があります。
どうすれば教育の課題を解決することができるだろうか?その中で、私がやりたいことは何だろう、担えることは何だろう?と考えているときに、「カーンアカデミー」というアメリカの教育系NPOの存在を知りました。


カーンアカデミーより引用

カーンアカデミーは、無料で世界レベルの教育が誰でもどこでも受けられることをミッションとするNPOです。
カーンアカデミーが提供するオンラインスクールのような、ITと教育をかけ合わせた取り組みの素晴らしい点は、端末さえあればどんな環境の子どもたちにも授業を届けられるところです。

子どもたちは自分の理解度に合わせて、学習を進めることができ、何度でも繰り返し視聴することが可能です。

一斉に学年が上がることは、本当に子どもたちのためになるのか?

「IT×教育」が実現すると、「学年」という概念はなくなります。
例えば、小学3年生の児童であっても、数学は中学レベルの内容を理解できるという子もいます。

本来、個人の学習進度は、学年の枠組みにとらわれる必要はありません。
学びたいという好奇心があれば、子どもは自ら先に進んでいきます。

しかし、今の日本の教育システムでは、学年で一律に線が引かれ、皆一斉に学年が上がっていきます。

コロナ禍で教育もオンライン化が加速しましたが、それでも全てをオンラインで担うのは難しいと感じている教育関係者は多いと思います。

対面とオンラインの両方を選択肢として持った状態で、目的や場面に合わせて選択できるのがベストであるように、子どもたちの学び方も多様であるべきではないでしょうか。

疑似的な留学を作りたい!難波さんが思い描く教育アプローチ


キッズドアHPより引用

今後、English Driveで挑戦したいことの一つとして、ネイティブの方と生徒がビデオメッセージを交換する授業を考えています。

以前、イスラエルの生徒と日本の生徒を、リアルタイムで繋いだことがあります。
生徒にとって良い経験にはなったと思うのですが、リアルタイムでのコミュニケーションはその場の瞬発力が求められ、学習としての効果はあまり期待できませんでした。

しかし、ビデオメッセージを送り合うようにすると、比較的環境がクローズドとなり、生徒が話す内容も濃くなります。
ビデオの編集も子どもたちが行えば、伝えたいことを短時間に凝縮する力も鍛えられます。

つまり、英語でのアウトプットのクオリティが格段に向上します。
私はこれを自分の中で「疑似的な留学」と呼んでいます。

ネイティブの方とのリアルタイムの英会話では、どうしても子どもたちが萎縮してしまいます。
ビデオメッセージという形を取ることで、子どもたちが達成できそうだと感じられる目標になると思います。

実現までに乗り越えなくてはいけないハードルは多いですが、子どもたちと一緒に楽しめる授業をつくっていきたいです。

NPOコミュニティとの関わりで新たな自分に出会う

NPOに関わりたいという想いがあっても、最初の一歩を踏み出せずにいるのなら、もしかすると始める前に考えすぎていらっしゃるのかもしれません。

新しいことを始めるのは勇気がいることです。考えすぎて動けないという気持ちもよく分かります。
ボランティアは偽善ではないかと、懐疑的な思いもあるかもしれません。ですが、自分自身のキャリアの選択肢をひろげる視点で、NPOへの関わりを考えてみても良いと思います。普段とはまったく異なるコミュニティに身を置くことで、これまでとは違う自分やキャリアに出会うことができます。本を読んでも知見は広がりますが、実際、参加することで得られるものは、自分自身の納得感が違います。

このインタビューが、あなたがNPOと関わりを持つきっかけになれば、この上ない喜びです。

難波さん、今日はありがとうございました!心地良い距離を保ちながら、軸を持ってキャリアを展開されている姿は、多くの方にとってNPOキャリアの始め方として受け入れられやすいのではないかと感じました。次回のワカモノ人材は、ジンバブエで青年海外協力隊をされている原光一郎さんを予定しています。ぜひご期待ください。

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Profileこの記事を書いた人

鈴木 大悟 Daigo Suzuki

准認定ファンドレイザー
フリーランス・ファンドレイザー

1994年埼玉県生まれ。慶應義塾大学商学部卒。大手証券会社でリテール営業に従事し、2018年に認定NPO法人かものはしプロジェクトの社会人インターンとして、NPOキャリアをスタートする。法人や個人大口の寄付開拓を担当する中で、日々たくさんの支援者の方々と実際にお話しさせていただき、寄付は”未来の社会への応援”であることを強く実感する。2019年にフリーランス・ファンドレイザーとして独立し、Webメディア事業の運営をはじめ、寄付募集のLP及び記事の制作や、遺贈寄付獲得のための設計支援などが特長。自らも収入の1割を寄付し続けることを信条とし、寄付を通して幸せや豊かさを実感できる方を、一人でも多く増やすことを使命とする。

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