投稿日:2022年9月29日

【バリ島から生配信!】新卒でソーシャルセクターに飛び込んだ20代のリアルな話

鈴木 大悟Daigo Suzuki
准認定ファンドレイザー
フリーランス・ファンドレイザー

島田 颯(しまだ そう)さん
1996年生まれ。北海道札幌市出身。インドネシア大学に半年間の交換留学を経て、早稲田大学国際教養学部を卒業。在学中にインターン生として活動していた一般社団法人Earth Companyに新卒で就職。現在は同団体のファンドレイジングを担当。准認定ファンドレイザー
「自由にあなたらしいNPOキャリアを描く」というテーマで、ワカモノ人材にインタビューする連載企画。
7人目は、一般社団法人Earth Companyの島田さんにお話を伺いました。

Earth Companyは次世代につなぐ未来のために人と社会と自然が共鳴しながら発展するリジェネラティブなあり方を追求する団体です。

具体的にはアジア太平洋地域のチェンジメーカーを支援する「インパクトヒーロー支援」や次世代の人材を育成する研修プログラム「インパクトアカデミー」、リジェネラティブなあり方を具現化した「バリ島エシカルホテル」などの活動があります。

今回は日本を飛び出して、Earth Companyの活動地・インドネシアのバリ島からライブ配信する形で、インタビューをさせていただきました。


アーカイブをご視聴いただけます(著者のFacebookページにリンクします)

新卒でNPOへ就職する際の不安など、20代でソーシャルセクターに飛び込んだリアルな話を伺うことができました。

目標100万円、18歳で初めてのクラウドファンディングに挑戦


ストリートミュージシャンからインドネシア大学合格を果たしたドド(当時19歳)

大学生時代に認定NPO法人e-Educationという途上国の教育格差に取り組む団体の”海外インターン”としてインドネシアのプロジェクトに携わりました。
当時はジャカルタの公立学校に通えない子どもたちを支援するフリースクールで、現地の大学生と共に活動していました。

このフリースクールでは、私が活動を始めた前年に、いわゆる貧困層の中で育った子どもたちの中から、インドネシアの名門大学に2人の合格者を輩出することに成功していました。
合格した生徒と実際に対話をし感銘を受けた私は「彼らのことをたくさんの人に知っていただきたい!この物語をもっと広めたい!」と考えました。

そこで、彼らがロールモデルとなって登場するようなドキュメンタリー映画を製作することになりました。

その映画の撮影や上映に必要な費用を集めるためにクラウドファンディングに挑戦したことが、私にとって初めてのファンドレイジング経験になりました。

目標金額は100万円。
当時18歳でまだ自らの意思で寄付をしたことすらなかった私にとって、途方もない金額に思えました。
しかし実際に始めてみると、大変ありがたいことに110人の方から、108万円のご寄付をいただいて目標を達成することができました。

映画の完成上映会は渋谷のイベント会場を貸し切って開催しました。
実際に映画のモデルとなった生徒を迎えて、支援者さんにつなぐことができた時は心が震えました。

Earth Companyの「1人を深く徹底的に支援する」モデルに共感


IMPACT HEROの来日時、Earth Companyチームとの1枚

e-Educationのインターンを終えた後はインドネシア大学に半年間留学しました。
その時に「どうやらバリでイケてる社会的起業やNPO活動のムーブメントが巻き起こっているらしい」という情報を耳にしました。

いくつかのNPOを実際に訪問させてもらい、当時Earth Companyの代表が働いていたNPOのオフィスにもお伺いし、Earth Companyの活動もそこで知りました。

Earth Companyは、アジア太平洋地域のチェンジメーカーを1年間に1人「インパクトヒーロー」として選出し、3年間伴走支援します。

「1人を深く徹底的に支援する」という他の団体にはないモデルに共感し、翌月にEarth Companyのインターンとして働き始めました。

リサーチ業務から始まり、最近ではEarth Companyでもクラウドファンディングを実施し目標金額を達成しました。
正職員として貢献できる確かな手応えを感じ、大学卒業後は駐在員として雇用してもらうことになりました。

新卒でNPOへ就職する時に最後まで悩んだ1つの問い

新卒でNPOに就職することに不安はありませんでした。
でも、本当に、悩みました。

お金・働き方・やりがいなどいろんな悩みはありましたが、私が最も悩んだことは「NPOで働いた後のキャリアの可能性が狭まってしまうのではないか」ということでした。(詳細はこちらのnoteでも綴っています)

ビジネスセクターからソーシャルセクターへはいつでも行けるけれど、その逆は難しいかもしれない。
新卒でNPOに就職したら、企業に就職する同期たちが受けるような新人研修は受けられなくなる。
まずは3年間ビジネスセクターで修行し、実力を付けてからソーシャルセクターに戻ってくる、そんな先輩方もたくさんいる。

でも、インターン生としてやってきたことをそのまま続ければ、もっとEarth Companyに貢献できることがあるのに、異なる業界に行ってまた戻ってくるのは”もったいない”と思いました。

