新連載、イノベーティブ・チャレンジの始まりです。ファンドレイジングにとって、新しいツールや仕組みによるイノベーションは常に必要不可欠です。世界でも次々と新しい発想や新しいメカニズムでのファンドレイジングが誕生していますが、この連載では、そうした世界、そして日本のイノベーションの最先端を解説することを目的としています。是非、この連載にヒントを得て、あなた自身の手によるイノベーションを仕掛けてください。
Mobile Giving FoundationのジムCEOも感激した「かざして募金」
3月5日、ソフトバンク社は、「かざして募金」という新しい携帯寄付プラットフォームを提供するサービスを開始しました。このチャレンジは、いくつかの点で極めて重要なイノベーションを日本の寄付市場に対して起こしていく可能性があります。
具体的な仕組みは、図をご覧ください。簡単に言いますと、画像認証の仕組みを活用して、その団体のポスター、ロゴなどの認証を携帯電話で行うと、自動的にその団体の寄付画面に飛び、そこから寄付をすることができ、更にはその寄付額が携帯料金から天引きされるという仕組みです。
これまで、携帯電話の寄付については、いくつかのハードルがありました。震災前には、そもそも、毎回クレジットカード番号などを入力しないといけないということがありました。震災後に、日本の携帯会社の中でも、携帯料金に課金する形での寄付の仕組みが導入されましたが、残念ながら携帯会社の指定する数団体のみが活用できるという形となっており、多くのNPO等が利用できる寄付プラットフォームとは呼び難いものでした。
先日、ファンドレイジング日本2014に登壇するため来日したジム・マニスが立ち上げたMobile Giving Foundationでは、数千のNPOが寄付プラットフォームとして活用できる携帯寄付(携帯料金に課金できる)の仕組みを構築し、世界的に有名になりましたが、日本ではそうしたことはできないという状況でした。
そこで、ソフトバンクのみなさんが検討を重ねて誕生したのがこの「かざして募金」という仕組みです。2月に来日したジム・マニスも、実は公表前のこのサービスについてソフトバンクの皆さんから紹介してもらったのですが、「このユーザビリティは素晴らしい」といたく感激をしていました。
といいますのも、実はMobile Gibing Foundationのモデルは、テキストメッセージ寄付の形をとっていて、例えば「22118(団体ごとのID番号)に5ドル」というテキストメッセージを寄付者がMobile Giving Foundationに送信すると、Mobile Giving Foundationがそのメッセージを自動認証して、携帯会社にその寄付者の携帯料金に課金してもらい、NPOに寄付するというもの。自動化されていて素晴らしいのですが、他方で、テキストメッセージ社会のアメリカと違い、日本ではテキストメッセージを使う人がそもそも少ないという課題がありました。
そこで、いろいろと知恵をしぼって考え出されたのが、画像をキャプチャして、それで決済画面に飛ぶという手法。ある意味、日本の文脈にあったイノベーションを考えられた訳です。
かざして募金の持つ可能性
画像を認証するので、駅でも屋外イベントでも、パンフレットでも、TVでも雑誌でも、その写真などのうえに携帯をかざすだけで寄付できるというこのしくみ、いろいろと「遊べる」というところが最大のポイントだと思います。パラリンピックのスタジアムで感動したらその場で携帯で寄付するということだってできるし、講演して、その場で、パンフレットにかざしてもらってもいい。きっと全国のファンドレイザーの方の中には、面白い活用の仕方を思いつく方がいると思います。
なんといっても1000団体を超えたっておかしくないくらい、幅広い団体にプラットフォームを提供しようということに、大きな可能性があると思います。
まず、ソフトバンク社さんのチャレンジから始まったこの「かざして募金」是非、全主要キャリアで当然のようにできるようになるといいと思います。
【かざして募金の特徴】
・画像認証から即寄付決済画面に飛べること
・携帯料金に課金することによる利便性
・少数ではなく、たくさんのNPO等が活用できること
・毎月継続寄付にも対応できること
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