私は大手メーカーの技術者からベンチャー企業の新規事業推進室(現戦略企画室)に転職し、右も左も分からない状態であったときにファンドレイジング・スクールに申し込み、その奥深さに「どっぷり」と浸かることになりました。営利企業にお勤めの方に参考になると思い、私がスクールで得たものや今後の抱負をまとめました。
◆ これからの可能性を感じた市場としての「ファンドレイジング」
私は社会人になってから8年間、スマートフォン向け部品などを手掛ける大手部品メーカーの技術者でした。そんな私がファンドレイジングを勉強しようと思うに至った理由は、三つあります。
まずは、ふるさと納税のポータルサイトを運営している株式会社トラストバンクに転職したことです。ふるさと納税については、賛否両論で様々なイメージをお持ちの方がいらっしゃると思いますが、私にとっては地域活性化や地域課題解決のためのツールであり、私はその本質は「支援性の資金の移転」つまり「寄附行為」だと思っています。
また私は技術者の出身ですが、いずれは経営や事業に関わっていきたいという意思を伝えてこの会社に入社しました。そのため、体系立てて実践的に経営を学べるスクールに通いたいと悩んでおり、その時にファンドレイジング・スクールに出会ったのです。
MBA入学と迷いながらも、最終的にファンドレイジング・スクールを選んだのは、ファンドレイザーという職業の希少性・成長性に魅力を感じたからです。加速度的に変化しつづける現代では、成熟した市場に居ること自体が大きなリスクだと考え、今後成長する可能性のある「市場」や「資格」や「ビジネスワード」に積極的に関わっていくことを決めました。
◆ 「応援する者が、応援される」
スクールを通して一番心に残っているのは、入学式で日本ファンドレイジング協会代表理事の鵜尾さんに言われた言葉です。
『応援する者が、応援される。』
スクールで同期となった、非営利組織で活躍されている方の話を聞き、実際の活動を見るようになって、「情けは人の為ならず」ということが人生で初めて腑に落ちた感じがしました。「金銭的報酬」や「目に見えるメリット」を抜きにして誰かを応援することに大きな見返り(つまり共感の連鎖)があることを、たくさん感じさせていただくことができました。
また、少人数制だからこそ、講師や同期とのつながりも深く、授業以外の場でも勉強させていただいたことも、強く印象に残っています。
◆ 「ふるさと納税」「ファンドレイジング」「SDGs」をこれからの自分の軸に
私は、スクールでの学びを通じて、ふるさと納税は寄附であるということの確信を得ました。ふるさと納税は、支援性の資金でありネットショッピングではない。たとえ利用者にとってのきっかけはお得な返礼品だったとしても、その機会を提供するプラットフォーマーや自治体はふるさと納税の本質を理解していなければなりません。利用者を社会課題解決型の思考に誘導する義務があるとさえ、個人的には考えています。
これから私は、社内外問わず関わっていく方に、少しずつファンドレイジングの考え方を啓蒙していきます。日本の寄附市場・ファンドレイジングは世界に大きな後れを取っており、マスマーケティングと混同されがちです。全く本質の異なる2者を切り分けて、ファンドレイジングの認知をしっかりと拡げていく活動に貢献することを決意表明します。行政機関である自治体に特化した「自治体ファンドレイジング」のような分野が成長してきたら面白いと考えています。
また、ふるさと納税は「SDGsに資する活動である」と考えています。地方を救うという意味でも、日本経済を活性化させるという意味でも、そして同時にファンドレイジングの認知を一気に上げる意味でも、「SDGs」というワードは強力な武器になると考えています。SDGs×ふるさと納税という切り口で、地方自治体と企業を結び付けて、各分野にシナジーを生み出していきたいと考えています。
最後に、8か月のスクール生活をご一緒していただきましたスクール同期生・講師の先生方・日本ファンドレイジング協会の方々・課題制作にご協力いただいた自治体の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にお世話になりました。今後とも末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。
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