投稿日:2024年3月7日

「物品」をお金に換えて寄付。日本赤十字社が「お宝エイド」をはじめて見えた新たな寄付のカタチ。

日本赤十字社東京都支部の物品寄付の取り組みについて、導入した経緯や物品での寄付という支援方法が生み出す新たな寄付者との関係性、寄付に託された想いを受け止め感謝を伝えるための具体的なコミュニケーションについて、担当された日本赤十字社東京都支部の髙橋郁弥さんと、「もったいない系寄付」の先駆的存在である「お宝エイド」の創業者、三井恒雄さんに、お話を伺いました。

「苦しんでいる人を救いたい」日本赤十字社が寄付を集める理由

三井:はじめに、日本赤十字社の理念や事業内容について教えてください。

髙橋:私たちは、「苦しんでいる人を救いたい」という理念のもと活動しています。赤十字病院や献血の協力・供給を行う血液事業だけでなく、災害救護活動やAEDの使い方や子どもの事故防止などを普及するための講習普及事業、子どもたちのやさしい心を育て、気づき考え実行する精神を育む青少年赤十字事業など、さまざまな取り組みを展開しています。災害救護をはじめとする多くの事業は、皆様からの寄付によって支えられています。


日本赤十字社の講習の様子(日本赤十字社の事業についてはこちらから)

髙橋 郁弥
日本赤十字社東京都支部 振興部 振興課

1991年生まれ。埼玉大学理学部生体制御学科卒業。2014年日本赤十字社入社。講習普及事業(2014-17)や災害救護(2018-20)の業務経験を経て、2021年から寄付募集業務に携わる。現在は個人の皆様からの寄付を担当。ダイレクトメール等での寄付依頼からお問い合わせ対応、寄付を受け付けてからの感謝と報告(訪問、資料作成)まで一連の事務を担当する。令和2年から「お宝エイド」のプログラムに参加。寄付に託された想いを受け止め、額面以上の価値にかえられるよう、寄付部門だけでなく事業部門にも参画している。救急法講師。幼児安全法指導員。以下、災害派遣歴。平成28年熊本地震、平成30年北海道胆振東部地震、令和元年台風19号、令和6年能登半島地震。
髙橋:寄付やボランティアに関するお問い合わせは非常に多く、なかには、金銭的な寄付だけでなく、物品での寄付を希望される方も多くいらっしゃいます。以前は物品での寄付は受け付けておらず、お断りせざるを得ない状況でした。しかし、「お宝エイド」さんを知ったことで、物品寄付の受け入れが可能となり、さらに寄付の幅を広げることができました。
「お宝エイド」について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ライフワークとして本気で挑み続ける。もったいない系寄付にとどまらない社会貢献の取り組みとは」(ファンドレイジング・ジャーナル・オンライン)

お宝エイドとつくる新たな寄付のカタチと関係性

三井:「お宝エイド」のプログラムに参加してみて具体的にどのような変化がありましたか?

髙橋:ボランティアの方々も、寄付に取り組みやすくなったと感じますね。日本赤十字社にボランティアとして関わってくださる方々は全国に85万人以上、東京都支部にも1万人以上いらっしゃいます。「お宝エイド」さんに参加してから、これまでになかった形でのご協力のお申し出が増えたように感じます。例えば、「昔趣味で集めていた切手を送っておいたよ」といった具体的な反応や「活動地域のみんなにチラシ渡したよ」という反響がありました。

三井:寄付者から届く物品を見ていると、手紙が一緒に入っていることが多いですよね。寄付される物品は、単なる「モノ」ではなく、想いが込められた「宝もの」と感じます。

三井 恒雄
物品寄付型ファンドレイジングプログラム『お宝エイド』

2004年マーケティング会社を起業。東日本大震災後、ソーシャルビジネスに関心を持ち、リユースと社会貢献を組み合わせた物品寄付型ファンドレイジングプログラム『お宝エイド』を開始。2015年アメリカ「スティービーアワード:非営利組織資金調達部門」で金賞受賞。2017年アメリカサンフランシスコで開催された世界最大のファンドレイジングカンファレンスAFPに参加、IFC-ASIAバンコク「第一回Social Impact Awards」招待参加。AMEX社会起業家アカデミー合宿選出(ETIC)。『SDGsを自分ゴト化するワークショップ』を中学校や高校、企業などで延べ1000人以上に開催。ふるさと版のSDGsボードゲームの制作にも取り組み、SDGsの普及啓発、相続、遺贈問題、地方創生、サーキュラーエコノミーにも取り組む。モットーは「顔合わせ、心合わせ、力合わせ」。

