投稿日:2015年11月9日

小さい会社が考えた継続しやすい社会貢献プログラム ~「古本」を介して、社会と人とのつながりを生み出す仕組み「チャリボン」

三島 理恵Rie Mishima
認定ファンドレイザー
CSR/NPOコンサルタント

ファンドレイジング大賞特別賞受賞された株式会社バリューブックス(以下、バリューブックス)の中村大樹代表取締役社長にインタビューをさせていただきました。

バリューブックス 1

 

バリューブックスは、本やDVDなどのリユースを活用し、その買取金額をNPOなどを通じて社会課題解決のために役立てられるプログラム「チャリボン」を提供されています。

2008年から始まったこのチャリボンは、今では、76,979人から8,914,973冊を集め、186,531,169円の寄付を届けられています。

小さい会社でも継続できる社会貢献プログラムを模索したどり着いたのがこのチャリボン

バリューブックス自体は9期を迎える会社です。本社のある長野県上田市には、「認定NPO法人侍学園スクオーラ今人という若者支援を行うNPOがあるのですが、そのNPOの代表が私の恩師だったため、NPOの活動はわりと身近なところにあり、起業してしばらくしてから何か自分にできることがないかと思うようになりました。例えば自社の収益の一部を寄付する方法だと、正直に言うと、今期はできるけど来期できるかはわからないという不安もあり、小さな会社でも継続して行えることはないかと「認定NPO法人育て上げネット」の理事長に相談をしたところ、このチャリボンの案が生まれ、まずは育て上げネットでやってみようということになり「キフボン」というプログラムをやってみました。

そして、その後、たまたまその取組が掲載された新聞を見た東京大学のファンドレイザーからご連絡をいただき、初期の段階から、認定NPO法人を取得されている育て上げネットと国立大学の東京大学の2つの組織を寄付先として展開することができ、多くの信頼を寄せて頂けることにつながったと思っています。

バリューブックス 2

 

寄付者とのつながりをもつきっかけになる

寄付先のNPO等からは、いきなり「寄付をください」というのは難しくても、「不要になった「本」を送ってください」というのは言いやすく、また読まなくなった本を梱包しておけば着払いで送るだけなので、実際に行動してもらうハードルも低く、寄付先からは「寄付者とのつながりをつくるきっかけとなった」という声をいただいています。

バリューブックス 3

また、子どもから高齢者まで幅広く参加できる方法なので、多くの人を巻き込みやすいので、例えば、企業が社員などから古本を集め、送ってくださるところもあります。弊社でも「古本を集めて送ることで企業の社会貢献活動になりますよ」という呼びかけもウェブを通じてしていますが、企業の担当者から突然、「古本を集めたのでお送りしますね」とご連絡をいただくこともあります。

寄付先となっている組織も77団体、42校の大学、自治体など多様ですので、「思い」を届ける先を自由に選んでいただける点も評価して頂くことがあります。

「古本」を介して、地域社会と人とのつながりを生み出したい

みんなそれぞれに「こんな社会になるといいな」とか、特に、このジャーナルを購読されている方は強い「思い」を持っていらっしゃる方が多いかと思います。私たちにとっての強み(=value)は「古本」になり、それを介して地域社会と人とのつながりを生み出すチャレンジをしていますが、自分たちの[value]はなにか、どうそれを作っていくのかを考え、[思い]と[value]を結び付け、この社会をみなさんと一緒によりよい場にしていきたいと思っています。

 

VALUE BOOKS http://www.valuebooks.jp/

チャリボン http://www.charibon.jp/

 

【今年も募集しています!拡散歓迎】自薦・他薦を問いません
第7回日本ファンドレイジング大賞
▽詳細・応募はこちらから
https://jfra.jp/frj/2016/award/
*2015年11月30日(月)(郵送の場合は、当日消印有効)
**
発表は、ファンドレイジング・日本2016にて!
2016年3月12日(土)、13日(日)
▽詳細・お申し込みはこちらから
https://jfra.jp/frj/
【早割・12/18(金)まで】
 

Commentsコメント

Profileこの記事を書いた人

三島 理恵 Rie Mishima

認定ファンドレイザー
CSR/NPOコンサルタント

大学卒業後、国際協力機構に勤務。2009年6月から設立スタッフとして日本ファンドレイジング協会に入職し、事業の立ち上げ、広報全般を担うコミュニケーション・ディレクターとして従事。また、企業、NPO、行政、国際機関などと協働で行っている寄付キャンペーン「寄付月間-Giving December-」の実施にも尽力。現在は、企業やNPOの社会活動のコンサルタントとして、動物殺処分ゼロ、こども食堂、途上国の女性支援、スポーツ選手による社会貢献活動などの事業に携わっている。

Other articlesこの著者の他の記事を読む

2019.10.31

New KOREA―韓国でみたクリエイティブからムーブメントにするというチャレンジー

活動レポート
三島 理恵 / 認定ファンドレイザー
2018.3.20

日本で初めて、国際協力NGOと地域福祉団体によるファンドレイジング協定を結んだわけ-寄付者は奪うもの...

インタビュー
三島 理恵 / 認定ファンドレイザー
2018.2.23

童話「赤い鼻のトナカイ」の“ルドルフ”に思いを乗せた「ルドルフ基金」 ―サンタクロースが来ない子ども...

戦略的ファンドレイジング
三島 理恵 / 認定ファンドレイザー
2017.10.16

「もやっ」とした理由でやめていったアルバイトのスタッフがきっかけではじまった社会的事業で寄付3億円超...

未分類
三島 理恵 / 認定ファンドレイザー
2017.8.28

すべての人の社会貢献のプラットフォームをつくりたい -社会貢献に関心のない人に、行動してもらうために...

未分類
三島 理恵 / 認定ファンドレイザー
2017.7.5

タイズ財団がソーシャルイノベーション財団と呼ばれるワケとは?

戦略的ファンドレイジング
三島 理恵 / 認定ファンドレイザー
2016.6.17

いよいよ動き出す社会的インパクトの未来

活動レポート
三島 理恵 / 認定ファンドレイザー
2016.6.10

社会のお金の流れをデザインするトップランナ―たち ~ダイナミックな社会変革を起こしていくために必要な...

ファンドレイジング・日本
三島 理恵 / 認定ファンドレイザー
2016.3.30

日本からアジアへ、日本のファンドレイジングの可能性を見た~AFP International Fun...

未分類
三島 理恵 / 認定ファンドレイザー

会員限定コンテンツを読むために

ファンドレイジングジャーナルオンラインを運営する「日本ファンドレイジング協会」とは?

より良い記事をお届けするために、
皆さまからのご意見をお寄せください

※いただいたご意見には全て対応できない可能性がございますので予めご了承ください。