前編では、日本で経営者や富裕層の社会貢献のニーズが高まっていることをお伝えしました。この社会変化の中で、ファンドレイザーは何を考えるべきか、ここでは3つのポイントをお伝えします。
寄付者のマイストーリーに寄り添う
寄付額の多寡に関わらず、その方なりの「フィランソロピック・イニシアチブ」を発揮してもらうために、自分達に何ができるかを考えることができる組織は、今後強くなっていく可能性があると思います。その第一歩は、寄付者の声や寄付者のストーリーを聴く機会を作っていくということなのだと思います。富裕層でなくとも、遺贈寄付も含めて、多くの人に資産を活かした一定規模の社会貢献を人生で行う可能性はあります。その時、「私たち(NPO)がイニシアチブを持つので、ご寄付をここへ」ということ以外の選択肢として、「あなたのイニシアチブを形に」を持ち得るかどうかということがひとつの分かれ目となります。
フィランソロピーアドバイザーとしての能力形成を視野に入れる
ファンドレイザーは一般的には、資金を必要とする団体側のために仕事をしています。しかし、欧米ではファンドレイザーが、寄付者のアドバイザーとして、寄付者側に立って仕事をするケースもあります。有名なのは、世界的ベストセラーである「ソウル・オブ・マネー」の著者であるリン・トゥイスト氏。トゥイスト氏は、ファンドレイザーとして仕事をする中で、お金と幸せ、お金の本当の価値、ということに関心を持ち、今では、世界中の資産家から引っ張りだこのアドバイザーです。多くの経営者はビジネスの成功経験はあっても社会貢献の成功体験はなかったりします。経営者や富裕層の思いに寄り添い、具体的な形として設計し、実現するためのアドバイスやプログラムの設計力が求められます。
フィランソロピック・イニシアチブを実務面からサポートする
経営者や富裕層の「フィランソロピック・イニシアチブ」の実現を、継続的、専門的かつ実務的にサポートするコーディネーター役がこれから必要となっていくでしょう。欧米でも、中小規模のファミリー財団の場合は専従スタッフを置いておらず、助成金のプログラムを実施するために、助成の選考プロセスをNPOのことを良く知る外部者に委託するケースがよく見られます。ここにも、ファンドレイザーの役割が求められていくと思います。
今、まだ端緒についたばかりの「経営者・富裕層のフィランソロピック・イニシアチブ」ですが、後年振り返ったとき、「いつの間にか当たり前になった」と感じるテーマになることを期待しています。
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