投稿日:2017年8月23日

社会貢献教育の寄付者に聞いてみた、私が寄付をする理由ー小川愛さん編ー

大石 俊輔Shunsuke Oishi
日本ファンドレイジング協会 マネージング・ディレクター

継続して社会貢献教育の推進にご支援頂いている寄付者の小川愛さんに、ご寄付で託して頂いた想いを伺ってきました。

小川 愛さん(日本アイ・ビー・エム株式会社 社会貢献室) ※肩書きはインタビュー当時
聞き手:大石 俊輔(日本ファンドレイジング協会寄付市場形成事業ディレクター)

IBMの社会貢献は会社の技術、社員のスキルや専門性を提供することを大切にしています。特に社員が支援先のNPOなどの活動を支援したり、弊社の得意分野を活かしたアウトリーチ授業を学校に向けて提供しています。しかしながら、アウトリーチ授業をしていると、現場に行く社員が限られてきてしまうという課題が見えてきました。何故なのかと考えてみたときに、実は社員にも寄付やボランティアなどの社会貢献活動の実体験にバラつきがあり、それぞれの社員に良い体験、経験がないとこのような取組みに参加することが難しいのではないかと思いました。一回でも、自分が社会に役割を見つけてそれを実感できる機会を得ていると、その後の行動が変化し自分らしい関わり方で社会貢献を行えるようになると思います。

ですので、これからの若い人にはどんどん社会貢献教育を受けて、自分なりの成功体験を積んでいってほしいと思うのですが、残念ながら今の学校教育の中でそれを提供するのはまだまだ難しいと思います。

私自身も高校時代に募金活動などはしましたが、継続的に何かに取り組んでいたということはありませんでした。ただ、母親に言われたのは、どんなに勉強ができるようになったとしても前の人が落としたハンカチを拾わないような人にはなってほしくない、ということです。人としてちゃんとした心を忘れないでほしい、と。今、中学生の自分の子どもにもそうなってほしいと思っています。家では募金をしていますが、今では子どものほうが募金をしているぐらいかもしれません。レジの脇の募金箱にチャリンとお金を入れてみたり、被災地で活動する犬のために募金をしたり。

親子で社会貢献について話すことが大切で、そのきっかけになるように、社会貢献教育も、公開授業のような形で親子で受けてもらえるといいと思います。そして、そのようなことをIBMでもできるといいなと思っています。ファミリーデーという親子で会社にやってくるイベントがあるのですが、例えばそのなかで社会貢献教育に関する催しができれば、親子で参加できるのでいいかもしれないですね。

寄付や社会貢献に対する意識を広げるのは、社会貢献に携わる者の責務ではないかと思っています。そのためにはいろいろな方法があると思いますが、私は教育学部の出身なので、なかでも教育という分野に関心があります。大学ではとりわけ学校経営や教師の資質などについて勉強していましたので、今でも教員養成や学校経営に興味が寄ってしまいます。社会貢献教育に関心があるのは、そういうバックグラウンドもあってなのかもしれません。

IBMでは元々マーケティングをやっており、2013年に今の社会貢献の部署に移りました。コミュニケーションの手法やブランドの価値を高める手法など、マーケティングで身に付けたことを生かしてどのように社会貢献を社内外に広げていくのか、人にアプローチしていくのか、まだまだやらなければいけないことがあります。
社会貢献教育には、いまの仕事での取組みにもつながるところがあり、今後の展開に期待しています。
 

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大石 俊輔 Shunsuke Oishi

日本ファンドレイジング協会 マネージング・ディレクター

2008年3月法政大学大学院政策科学研究科修士課程修了。学生時代より、まちづくり、文化芸術分野のNPOでのボランティアを経験。同年4月より特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンターに勤務。2010年6月より現職。2010年日本で初めての寄付白書の編纂で中心的な役割を担うとともに、次世代向けのフィランソロピー教育である「寄付の教室」実行責任者として活躍中。

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