私たちが事業でなによりも大事にしているのは、現場の声です。病児保育という社会課題に関して、親御さんがどういった支援にどのようなベネフィットを感じるのか、利用者の観点を大切にしています。親御さんからは、いざという時に預けられるという安心感から、余裕をもって子どもと接することができるとか、仕事に集中することで昇給や正社員になったという声をお聞きします。サービス利用者である親御さんが、安定して働き続ける環境をいかに提供するかという点にこだわっています。
こういった共感の輪を広げるために、お涙ちょうだいではなく、“おもしろおかしくちょっと笑える”、そんなメッセージの発信に努めています。そういった観点で考えた支援者のネーミングが、「ひとりおかんっ子応援団プロジェクト」です。不条理を訴えるのではなく、楽しくポジティブに発信することで、たくさんの人の参画と応援をいただいています。
私はもともと民間企業勤務で、「NPO」も「病児保育」のことも知りませんでした。同僚の女性が辞めていく現実を間のあたりにし、働くマインドの問題ではなく、37.5度以上の熱を出した子どもたちは保育園で預かれないというどうしようもない状況に衝撃を受けました。そこで、病児保育で著名な団体さんで1年間社会人インターンとして学び、子どもを産んでも当たり前に働き続ける社会を目指して、大阪で病児保育問題の解決に取り組むNPOを立ち上げました。大阪は、ひとり親家庭が全国で一番多い地域です。支援者には、同じ境遇で育った方が多くいらっしゃいます。
先ほどもお話しした通り、私たちは現場の声を大切にしていて、現場に答えがあると思っています。私自身、たくさんの親御さんと出会いました。そこで得た知見を、いろんな人に伝えてきましたが限界がありました。この経験がもとで製作したものが「働く!!おかん図鑑」です。社会問題は当事者だけでなく、課題を取り巻く周囲の人に知ってもらわなければなりません。そして、伝えるには、伝わるためにどうすれば良いか考えなければなりません。私たちはそういった点を伝えるプロである電通さんにアシストしていただき、楽しく伝える工夫をしています。プロの手ひとつで、印象は大きく変わります。今後は、現場の声をもとに生まれた相談支援や障害児支援の事業の拡大も視野に、企業連携や遺贈なども含めて大口寄付に挑戦していきたいと考えています。
いかに多くの資金を得るかはとても大切なことですので、寄付に対して可能性を感じてはいますが、同時に、不安定なものであるという危機感も持っています。寄付をどう集めてどのように還元するのか。社会が可能性を感じるような寄付の流れのデザインを可視化していきたいと考えています。寄付者が、サービス利用者と同じように、ベネフィットを感じてくださる。そんなデザインが明確になって確信に変わるよう、引き続き寄付について学んでいきたいと思います。
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