投稿日:2019年11月21日

【共感の本質シリーズ】共感とは共通フィールドの設定

鵜尾 雅隆Masataka Uo
認定ファンドレイザー
日本ファンドレイジング協会 代表理事

まずは、こちらのビデオを見てみてください。

目の不自由なお年寄りが、広場で、施しをもらおうとして座っています。そのボードには、「I’m Blind, Please Help(私は目が見えません。助けてください)」と書いてありますが、ほとんどの人は関心を示しません。
しかし、通りかかりの女性がこの文章を書き換えると、急に寄付が集まり始めます。
このビデオは、「共感」というもの持つ意味を非常に端的に捉えています。

「共感」とは共通フィールドを設定すること

さて、二つのボードのメッセージを比較してみましょう。
最初に書いてあったのが、
「I’m Blind, Please Help(私は目が見えません。助けてください)」
書き換えたのが、
「It’s a Beautiful Day, and I Can’t See it(今日は素晴らしい日ですね。だけど私はそれを見ることができません)」です。
この二つのメッセージは、同じ男性からのメッセージですが、共感性の観点からは全く違う意味があるメッセージになっています。
二つ目のメッセージは、その広場にいる全ての人々が感じている「素晴らしい日だ」という感覚をまず示したうえで、「それが私は見えないのだ」ということを示しています。
このことにより、広場にいる人と自分との間に「It’s Beautiful Day」という共通フィールドを生み出しているのです。
その前のメッセージももちろん間違いではなく、事実です。しかしながら、そこには、広場の人の感覚との大きな距離感の違いが生まれているために、共感がおきにくくなってしまっています。

お見合いで「ご趣味は?」と聞くのも全く同じことであり、共通フィールドを探している行為です。共感を考えるときに、まず、簡単な第一歩は「共通フィールドを探す」ということにあります。

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Profileこの記事を書いた人

鵜尾 雅隆 Masataka Uo

認定ファンドレイザー
日本ファンドレイジング協会 代表理事

GSG 社会インパクト投資タスクフォース日本諮問委員会副委員長、全国レガシーギフト協会副理事長、非営利組織評価センター理事、JICAイノベーションアドバイザー、大学院大学至善館特任教授なども務める。JICA、外務省、NPOなどを経て2008年NPO向け戦略コンサルティング企業(株)ファンドレックス創業、2009年、課題解決先進国を目指して、社会のお金の流れを変えるため、日本ファンドレイジング協会を創設し、2012年から現職。認定ファンドレイザー資格の創設、アジア最大のファンドレイジングの祭典「ファンドレイジング日本」の開催や寄付白書・社会投資市場形成に向けたロードマップの発行、子供向けの社会貢献教育の全国展開など、寄付・社会的投資促進への取り組みなどを進める。
2004年米国ケース大学Mandel Center for Nonprofit Organizationsにて非営利組織修士取得。同年、インディアナ大学The Fundraising School修了。
著書に「寄付をしようと思ったら読む本(共著)」「ファンドレイジングが社会を変える」「NPO実践マネジメント入門(共著)」「Global Fundraising(共著)」「寄付白書(共著)」「社会投資市場形成に向けたロードマップ(共著)」「社会的インパクトとは何か(監訳)」などがある。

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