※スペシャルパートナーは、寄付・社会的投資が進む社会の実現のために、日本ファンドレイジング協会と一緒にチャレンジする法人パートナーです。
ソーシャルセクターに革新をもたらす面白いアイデアが必要
鴨崎:弊協会も共催させて頂いている「IDEAS for IMPACT 2019」について、まずはなぜこのような企画が生まれたのか、その背景を教えてください。
平尾:私たちは、3年前に、米国で開催されている世界最大のファンドレイジングカンファレンス、AFP(Association of Fundraising Professionals)に参加しました。このAFPは、世界から4,000人ものファンドレイザーが参加し、ファンドレイジングのノウハウや最新事例が共有されます。何より驚いたのは、ファンドレイジングを成功に導くあらゆるツールやサービスの提供企業がブース出展していて、その数とスケールの大きさです。AFPの桁違いな規模を目の当たりにして、日本のソリューションプロバイダーがサービス提供できる市場は、きっともっと大きくなると、常々話していました。
下垣:しかし、現状の日本では特にこの分野で新しいことを始めたいと思った時に、そのアイデアを形にするまでのハードルが非常に高い。アイデア段階で資金提供や支援を得られる機会は極端に少ない状況です。この企画は、そうしたこれからの可能性と現実のギャップをうめて、チャレンジャーを応援したいという想いから誕生しました。アイデアはあるけど行動できていない大学生、企業の枠組みの中では新規事業が始められないビジネスパーソン、現場のNPO/NGOで働いていてこんなソリューションがあったらいいなぁ、と思っているスタッフなどにエントリーしてほしいと思います。
鴨崎:日本ではまだソリューションプロバイダーという言葉や概念が一般的でないように思います。そもそもソリューションプロバイダーとはどういうものだと定義されているのでしょうか?
平尾:弊社が考えているソリューションプロバイダーは、NPO/NGOを始めとした、ソーシャルセクターの様々な組織が業務や活動の中で利用できるあらゆるツールやサービスを提供している人々や組織です。
下垣:弊社にとってのソリューションプロバイダーは、課題解決を現場で取り組んでるNPO/NGOと、NPO/NGOを知らない一般の人たちとを繋ぐ役割を担う人たちや組織だと考えています。ボランティアや寄付という言葉を知っているけれど自ら行動したことのない人、世の中にはそういった方が多くいる。このような人たちとソーシャルセクターの組織とに距離があると感じています。その隔たりを埋めるツールやサービスを提供する存在だと考えています。
過去5年で、セクター全体の成長が大きく、規模も拡大している
鴨崎:お二人ともこの業界に入って5~6年とのことですが、その間の業界の変化をどのように感じていらっしゃいますか?
下垣:とてもパワフルになってきていると感じています。人も増え、予算規模も相当大きくなっています。5年後はもっと飛躍的に成長するだろうと感じています。
平尾:外部のサービスを使うことに積極的な組織が増えたと感じています。以前は活動のためのお金を活動以外のツール等に使うことに抵抗感があったようです。最近は、そのサービスを利用することで、結果的に活動の幅を広げインパクトが生み出せるならば、サービスを導入してみる、というのが一般的になってきました。
提供されるサービスに対し、使う側のニーズとスキルに乖離がある。この現状を打破したい。
鴨崎:ソリューションプロバイダー側の変化はどうでしょうか?
下垣:プレイヤーの数は増えてきています。しかし規模感を出せているところはまだ少ないのが現状です。ビジネスでのノウハウの一部を非営利用に転用するという姿勢のところがまだ多く、NPO/NGOに特化したものはまだ少ないのではないかと感じています。但し、これからの5年でもつと改善されていくと感じているので、参入する人たちがもっと増えると良いと思っています。
平尾:提供しているサービスと利用者側のニーズとの乖離があり、ツールやサービスを使いこなせるスキルが不足している場合が多いのではないかなと感じています。現状をブレイクさせるためには、この隙間を提供者/利用者双方が改善して埋めていく必要があると思っています。
下垣:まさに今回の企画はこのような乖離を打破していくために必要なステップになると思っています。私の例もそうだったですが、最初のきっかけがないと次に進めないもの。本当に仕事としてやっていけるのかと迷っている時に、自分のアイデアが評価され賞金も獲得できたというのは大きな自信につながると思います。何年か後に「この企画が最初の一歩だった。今ではこんなに結果が出ている」という話を聞けると良いなと思っています。
平尾:自分の中で温めてきたアイデアを世の中に出すきっかけとしての場です。アイデアをどこに発表すれがよいかわからない人にとって、この企画はとても良い場所になると思います。
審査ポイントは、「あったら良い!」というニーズを的確に反映しているか
鴨崎:ズバリ、審査基準のポイントはどこでしょうか?
下垣:「あったら良いな」というのが一番のポイントですね。サービスで解決できる皆が欲しているであろうアイデアを応募してほしいです。現実的ではあるべきですが、ビジネスになるかどうかは二の次で良いと思っています。
平尾:もちろん、どうやったらビジネスになるかを、一旦は自分で考えて書いて欲しいですけれど。この点は最も優先度が高いわけではないです。
下垣:近年、ソーシャルセクターに対する関心も高まっていて、いろいろ考えてアイデアを持っている人がいると思うんです。例えば、大学で専門的な研究をしている中でその知識を使った何か新しいサービスを、漠然と考えている。そんな夢みたいな話でも物理的に可能であれば、すぐに事業化できなくても良いのです。そのアイデアが面白いと思う人が集まって化学反応が起こり、何かが始まるきっかけになることを期待しています。
平尾:「その発想なかった!」という新しさを期待して楽しみにしています。
適正な市場競争の創出に、仲間の存在は必要不可欠。新たなチャレンジャーを期待しています!
鴨崎:お二人は、ソーシャルプロバイダーの未来をどのように期待していますか?
下垣:今回の企画は、何かのきっかけの場になれば良いとシンプルに考えています。アメリカのAFPで見たようなの多数の事業者が参入している状況になると良いですが、アメリカのような規模を求めるわけではありません。将来的にはこのアワードが独立し、この業界で仕事をしたいと思う人も自然と増えていく未来を見たいです。新卒で入りたいと憧れるような業界になってほしい。優秀な人が入ってきて良いスパイラルに乗って発展していく、そんな場所になってほしいと願っています。
平尾:インダストリー化という観点では、競合企業が増え、利用者が選べるようになる必要があります。競い合える同業他社の存在は非常に重要です。あとに続く人がもっと面白い事を考えて、発展させてほしいと思っています。
鴨崎:応募者に向けて最後に一言メッセージをお願いします。
下垣:思っていることがあるならば、簡単なもので良いので是非で応募して下さい!
平尾:世の中にはいろんなアワードがありますが、ソーシャルプロバイダーのアイデアに特化したアワードこれまでありませんでした。あまり気負わず、思っているアイデアを表に出すきっかけにしてほしいです。
株式会社ファンドレックスは「寄付・社会的投資が進む社会の実現」に向けて、
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