「Earth Companyでできることをやろう」
そう覚悟を決めた後は、就職は自然な流れとして腑に落ちました。


IMPACT HEROとEarth Companyチーム

ファンドレイジング・スクールで得られたのは「多様な人脈」と「実践的な学び」

Earth Companyに就職して1年目に、日本ファンドレイジング協会の「ファンドレイジング・スクール」を受講しました。

それまでにクラウドファンディングは計5回、マンスリーサポーターキャンペーンは計2回、直接携わり毎回目標を達成してきたのですが、一度ファンドレイジングを体系的に学ぶ必要があることを痛感していました。
Earth Companyに限らず、さまざまな団体が抱えている悩みをファンドレイジングの領域で課題解決をできるようになりたいとも思いました。

ファンドレイジング・スクールは、

  1. 一緒にスクールで学んだ同期との繋がりが得られた
  2. 他の団体のファンドレイジング事例を知ることができた
この2点が非常に良かったです。

前者の「多様な人脈」については、広告会社やコンサルティング会社で働いて早期退職した人や、NPOにプロボノで関わっている人や、NPOで事務局長として活躍している人など、セクターを超えて年齢もポジションも多種多様な”同期”ができました。


ファンドレイジング・スクール6期生との1枚。コロナ禍での実施のため、講義はすべてオンラインで行われましたが、満足度100%でした

彼らのアウトプットを見て、「こうやって戦略を立てるのか!」「こうやって伝えれば人の心が動くんだ!」など目から鱗の連続でした。
10年、20年とビジネスの荒波に揉まれた人たちは、Earth Companyの中にいるだけでは出会えなかった人たちです。

後者の「実践的な学び」については、ファンドレイジング・スクールは自団体のファンドレイジング戦略を発表するカリキュラムがあり、団体ごとにどのように戦略を描いていたかを知ることができます。

学んだことを実務に活かすべくスクールが終わった後は、Earth Companyのクラウドファンディングを支援してくださった方の熱量を維持し高めるためのイベントやコミュニケーションの取り方を企画・実行しています。

NPOキャリアの歩き方、コツは早く関わり始めて、長く続けること


2019年10月これまで支援してきた4名のIMPACT HEROが来日した5周年記念イベント

まだまだEarth Companyにコミットしたいという気持ちを前提に、今後のキャリアを考えると以下の2つの軸があると思っています。

  • 共感した社会課題に取り組む
  • ファンドレイジングのスキルが活かせる仕事をする

次のキャリアは必ずしもNPO法人ではないのかもしれませんが、NPOに関わっていることは間違いないと思います。
広い意味でソーシャルセクターで働きたいという気持ちは今後も変わらなさそうです。

団体のビジョンやミッションによりますが、事業規模の小さい団体がどうやってスケールアップするかは多くの団体が直面している課題だと感じます。
その成長痛を共に乗り越えられるファンドレイザーになるのが夢であり目標です。

「社会課題の解決を仕事にしたいなら早く関わること、そしてできるだけ長くコミットし続けること」、これは株式会社Ridilover(リディラバ)代表の安部敏樹さんの言葉です。

そもそも解決が難しいから社会課題として残っている以上、解決にはどうしても時間がかかります。
営利企業なら数年で上場を目指すというようなスピード感を持って事業を拡大することもあると思いますが、NPOではそれは起こりにくいです。

NPOが1〜2年でできることは本当に限られています。
インターン生の時に「1年でできることがこれだけなのか・・」と思ったことは、今も「3年経ってもまだこれだけなのか・・」と振り返りをする度に悔しくなります。

長期的な関わりが重要なセクターだと思うので、早く、そして長く、関わり続けたいです。

島田さん、今日はありがとうございました!今回は私が実際にインドネシアのバリ島を訪問しLIVE配信という形でインタビューをさせていただきました。冒頭でご紹介したようにEarth Companyのバリ法人が運営するエシカルホテルは、団体が目指すリジェネラティブな在り方を体感できるものでした。バリ島を訪れた際はぜひチェックされることをオススメします。次回の記事は、「著者が今回までのインタビュー活動を通して学んだこと」を予定しています。ぜひご期待ください。

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Profileこの記事を書いた人

鈴木 大悟 Daigo Suzuki

准認定ファンドレイザー
フリーランス・ファンドレイザー

1994年埼玉県生まれ。慶應義塾大学商学部卒。大手証券会社でリテール営業に従事し、2018年に認定NPO法人かものはしプロジェクトの社会人インターンとして、NPOキャリアをスタートする。法人や個人大口の寄付開拓を担当する中で、日々たくさんの支援者の方々と実際にお話しさせていただき、寄付は”未来の社会への応援”であることを強く実感する。2019年にフリーランス・ファンドレイザーとして独立し、Webメディア事業の運営をはじめ、寄付募集のLP及び記事の制作や、遺贈寄付獲得のための設計支援などが特長。自らも収入の1割を寄付し続けることを信条とし、寄付を通して幸せや豊かさを実感できる方を、一人でも多く増やすことを使命とする。

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