投稿日:2021年7月30日

大学生の目で見る世界のファンドレイジング|特集・世界のファンドレイジングの今〜AFP ICON2021からの学び

木暮 里咲Risa Kogure
准認定ファンドレイザー
大学生

米国で毎年開催される世界最大のファンドレイジング大会「AFP ICON」、今年6月にオンラインで開催されたAFP ICON2021に参加した5人のファンドレイザーが、それぞれの視点で世界のファンドレイジングの今を伝えます。

大学生の目で見る世界のファンドレイジング
大学3年生 木暮 里咲(准認定ファンドレイザー)


参加して感じたこと

AFP ICON2021に初めて参加しました。1年前にリアルで参加することを楽しみにしていましたが、1年越しにオンライン開催となり、楽しみにしつつも全体的なイベントの想像がつきませんでした。

しかし、オープニングセッションでイメージは大きく変わりました。司会者、ゲスト、そしてホストの方々の話す際の熱量やトーン、掛け合いのライブ感が大きく影響していました。ファンドレイザーがそれぞれAFP ICONに期待すること、自分のファンドレイザーとして持つ目標が伝わってきたからこそだと思います。ファンドレイザーとして仕事をする際に意識していること、個人の目標をしっかりと持ち、その発信を恐れていないからこそ伝わってきたのだと思います。

それぞれのセッションも、用意された台本をもとに話すのではなく、お互いから学ぶことと掛け合いを大切にし、わかりにくい内容については積極的に話を止め、訊いていました。これこそが事前収録でありながらも、オーディエンスのことも考えたイベントのあり方なのだなと思いました。

発見・学んだこと

それぞれのセッションには違うカラーがあり、ファンドレイザーでない登壇者もいたことからよりはっきりと違いが見えました。どちらのセッションにおいてもその人の経験と知識が存分に伝わる工夫され、それぞれに良い部分があったからこそ学びが多くありました。

寄付については、このご時世で寄付への関心と貢献が拡大していることはデータや実感としてあったものの、世界の傾向を改めて見ることはありませんでした。数字やデータ分析が不得意な人にとっても内容を理解できるようなデータの提示がされているセッションに参加しました。だからこそ、数字が苦手な人もデータを学び、分析した上でファンドレイジングを行うことの大切さに改めて気づきました。

ファンドレイザーと、心理学者やワークショッププロデューサーなどが話すセッションでの違いは、事例共有に現れていました。ファンドレイザーは、具体的に関わる団体名や戦略を公にすることができず、概念ベースの話もありました。一方それ以外の分野は、具体的な戦略、事例、方法などを学ぶことができました。具体的な戦略がなくとも、個人としての経験を話すことや参考になるような内容を話すことで、知識が少ない私のような人も学びやすいいセッションがファンドレイザーによって展開されていました。

今後に活かしたい、展開されると良いと思ったこと

学生としてクラウドファンディングの実施に関わることが多い私にとって、クラウドファンディングのノウハウについてのセッションが一番印象に残っています。どれだけ計画、準備をし、時間をかけるかでそのプロジェクトが成功するか否かが決まるという話でした。まずは団体の身の回りやウェブサイトの整理から始め、事前に周囲に声をかけること、ペルソナ分析を行うことに始まり、様々な方法でのキャンペーンの展開など広くアドバイスの含まれたセッションでした。

具体的なステップも学び、まだまだオンラインでのコミュニケーションが続く環境の中で学ぶこともありました。オンラインイベントにおいて参加者に考える余白を残すこと、時間を取ることが一つ重要な要素だと思いました。参加者が内容を消化できる時間にもなるため、とても効果的であり、今後実践していきたいと思いました。

そして、「ファンドレイザーはお金をいくら集めることができるのか、どれだけの支持をもらえるのかを考えることが仕事なのではなく、一人では社会にインパクトを与えることができなかった人の手助けをするのである。」というオープニングセッションの言葉が一番印象に残っています。これまではっきりしてこなかった自分のファンドレイザーの役割に、最も適切な答えが見つかった瞬間でもあり、今後も大切にしていきたいい言葉です。

ここにまとめきれないほど、AFP ICONを通して本当にたくさんの学びがありました。特に、まだまだ実践経験がなく、学生である私にとって刺激的な時間になり、貴重な体験になりました。この期間を通して学んだことを今後活かし、ファンドレイザーとして貢献できるよう頑張っていきたいと思っています。

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Profileこの記事を書いた人

木暮 里咲 Risa Kogure

准認定ファンドレイザー
大学生

2000年生まれ。現在大学3年、准認定ファンドレイザー。高校1年時にボランティア部に入部、部長として東京都練馬区や長野県上田市で、地域の企業や行政・NPOとつながり、まちあるきイベントやスタディツアーなどを企画・実施、大学では若者によるまちづくりを中心に研究中。寄付月間発足時には唯一の公認中高生団体として参加し、中高生への寄付啓発イベントで寄付月間2017大賞を受賞。その後寄付月間共同事務局メンバーとして活動中。任意団体Social Good Creators(SGC)の代表として若者がよりソーシャルアクションに取り組みやすい環境づくりときっかけを作れるよう模索中。

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