枠を超え、力を合わせる。ーFRJスペシャル&FRJオンデマンド開催報告
日本ファンドレイジング協会は、「システムチェンジ」をテーマに年次カンファレンスの特別版「FRJスペシャル in Tokyo」を2025年12月6日、東京・TOC有明で開催しました。同時開催した最前線のファンドレイジングの実践を動画で学ぶ「FRJオンデマンド」は、102日間の会期を終え、3月1日に閉幕しました。
ご参加いただいた皆様ならびにご登壇の皆様、協賛パートナー、ボランティアとしてお力添えいただいた皆様に、まずは心より御礼申し上げます。

「社会の仕組みを変えるー新しいお金の流れをデザインする」と題した、オープニングセッション
FRJスペシャルでは、社会のお金の流れを進化させ、社会課題にイノベーションを生み出そうと、ビジネスや仕組み、プラットフォームづくりに挑む人たちが、「システムチェンジ」を軸に一堂に会しました。
社会課題解決に向かうお金の流れが、質・量ともに大きく変化し、多様な担い手が参画した今、私たちにはこれまで以上に、枠を超え、互いに手を取り合うすべが求められています。

資金の「出し手」と「受け手」という関係をこえて
近年、社会課題解決をめぐるお金の流れの変化を象徴するものの一つに、新しい財団の立ち上げや資金提供者の増加が挙げられます。
先進的な取り組みを行っている4つの財団の代表が登壇したセッションには、資金の出し手の考えを知ろうとするNPO関係者らが数多く参加し、熱心に耳を傾ける姿が見られました。

1980年設立の米日財団は、両国関係の成熟を背景に草の根の人材交流から、日米共通課題への助成や日本のソーシャルインパクトのエコシステム強化への資金提供に軸足を移していることが語られた
セッションでは、各財団がどのような社会を目指し、どのような形で資金提供を行っているのか、また資金の「受け手」との間にどのような関係を築こうとしているかが語られました。そこでは、「信頼」「対話」「共創」といったキーワードが繰り返し語られました。

「この事業はもうからないよね」と言われ続けてきた起業家に対して、誰かがやらなければいけないことをやってくれていることに感謝しながら助成していると語る、公益財団法人Soil 代表理事の久田哲史さん(写真右から2番目)
変化する社会、課題の複雑さを前に、資金提供者自身もそのアプローチやあり方を変えていこうとしています。本質的な変化を生み出すための柔軟なリソースの提供、資金の「出し手」と「受け手」という関係を超えて共創のパートナーになろうとする挑戦が始まっています。
若者が感じる「おとなとの壁」。つながりが欲しい
日本ファンドレイジング協会の最高未来責任者(CFO)として活動する高校生・大学生チームが企画したセッションの中で彼女たちから語られたのは、「大人との間に壁を感じている」「『意識高い系』と見られて同世代との間にも壁を感じる」という意外な言葉でした。

セッションを企画したtFO(team Future Officers)のメンバー「せっかくNPOにいっても、気づけば“お客さん”になってしまう」という言葉も
セッションでは、参加者と高校生たちが直接対話する時間も設けられました。対話を終えた高校生メンバーからは、次のような言葉が聞かれました。
「大人の方からは、『そんな風に感じているなんて知らなかった。こっちはぜんぜん壁を感じてないよ』と言われた。もしかすると、私たちが勝手に作っていた見えない壁かもしれない。」

「対話の機会が本当に大事だと感じた。そういう場所をもっと増やしていけば、学生が感じている壁はなくせるかもしれない。」
自分たちなりの方法で、大人がつくった既存のシステムに風穴を開けようとしているメンバーたち。しかし、その胸の奥には「自分たちは必要とされていないのではないか」という不安もありました。
セッションを終えた彼女たちの口から聞かれたのは、「もっと話したかった。」「本当に充実した時間だった」という言葉でした。
ともに学び、新たな挑戦を後押しするエコシステムを
ファンドレイジングの最前線で行われている実践を、現役のファンドレイザーが動画で紹介する「FRJオンデマンド」。今回は、50本の動画に108人が登壇し、合計2,000時間を超える学びが生まれました。

オンデマンドセッションの一覧はこちら
FRJオンデマンドの学びは多岐にわたります。社会の動きやお金の流れのトレンドを俯瞰する内容もあれば、個別の取り組みに深く入り込むセッションもあります。そこで共有されるのは、必ずしも華々しい成功事例ばかりではありません。
「ファンドレイジングのスキルが求められている場が多様化し、またファンドレイジングを考えるアプローチが進化していることが実感できました。」
外から見ると順調に進んでいるように見える組織や、華々しく活躍しているように見えるファンドレイザーにも、悩みや葛藤、模索の積み重ねがあります。
何かに挑戦し、成功し、ときに失敗し、その過程で得た経験を学びとして形にする。
50本のセッションの一つひとつに刻み込まれた試行錯誤の軌跡が、次の誰かの挑戦を後押しする力になる。それこそが、FRJオンデマンドという場がもつ価値だと私たちは信じています。
「現場で奮闘する登壇者のリアルな経験談は胸に響き、『自分にもできることがもっとある』と前向きな気持ちが強く湧き上がりました。」
そして、京都へ。空間をこえる挑戦がはじまる
FRJ(ファンドレイジング・日本)がスタートした2010年、日本ではまだ「ファンドレイジング」という言葉すら知られていませんでした。16年が経過し、社会課題解決に向かうお金の流れは、質・量ともに大きく変化し、多様なアクターが参画してきました。
社会やファンドレイジングを取り巻く環境が大きく変化する中、FRJという場もまた、変化のときを迎えています。
この場所がもつ意味とは何か。果たすべき役割とは何か。その問いの中から、私たちは最初の挑戦として、「システムチェンジ」をテーマに掲げ、より多様な人々がセクターや立場、世代を超えて集い、対話し、つながりが生まれる場所を生み出すことに挑みました。