髙橋:そうですね。お送りいただいた手紙を拝見すると、ご家族が生前大切にされていた物品を眠らせておくのはもったいない、せっかくなら世の中のために使ってほしい、といったお声もいただいています。そういった思い入れがある物品をお送りいただくことも多いですね。

三井:寄付してくださった方々とのコミュニケーションは、具体的にどのようにされているのでしょうか。

髙橋:日本赤十字社では、寄付してくださった方々全員に、活動報告や寄付金の使い道を載せたチラシ、お礼状などを領収証と一緒にお送りしています。また、一定金額以上のご支援をいただいた方には、電話でお礼を伝えたり、直接ご訪問して寄付金の使い道などを説明させていただいています。さらに、「お宝エイド」さんを通じた物品寄付にご協力いただいた方々には、領収証と一緒に、職員が直筆でお礼の手紙を書きお送りしています。

三井:「お宝エイド」では、こうした寄付者とのコミュニケーションなど、感謝の気持ちをどのようにお伝えするのが良いか、具体的な方法を、参加団体の皆さんに共有するようにしています。団体間の垣根を超えて、一緒により良い寄付の文化をつくっていくということを大切にしたいと思っています。


(写真左)髙橋郁弥さん (右)三井恒雄さん

支援の選択肢を広げ、寄付の相乗効果を生み出す

三井:一方で、「お宝エイド」への参加を検討されている団体さんの中には、これまで金銭で寄付されていた方々が物品での寄付に流れてしまい、金銭寄付が減ってしまうのではないかと懸念される団体もあります。日本赤十字社さんの場合、実際に「お宝エイド」に参加されてから集まる寄付には具体的にどのような変化が見られたでしょうか?

髙橋:今回の対談に際して、これまでの実績を確認してみましたが、物品寄付が金銭寄付を減少させるということはありませんでした。「物品寄付が初めての寄付」という方々からも多くご協力いただいていますが、それ以上に、金銭で寄付してくださっている既存支援者からの物品寄付のご協力が多いです。「お宝エイド」さんに参加することで、既存支援者との接点が増え、関係性が深まったと感じています。

三井:我々としても目指しているのは、物品での寄付という支援の選択肢を広げ、相乗効果を生み出し、結果として寄付全体を増加させることです。日本赤十字社さんにそのような変化が見られたというのは、非常に嬉しいですね。

寄付していただいた金額以上の価値を生み出す

髙橋:日本赤十字社として、いただいた寄付に対して感謝の気持ちを伝えるだけでなく、寄付に託された「苦しんでいる人を救ってほしい」という想いをしっかりと受け止め、いただいた寄付によって我々の活動をより充実させて、寄付の金額以上の価値を生み出すことを常に考えています。

三井:寄付によって団体の活動の範囲が広がることで、より多くの人々を支援することが可能になります。1のお金でそのまま1人を救うよりも、1のお金で団体の活動を充実させ10人を救うといったように、いただいた寄付の金額以上の価値をしっかり出すことができているかにもっと注目が集まるべきですね。団体への寄付を使途だけでなく、生み出したインパクトによって評価するように変わっていくといいなと思います。そして、寄付の方法として物品寄付という選択肢を設けることで、団体の活動の幅をより広げることができ、より多くの人々を救うことにつながると思います。「お宝エイド」は、今後も、より良い社会をつくろうとしている団体と協力し、物品寄付の可能性を拡大していきます。


お宝エイドは「寄付・社会的投資が進む社会の実現」に向けて、
当会と一緒にチャレンジするスペシャルパートナーです。

Commentsコメント

会員限定コンテンツを読むために

ファンドレイジングジャーナルオンラインを運営する「日本ファンドレイジング協会」とは?

より良い記事をお届けするために、
皆さまからのご意見をお寄せください

※いただいたご意見には全て対応できない可能性がございますので予めご了承ください。