私たち大阪ボランティア協会は、昨年50周年を迎え『「ポスト50年」行動宣言』を発表しました。その中で、多様な連携と市民参加によりソーシャルイノベーションを起こし、その実現のためのコーディネーション機関のモデルとなることを宣言しましたが、この50年超の歴史の中、ターニングポイントとなった出来事が多くありました。その1つが、発足4~5年目に起きた資金難による解散の危機です。その時、多くのボランティアが関わる熱い土台のお陰で、「職員がいなくてもボランティアでやるぞ!」という動きとなり、組織を続けるエネルギーとなったのです。このとき、今につながるボランティアの参加システムが誕生しました。
私たちの組織のボランティアは、運営者であり、寄付者であり、ファンドレイザーでもあります。職員とボランティアが、共同で組織を経営することが私たちの特徴です。私たちからするとボランティアなしで、どうファンドレイジングするの?と思うほどで、ボランティア“さん”と呼ぶと、お客さん扱いしている!と嫌がられるくらいです。
80年代に全国のボランティア推進団体との連携が進み、90年代初めから企業との協働推進を進めました。このとき企業と連携していたからこそ、阪神・淡路大震災の際に経済界と協働して日本初の災害ボランティアセンターを立ち上げることができました。また、支援者拡大に奔走していた元・常務が亡くなった際にその方の友人だった大企業の専務取締役が会長に就任され関西財界とのパイプ役になって下さったり、助成財団の理事長でもあった企業役員に事務局長交代のご挨拶に伺ったことがきっかけで大型助成が実現するなど、ご縁、つまりネットワークが財政基盤の重要な支えとなってきました。ファンドレイジングでは、縁が重要なキーワードですね。
とはいえ、組織の発展は階段のようなもの。しかも、凸凹だから、山にむかって上がっていかない時こそ、堪えていかねばならないですね。
リーダーの交代時には、後継者は同じ目標を共有しつつ、前任者と異なる新機軸を打ち出さねばなりません。協会の中興の祖ともいえる方が退職すると決まった時、外部から協会の存続を危ぶまれたことがありました。そのとき私たちは、それまで実施してこなかった事業にチャレンジしました。蓋が取れて解放された状態でもあったのでしょう。ユニークな講座を実施して楽しんでたら、“お! この団体面白そうだ”と、今まで来なかったような人が参加するようになりました。歴史を重ねると、リーダーの交代は必ず行われます。創業者が強力なリーダーシップを持っていると参加感が弱くなりがちですが、私たちはリーダーシップを創造的に破壊することで、組織の存続につなげたのだと思います。その際、不安もありましたが、フランスの哲学者アラン(※)によると「楽観主義は意志によるもの」とのこと。「駄目で元々」という意志をもって楽観的に取り組んできました。特にボランティアと進める市民参加型事業では、真面目で意識の高い人たちのものと限定的になってはいけないですよね。楽しくないと!
今後、ソーシャルイノベーションを大きなうねりにしていくにも、1つ1つの力は小さなものです。だからこそ、つないで運動にし、その出会いの場、市場を作っていきたいのです。それも、参加者の個性を大事にしながら、つなぎ役としての役割を担っていきたいと考えています。災害時のようにしんどければしんどい時ほど、つながる役割が大切。非常時は平時の延長です。普段から柔軟に、かつオープンに開いた組織は、災害時にも強くなります。
ともあれ「参加を極める」。これが私たちの目標です。
(※)エミール=オーギュスト・シャルティエ フランス出身の哲学者、評論家、モラリスト
3/18-19ファンドレイジング日本2017にて、早瀬昇さんには、「ファンドレイザーのためのボランティアマネジメント入門
〜『参加の力』を資金作りにも活かすために〜」にて、ご講演いただきます。
ぜひ、直接、ファンドレイジングとボランティアマネジメントのお話を聞きに、お越しください。
https://jfra.jp/frj/
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