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【報告】ファンドレイジングセミナー「戦略的な大口寄付獲得と遺贈寄付設計」

2011.10.20

「スピーカー」
♦マルタ・M・レジュコフスキー(ビジネス ディベロップメントディレクター(アジア担当)シニアコンサルタント グローバル フィランソロピック)
♦早坂毅(横浜市立大学講師・税理士)

「解説・通訳」
♦伊藤美歩(日本ファンドレイジング協会理事)

「記録者」
♦村松正彦(日本ファンドレイジング協会ボランティア)

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マルタ氏の講演は、大口寄付の定義から始まりました。まずマルタ氏は、寄付者のピラミッドを紹介しました。このピラミッドの一番下は小口寄付者で、こちらは沢山の寄付者がいます。一方で、ピラミッドのトップは金額が多い寄付者ですが、数は少ないです。
次に、大口寄付獲得に向けての方法について話されました。これは、寄付者のピラミッドの下の人を上に押し上げる方法と、富裕層にピンポイントでコンタクトする方法がありますが、どちらも手法としてはほぼ同じで、以下の様なステップになります。
1)金銭的なキャパシティがある人を見付け、確認する。
雑誌などに載っている富裕者のリストなど様々な情報源から情報収集を行います。

2)関係構築活動
一番重要で、これ無しではほぼ確実に失敗します。彼らと団体との接点を作り、寄付者にとって団体と意味のある関係を作るという作業です。関係構築を急いで寄付を早く頼んだ場合は、NOと言われる可能性が高まります。

3)寄付依頼
本当の大口は依頼なしに寄付はありえません。

4)お礼
寄付に対するお礼です。

5)さらなる関係構築
寄付者が寄付により得られる関係性を提供する事です。マルタ氏がこれまで大口寄付者から聞くのは「関係構築までは一生懸命頑張るが、寄付後にがっかりする事が多い」との事で、皆さんが同じ間違いをしないために、関係構築・寄付と、お礼・更なる関係構築に同じ位の時間を掛ける事を強調されました。
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最後にマルタ氏は、大口寄付者の寄付動機をリストアップされました。
・社会貢献に対する義務感
・子供や孫などが活動しているNPOへのサポートとして
・社会的なプレッシャー
・ビジネスを行う上で、友人や社交クラブなどからの期待のため

次に早坂氏の講演となりました。
早坂氏が日本ナショナルトラスト協会の評議員をされていた頃、1ヶ月に数件、遺贈寄付の相談の電話が来たそうで、早坂氏はこれを通じて遺贈寄付の事を知りました。
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次に早坂氏は「遺贈」の説明をされました。
「遺贈」とは遺産の贈与であり、認定NPO法人に相続すれば非課税となります。認定NPO法人は今年の法律改正で、寄付の際による所得税の税額控除の還付率が非常に高まった事など、認定NPO法人取得のメリットをお話しされました。

更に非営利団体の遺贈への取り組みについてお話されました。
アメリカではこれが盛んで、アメリカの総寄付額の7.8%が遺贈寄付で、その金額は1兆6400億円にもなるそうです。日本ではまだ盛んでは無いですが、生涯未婚率の増加などの影響で、日本の遺贈寄付市場の可能性は有望だそうです。

最後に早坂氏は、遺贈寄付者を増やす為に寄付者を活動に巻き込む事や寄付者を知る事の重要性を強調されました。

早坂氏の講演後、伊藤氏に総論をいただき、マルタ氏と早坂氏への質疑の時間となりました。
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「質問」関係構築活動とは具体的にどういう事か?
・マルタ氏の回答:一番強調したい事は、関係構築を通じて団体のビジョン・ミッション・価値、上層部のリーダーシップを知る機会を提供する事。ミッションを知って貰う方法は、例えばこどもをサポートする団体なら、その現場を見て貰うツアーを作る。
団体の価値もミッションも分かったが、寄付に至らないというのは、団体のリーダーに会っていないから。人間的な信頼関係の構築が大切。

「質問」遺贈で土地建物の寄付は、直ぐ現金化出来る物はありがたいが、現金化が難しい物への対応は?
・早坂氏の回答:貰う方は認定NPO法人がある事が前提。現行税制は相続により不動産を貰う場合には、一定期間はその団体の事業の為に使う事が求められる。ひとつの対応としては、有用な財産は団体によって違うので、複数の団体でグループ化を図り、遺贈されるものによって適当な団体に割り当てるという方法。

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最後にマルタ氏から、日本の超富裕層の特徴として、他の国より匿名性を求める方が多い事と、それを前提に匿名を希望する人は「どういう匿名を求めているのか?」それを知る事が大切とのアドバイスがなされ、セミナーが終了しました。