次の挑戦は、空間を超え、日本全国へとそのつながりを広げていくことです。これまで出会うことのできなかった多様なプレイヤーとの接点を求めて、初となる東京以外の開催地として京都を選び、2026年11月14日に龍谷大学(京都市)で「FRJ2026」を開催することを決定しました。
今、地域で活動するさまざまな担い手の皆様とともに、開催に向けた準備を始めています。(FRJ2026の詳細はこちら)
Event Snapshots
ここからは、FRJスペシャルで生まれた出会いと対話の瞬間を、写真とともに振り返ります。

社会課題解決を志すU24世代の学生を応援する無償招待プログラムを利用し、23名の若者がFRJに参加しました(sponsored by メインパートナー 株式会社ファンドレックス)

質疑応答では、先頭をきって質問するU24参加者の姿がたびたび見られました

ピッチコンテストでは「お金がない」「面倒くさい」といった寄付の壁に対し、ネットショッピングのついでに募金ができる仕組みを提案した小室拓巳さん(写真右から2番目)がグランプリを受賞

「応援してくれる仲間がたくさんいるという感覚をぜひ持って帰ってほしい」日本ファンドレイジング協会代表理事 鵜尾雅隆の開会メッセージ

枠を飛び越えシステムを変えていこうとしているリーダーたちの姿に、参加者からは「迷いや悩みを吹き飛ばしてもらった」という感想も

U24の若者たちと社会課題解決の第一線で活躍するリーダーが輪になって語り合うひとこま(写真手前は特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンの大西健丞さん)
世代も、セクターも、立場も。あらゆる枠をこえて
私たちは、一人の人間、一つの組織、一つの解決策では解くことのできない複雑な社会課題と向き合っています。政策やルール、お金の流れを変えるだけでは届かない、社会の「当たり前」を変える挑戦は、仲間を見つけることから始まります。

最後に、U24プログラムでFRJに参加した若者の感想をご紹介します。
どうしても“大きな何か”を追い求めたくなりますが、まずは目の前の一人をちゃんと見れているのか、に何度も立ち返りながら走っていきたいと思います。
課題に本気で取り組もうとする人たちと枠を超えてつながり、新しい関係性を築くこと。点で行われている取り組みを面へと広げ、システムを変える力へとつなげていくこと。ひとりではたどり着くことのできない未来の扉を開く挑戦が、ここから始まります。
Thank You to Our Sponsors
最後に、私たちと挑戦をともにし、本カンファレンスの開催を力強く支えてくださったメインパートナー、スペシャルパートナー、出展/協賛パートナー、後援パートナーの皆様を、心からの感謝とともにご紹介いたします。

株式会社ファンドレックス
Special Partner
物品寄付型ファンドレイジングプログラム『お宝エイド』
株式会社トラストバンク
リタワークス株式会社
出展/協賛パートナー
DXのプロ養成講座主宰|奏ワークス株式会社
米日財団
英治出版株式会社
カスタマイズできる支援者管理ツール「ZohoCRM」
キフフ
gooddo株式会社
コングラント株式会社
Syncable
株式会社すくらむ
全国レガシーギフト協会
日本政策金融公庫
公益財団法人日本非営利組織評価センター
公益財団法人ミダス財団
READYFOR株式会社
インテアス法律事務所
株式会社インフォマート
大学院大学至善館
Stanford Social Innovation Review Japan
特定非営利活動法人セイエン
ソーシャル・エンライトメント株式会社
株式会社ソノリテ
charibon by VALUEBOOKS
ファンディオ株式会社
PayPay銀行株式会社
株式会社Yogibo
リネットジャパングループ株式会社
後援パートナー
内閣府
外務省
文化庁
独立行政法人国際協力機構
特定非営利活動法人NPO会計税務専門家ネットワーク
特定非営利活動法人エティック
社会福祉法人大阪ボランティア協会
公益社団法人企業メセナ協議会
公益財団法人公益法人協会
特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)
公益財団法人助成財団センター
特定非営利活動法人セイエン
日本NPO学会
特定非営利活動法人日本NPOセンター
公益社団法人日本フィランソロピー協会
公益財団法人日本フィランソロピック財団
認定特定非営利活動法人日本ボランティアコーディネーター協会
FRJスペシャル&FRJオンデマンド開催概要

日時:2025年12月6日(土) セッション・交流会 9時30分~20時00分
会場:TOC有明 (東京都江東区有明3丁目5番7号)
セッション総数:17
特設サイト:https://jfra.jp/frj/index.html
【FRJオンデマンド】
視聴期間:2025年11月20日(木)~2026年3月1日(日) 102日間
セッション総数:50
特設サイト:https://jfra.jp/frj/ondemand/index.html
主催:認定NPO法人日本ファンドレイジング協会
Photo by Yosuke Ota
【お問合せ】
日本ファンドレイジング協会FRJ事務局
お問合せフォーム:https://jfra.jp/contact



