投稿日:2017年5月19日

第3回 Step 2 既存寄付者・潜在的寄付者の分析

徳永 洋子Yoko Tokunaga
認定ファンドレイザー
日本ファンドレイジング協会 理事

まず、ファンドレイジングサイクルの最初のステップ「Step 1 組織の潜在力の棚卸」について考えました。組織一丸となってファンドレイジングに取り組む体制が整ったら、さあ、いよいよ実務が始まります!

ファンドレイジングの具体的な計画を策定する際、まず、「誰を対象にして寄付を募るか?」ということを考えないとなりません。社会の大きな課題に取り組むNPOにとって、支援の依頼に応えて課題解決に協力してくれる人は多ければ多いほどいいに決まっています。「誰に支援してもらいたい?」と聞かれたら、思わず「全人類!」と答えたくなります。
ただ、寄付集めという具体的なアクションを成功させるには、やはり依頼対象を絞った戦略的な発想が必要となってきます。「全人類に御支援をお願いしたい!」と思っていたとしても、ここは、ちょっと我慢して、対象範囲をある程度絞り込んだ効率的なキャンペーン、あるいは一つのキャンペーンでも対象ごとに変化をつけたファンドレイジングに取り組んでみてはいかがでしょう。たとえば、若い女性と中高年男性では、それぞれにふさわしい訴求の手段、文言、表現などがあるはずです。また、10万円の寄付をしてもらうのと3千円の寄付をしてもらうのでは、集め方も御礼の仕方も違ってくるはずです。
そこでまず必要になるのが、既存の寄付者の分析と潜在的寄付者の見極めです。

1)既存の寄付者の分析

これまでに寄付をしてくれた人たちは、すでに団体の活動のよき理解者です。きちんとした報告や感謝の意が伝わっていれば、団体との関係性はさらに深まってきているはずです。あらたに支援を募る場合、まずはその方たちにお願いすることは欠かせません。
そこで、これまでの寄付者に、一律に「またお願いします!」と依頼するより、もう少し戦略的なお願いの仕方をするために、こうした既存の寄付者を分析してグループ分けしてみてはどうでしょう。
個人情報を得ることは容易ではありませんが、既存の寄付者については、会員名簿として、あるいは折々のアンケート返信などで、住所やメールアドレスといった連絡先情報以外にも、その人の属性(性別、年齢、職業など)がわかっている場合が少なくありません。また、ある人が、過去に、会費、寄付、物販、イベント参加費などでどのくらい経済的に貢献してくれているのか、そういう履歴も把握可能です。そのためには、平素の地道な名簿管理(データベース構築)が重要だということは言うまでもありません。
こうしたグループ分けができるようになったら、それを活用して、既存の寄付者のどの層の何人位の人を主たる対象にして、目標額はいくらで、どういうやり方でファンドレイジングするのか…といった具体的な計画を立てることができるようになります。

2)潜在的寄付者の見極め

既存の支援者以外の人たち以外にも支援の依頼を拡大していかないと支援の輪は広がません。そこで、潜在的な寄付者を見極める必要がでてきます。ただ、潜在的寄付者を見極める方法はそれほど容易ではありません。
まず、団体への各種問い合わせ、イベント参加、商品購入など、一度でも団体と接点を持った人たちは確実にデータベースに入れておきましょう。そういう人たちは、まだ入会や寄付といった具体的な支援には至らずとも、かなり団体との距離の近い人たちです。「寄付者予備軍」といってもいいかもしれません。
そういう人たちとは、あまりコストをかけない方法でよいので、折々接触して関係性を構築していきましょう。定期的にメールでイベント案内や活動報告を出していくだけでも、縁が途切れてしまうことは防げます。
また、あらたな支援者を開拓するためには、団体の会員さんに「何がきっかけでウチを応援してくれるようになったか?」をヒアリングしてみるのもいいかもしれません。共通した「きっかけ」や、「入口」があれば、それを念頭において、より効率のいいファンドレイジングの計画づくりが可能になります。

3)寄付者分析に活用できる「支援者ピラミッド」

データベースから、あるいはヒアリングから、団体の既存、あるいは潜在的寄付者の姿が見えてきたら、それを、このようなピラミッドにマッピングしてみてはどうでしょう。

例)

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ここで大切なのは、(※)の、いわゆる不特定多数の人たちについて、「どんな人たちか」をできるだけ具体的にイメージすることです。そして、そういう人たちにアクセスできる方法を考えて実行することで、「潜在的な寄付者」が「寄付者」に変わる可能性が高まります。
たとえば、食の安全に取り組む団体が、「子どもを持つ若い母親」を潜在的な寄付者と設定したら、そういう人たちが集まるところにチラシを置いてもらう、あるいは団体ホームページで子どもの食事に関連した食の安全の情報を提供するといったことで、団体との接点を持ってもらえる機会を創出。寄付を募るなら、「子どものための未来」をイメージさせる文案やイラスト、さらに若い母親が支払える程度の金額を「一口」に設定する、といった具体的な手法を導き出すことができます。

次の記事(「第4回 Step 3 理事・ボランティアの巻き込み」)はこちら

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Profileこの記事を書いた人

徳永 洋子 Yoko Tokunaga

認定ファンドレイザー
日本ファンドレイジング協会 理事

東京都出身。大学卒業後、三菱商事に勤務。1998年から日本フィランソロピー協会で視覚障害者向け録音図書のネット配信事業「声の花束」を担当。2000年よりシーズ・市民活動を支える制度をつくる会で、おもにNPOのファンドレイジング力(資金調達力)向上事業に従事。そのプロジェクトの一環として、日本ファンドレイジング協会設立を担当し、2009年2月、同協会設立と同時に同協会事務局次長となり、2012年6月より2014年末まで同協会事務局長をつとめた。現在、同協会理事。2015年2月にファンドレイジング・ラボを立ち上げた。

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