無料 投稿日:2019年8月7日

つながりが生む力を大学のファンドレイジングの未来へ|FRJ2019特集号 スピーカーインタビュー

今年3月に立ち上がった「大学チャプター」。全国の「一人ファンドレイザー」を繋ぎ、互いに相談しあうネットワークが生まれたことで、今大学のファンドレイジングは大きく変わりはじめようとしています。「大学チャプター」としてのFRJ初登壇にかける想いを、共同代表の高橋麻子氏にお聞きしました!

プロフィール

高橋 麻子

ファンドレイジングコンサルタント(認定ファンドレイザー)
富山県出身。国際協力NGOで海外駐在とファンドレイジングを経験の後、株式会社ファンドレックスとクラウドファンディングプラットフォーム”Japangiving (当時名称)”にて非営利組織の資金調達のコンサルティングに従事する。2017年10月よりフリーランスへ。2018年4月より東京大学社会連携本部渉外部門にて法人・個人のファンドレイジングに関する調査分析、評価、戦略策定、マーケティングを担当している。大学チャプター共同代表。

聞き手

日本ファンドレイジング協会 企画アシスタント 吉見 新

全国各地でひとり途方に暮れている大学のファンドレイザー

──当協会には、地域別・テーマ別に11の「チャプター」と呼ばれるファンドレイザー同士がつながるための場があります。共同代表のお一人として、新しく「大学チャプター」の設立された経緯やその背景などを教えてください。

もともとの成り立ちは、昨年度のファンドレイジング・スクールに、大学関係者が集まったことにはじまります。そのメンバーが中心となって、今年3月に「大学チャプター」を立ち上げました。多くの大学において、ファンドレイザーは1~2人というケースがほとんどです。昨日まで会計担当だった人が、ある日突然基金担当に任命された「一人ファンドレイザー」たちは、どうしたらいいかも分からず、途方に暮れています。基金室をつくって、ホームページをリニューアルしても、そんなに簡単にはお金は集まらない、何を変えたらいいかもわからない。学ぶところすらない。そういう人たちを繋げて、相談し合えるネットワークを作ることが、大学チャプターを設立した大きな目的の一つです。

※ ファンドレイジング・スクール 共感性をマネジメントしながら、事業・組織・財源を成長させることができる本物の実践力を身につけたファンドレイザーを育成する1年間のプログラム。

現在の登録メンバー数は100名強で、月1回のペースで勉強会を開催しています。メンバーの半数は、首都圏以外のため、勉強会にはオンラインでどこからでも参加できるようにしています。今は「大学」チャプターという名称になっていますが、将来的には小中・高等学校や幼稚園、専門学校などさまざまな教育機関に広げていき、メンバーを1,000人に増やすことを目標にしています。そのためにも、「ひとりで悩まない、まずは繋がりましょう」というのは重要なコンセプトになっています。

FRJは大学チャプター初の「オフイベント」

──今年のFRJは、「大学チャプター」としての初めてのセッションになるわけですね!セッションやギャザリングの場を通じて、どのようなことを伝えたいと考えていますか?

これまでオンラインでじわじわ広がってきた取り組みが、設立から半年経って初めて対面場で集まる「オフラインイベント」のような機会となるのが今年のFRJです。それと同時に、大学のファンドレイジングの現状を知ってもらいたいと考えています。NPOが寄付を必要としていることは、今少しずつ認知され始めていますが、大学が寄付を必要としている事実は、そもそもまだ知られていないのが現状です。今、国公立大学の運営交付金は毎年1%ずつ削減されています。1%という数字は少なく見えるかもしれませんが、10年で10%削減されるということは、運営面で大きな影響を及ぼすことが明らかで、大学経営における緊急の課題となっています。大学のファンドレイジングはまだ始まったばかりで、ファンドレイジングのスキルをもった人が力を発揮するフィールドとして、大きな可能性があると感じています。FRJという場を通じて、そのことも伝えていきたいと思っています。

──大学のファンドレイジングとNPOのファンドレイジングには、何か違いがあるのでしょうか?

大学への寄付は、命に関わるような緊急性をもった寄付とは少し異なります。教育投資、未来への投資というのは、衝動的(情感的)な共感ではなく、未来に対する賛同や応援、研究の意義を理解していただくような時間をかけたアプローチが必要となります。そのため、同じ手法を用いていても、届けるメッセージや、寄付者が求めるコミュニケーションも異なってきます。大学のファンドレイジングに関する経験や知見の蓄積は、まだまだ始まったばかりと言えます。

また、大学には卒業生や在校生、その保護者などすでに多くの近しいステークホルダーがいるという点でも、NPOのファンドレイジングとは異なります。その人達と信頼感を基にした関係性を築き、共感を得て、大学を支えてもらう基盤づくりをしていくことがベースになります。それは大学のあり方や地域との連携、卒業生たちの人生や幸福に対して大学がどう貢献するのかという、大学の中長期戦略に関わる部分であり、担当者一人が寄付集めをすればいいという話でもないのです。

一方で、大学特有の課題もあります。多くの大学では、ファンドレイジングを担当する職員は、2〜3年で転籍していくために、プロフェッショナルを育成する体制や仕組みに課題があると言えます。だからこそ、困ったときに相談できる相手がいるということ、各大学のファンドレイザーをつなぐネットワークがあるということが重要になってくると考えています。

ファンドレイザーは素晴らしい職業だということを伝えたい

──先ほどの「ひとりで悩まない、まずは繋がりましょう」という言葉には、強い決意を感じます。その背景にはどのような想いがあるのでしょうか?

ファンドレイジングの学びには終わりがないと思っています。同じ環境や人間関係の中だけでは広がりもないので色々な人の話や経験を聞きたい、もっと学びたい!という好奇心旺盛な人が運営委員メンバーとして集まっています(10名)。

まだ半年ですがチームワークは良く、全国どこからでも日々チャットで悩みを相談し合い、毎日たくさんのグループチャットが飛び交っています。ファンドレイザーらしく、人の意見を否定せず、互いに「いいね!いいね!」と応援し合うベースがあります。そして、大学を愛し、ファンドレイザーは大変だけどやりがいがある素晴らしい職業だと思っています。

思いがけずファンドレイジング担当になって落ち込んでいる人に、「ファンドレイザー」はこんなに楽しく素晴らしい職業ですよ!ということを伝えていきたいですね。そのためにも、私たち自身が楽しんでいることが大切だと思っています。メンバーがやりたいことを発案し、他のメンバーはそれをサポートしていく。各々のメンバーがチャプターを通じて学んだことを大学に持ち帰り、それがやがては大学への寄付という市場全体を広げていくことに貢献する、そんな未来を夢見ています。

\大学チャプターは、今メンバーを募集しています!/
大学や研究機関のファンドレイジングに関心のある方は、どなたでも参加いただけます。
詳細はこちらから

高橋麻子さんが登壇する注目のセッションはこちら!

セッション
大学チャプターが描くファンドレイジングがつくる未来 〜「大学ファンドレイザー」その現状と可能性〜
セッション日時9月15日(日) 11:00〜12:10
スピーカー木村 昭/田 富士江/久保 優子/高橋 麻子
 

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