「法人寄付を増やしたい」多くのファンドレイザーがそう願いながら、法人寄付獲得の方法については、あまり語られていません。
私は、「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」をミッションに掲げる認定NPO法人フローレンス(以下、フローレンス)のファンドレイザーとして、2017年11月より活動しています。2017年当時、フローレンスは、寄付を原資に活動する事業を積極的に立ち上げており、寄付への期待は大きくなっていました。私は、自身の前職(IT企業)で身につけた知見も活かしながら、法人からの寄付を得るためにチームメンバーと試行錯誤してきました。
結果、下記グラフの通り(緑色の部分)、法人寄付は大きく成長しました。今回のシリーズでは、そうした実経験から得た法人寄付のポイントをご紹介します。
フローレンスの寄付受領額の推移(緑色の部分が法人寄付)
「寄付白書2017」によると、個人寄付総額は2010年の4,874億円に対し2014年は7,409億円と、2,535億円(52%)増加しています。対して、法人寄付は2010年に6,957億円、2014年は7,103億円と、146億円(2%)しか増加していません。一方、寄付単価を見てみると、2014年の個人寄付者1人あたりの寄付単価は1.68万円ですが、法人寄付1社あたりの寄付単価は169万円と、なんと個人の100倍です。
日本経済団体連合会が2020年に行った「社会貢献活動に関するアンケート調査結果」では、回答企業の93%が「寄付等の資金的支援」を行っていると答えています。そして、2017年度の調査には入ってなかった「技術協力、ノウハウ提供」、「事業化に向けた実証的なプログラムの実施」など、本業に関連する活動に取り組む企業が見受けられるようになってきています。
また、社会貢献活動の推進主体についても、2020年になると「拠点(支社・支店・工場等)の社会貢献活動担当部署や担当者」などが増え、関与する主体が増えていることも見受けられます。
そして、2017年から2020年にかけて、社会貢献活動の変化に最も影響を与えた事柄には、「国連の持続可能な開発目標(SDGs)の浸透」が最も多く挙げられ、次いで「株主・投資家の期待の変化」が多く回答されています。
2000年以降、企業は社会の一員として社会的責任を果たすCSR(企業の社会的責任 Corporate Social Responsibility)の概念が浸透し、多くの企業が何らかの社会活動を行うようになりました。2011年には、マイケル・ポーターが提唱したCSVという概念が浸透し、企業は本業を活かして社会課題解決を行うようになります。CSV(共通価値の創造 Creating Shared Value)は、社会的な課題の解決と企業の競争力向上を同時に実現するという意味で、日本企業においても関心が高まっています。
企業は、企業価値や競争力を高めるためにも、社会的な課題への解決に自らが取り組むようになっています。そして、非営利組織に対しても、資金的支援だけではなく、技術協力や実証的なプログラムの実施といった活動に取り組む企業が増えています。
次号では、「なぜ、NPOと企業は連携するのか」についてお話します。
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