ダイバーシティ工房は、ひとり親家庭、生活保護・困窮、不登校、発達障害、虐待経験などを持つ子どもたちや家庭が、生きづらさを抱えたり、制度のはざまで孤立したりしないよう、学習・生活支援、相談支援、居場所づくりなどを通して、0~20歳まで切れ目ない支援を行っている団体です。
などの活動があります。
学生インターンから新卒でNPOに就職した経緯や、ソーシャルセクターでキャリアを描くことの良さなど、池田さんの想いをお聞きしました。
ハタチくらいから就職を意識し始め、合同説明会や会社説明会など、いわゆる「就活」を私も始めたのですが、自分のやりたいことはそこでは見つかりませんでした。
周りの友人たちと話す中で、私が仕事に求めることってなんだろう、と改めて考えることが増えていきました。
そんな時にダイバーシティ工房の活動を知り、もともと福祉に興味があったこともあり、インターンとして働き始めました。
インターンでは、採用に関する業務を担当しました。
どのように伝えれば多くの人に関心を持っていただけるか、夢中で模索しているうちに時間が過ぎ、気がつけば1年が経っていました。
卒業後もダイバーシティ工房で働きたいという気持ちは日に日に強くなっていき、そのまま就職という流れになりました。
大学時代はダイバーシティ工房での仕事以外に、特別支援学校で子ども支援のボランティアもしました。
子ども一人ひとりと向き合い、接し方を模索しました
福祉現場のスタッフは、皆が似た気持ちだと思うのですが、私は今でも自分の行動や働きかけが目の前の子どもにとって最適かどうか悩むことが多くあります。
ダイバーシティ工房は、0歳から20歳と支援対象年齢が広いので、必然的に事業が多岐に渡ります。
その分難しさがあり、自分たちの活動をどのように伝えていくかは、ファンドレイジング上の課題でもあります。
現場の支援と広報やファンドレイズの仕事の両方に携わることで、さまざまな視点を得ることができていると感じます。
ダイバーシティ工房には、スタッフ・インターン・ボランティアを合わせると、100名以上の職員がいます。
職員が多いと、それだけ個々で担っている業務、つまり誰が何をしているのかが分からなくなってしまいます。
そこで、事業部ごとの活動を社内報としてメールで共有し、各拠点の日々の様子を伝えるようにしています。
これは、広報チームで話し合って新しく始めた、私が担当している取り組みの一つです。
法人の住所は千葉県市川市にありますが、代表は普段は沖縄県から仕事をしていますし、九州に住んでいるスタッフもいます。
LINE相談事業「むすびめ」は完全オンラインなので、自宅からフルリモートで働いてくださっている方もたくさんいます。
他にも、金融系や医療系から転職してきた方もいて、これまで福祉とは直接関係のなかった人も働いている、とても多様なメンバーです。
年末恒例の団体内事業報告会の様子
ダイバーシティを実現するために、現場でも、スタッフ間でも、現場の声や実際のニーズをきちんと聞くことを大切にしています。
その上で、誰かがいないと回らない仕組みではなく、同じ業務を複数の人が理解し、実行できる環境づくりに注力しています。
コロナ禍に入ってからはリモートで働くことが増えましたが、各自が日々感じていることや思っていることの共有は、より密になった気がしています。
正直に申し上げると、学生時代に関わり始めた当初は、ダイバーシティ工房の活動がここまで大きくなるとは思っていませんでした(笑)
これはNPO一般というよりは、ダイバーシティ工房だから言えることかもしれませんが、基本的にその人に合っていそうな仕事は、大抵やらせてもらえます。
保育園の立ち上げに携わらせてもらったときは、すでに学齢期の学習支援を担当していたのですが、希望して保育園と学習支援のスタッフを両方担当させてもらいました。
当時も今も、いろんな人と一緒に仕事ができるのがとても楽しいです。
子どもの支援について相談中!
私は運良く、新卒で自分にぴったりな職場と出会えましたが、就職活動中は教育業界や福祉業界の働き方が画一的に見えて悩んだ時期もありました。
大学で教育と福祉の両方を学び、複数の現場にも出向く中で、子どもたちの成長のためには学びや挑戦の機会が安心安全な状態であってほしいと思っていました。
教育と福祉はどちらも大事で、そのどちらにも携われる場はないかと考えて、教育と福祉の間にある働き方としてたどり着いたのがダイバーシティ工房でした。
こういうものがあったらいいなと思う新しい仕組みや制度などの間にある働き方を探すのもおすすめです。
これだけ世の中にNPOが増えているので、自分のやりたいことや関わりたいことは叶えられると思いますし、仲間は必ず見つかります。
「福祉現場=大変」というネガティブなイメージはまだまだ多いですが、実際に携わっている身としては、福祉に限らずどんな仕事でも大変なことはあるのではないかなと思います。
その中でも、小さな組織だからできることや、やりがいを知っていただけると嬉しいです。
受け入れる側のNPOも、オンラインでのインターンや、寄付・ボランティアを通じたゆるやかな関わりなど、関わり方に幅をもたせることが必要です。
ソーシャルセクターで働くことが、多くの人にとってキャリアの選択肢となるように、私も自分にできることをやっていきたいと思います。
民間企業はどうしても利益重視になりがちですが、類似する事業を行っている団体同士でも競争関係にならず、より良い社会を実現する同志でいられるのはソーシャルセクターならではの良さと言えます。
もしあなたが、最初の一歩を踏み出せずにいるなら、今日から何か始めてみませんか?
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