投稿日:2021年5月27日

持続可能な地域をつくる、地域課題の解決に向けた連携の可能性

本記事では、寄付・社会的投資が進む社会の実現のために、日本ファンドレイジング協会と一緒にチャレンジするスペシャルパートナーの皆さんをご紹介します。今回は、株式会社トラストバンク代表取締役 川村 憲一氏に、地域課題の解決に向けたファンドレイザーとの連携の可能性について、お伺いしました。

プロフィール

株式会社トラストバンク 代表取締役 川村 憲一

食品専門商社を経て、東証一部上場企業のコンサルティング会社にて、地方活性化に向けた中小企業の新規ビジネス(小売店や飲食店)の立ち上げからブランドマネジメント、人財開発(採用・教育)に従事。その後、大手EC企業のマネジメント職を経て、自らコンサルティング会社を設立。2016年3月よりトラストバンクに参画。2019年4月執行役員、同年10月取締役。2020年1月より現職。准認定ファンドレイザー。

聞き手

日本ファンドレイジング協会 代表理事 鵜尾 雅隆

JICA、外務省、米国NPOなどを経て2008年NPO向け戦略コンサルティング企業(株)ファンドレックス創業、2009年、課題解決先進国を目指して、社会のお金の流れを変えるため、日本ファンドレイジング協会を創設し、2012年から現職。認定ファンドレイザー資格の創設、アジア最大のファンドレイジングの祭典「ファンドレイジング・日本」の開催や寄付白書・社会投資市場形成に向けたロードマップの発行、子供向けの寄付教育の全国展開など、寄付・社会的投資促進への取り組みなどを進める。

当たり前が変わる、自治体に広がり始めるコミュニケーションツール

鵜尾:トラストバンクといえば、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を思い浮かべる人が多いと思いますが、御社は「自立した持続可能な地域をつくる」をビジョンに、自治体、地域の事業者や企業、団体、市民の方々と「共創」し、地域課題を解決するための事業を多角的に展開されています。コロナの影響はどのように捉えられていますか。

川村:弊社では、2020年3月に完全リモートワークでの働き方に切り替えました。ただ、これは、単純に働き方を変えるということだけではなく、職員一人ひとりの生き方の選択肢を広げる機会と捉えて前向きに取り組んでいます。そして、自治体でもリモート化への関心は急速に高まっています。弊社では、「LoGoチャット」というセキュリティの高い行政専用回線をつかった国内初の自治体向けビジネスチャットサービスを展開していますが、現時点で、約3分の1の自治体の方に利用を頂いています。以前は実際に会って話すことが前提でした。その前提がコロナ禍で崩れ、今では当たり前のように、「LoGoチャット」などでコミュニケーションがとられています。

地域の課題解決を担う、ガバメントクラウドファンディングの可能性

鵜尾:コロナは社会のあり方を揺るがせ、人々は持続可能な社会の重要性に、半ば強制的に気付かされました。これからの取り組みについて教えてください。

川村:地域が持続可能であるために、直接的に地域の課題解決につながるソリューションを、積極的に展開していきたいと思っています。地域の課題解決を担うのは、行政だけでありません。様々なプレイヤーのハブとなるファンドレイザーとの共創をどのようにつくっていくのか、この記事を通じて、ファンドレイザーの方々にも、弊社の取り組みを知ってもらいたいです。

自治体がふるさと納税制度を活用したクラウドファンディング型で寄付を募る「ガバメントクラウドファンディング」は、2020年には354件のプロジェクトが立ち上がりました。その中でも自治体とNPOが連携したプロジェクトも増えています。自治体がNPOと連携することで、信頼性が高く、地域の課題に即した実行力のある事業が実施されています。ただ、まだまだ件数は少ないと思っています。弊社は、これまでに蓄積したノウハウをオープンなものとして共有することで、ガバメントクラウドファンディングを通して課題解決に向け取り組むプロジェクトをファンドレイザーの皆さんと一緒にタッグを組み、一気に拡げていきたいと考えています。

ふるさと納税を活用した災害支援
「知っている」から「寄付する」へつないでいく

鵜尾:トラストバンクのガバメントクラウドファンディングの特徴として、災害支援のプロジェクトがたくさんありますよね。

川村:2021年2月5日に、「ふるさと納税の災害支援に関する意識調査」の結果を発表しました。ふるさと納税で被災自治体に災害支援の寄付ができることを「知っている」と答えた人が約6割を占めました。3年前の調査から11.4ポイント増えました。ただ、「知っている」と答えた人の中で、実際に寄付を行った人は、まだ2割です。認知をもっとひろげていきたいと思います。

自治体に対しても、ふるさと納税で災害支援を集めることができること、そして、「代理寄付」の制度についても認知をひろげていきたいと思います。これは、被災した地域に代わって、被災していない自治体が、寄付受付の対応を行うという制度です。平成28年4月に発生した熊本地震とのきの時にできた仕組みで、この輪は今も広がっています。

鵜尾:最後に、読者にむけてメッセージをいただけますか。

川村:トラストバンクは、「自立した持続可能な地域をつくる」というビジョンを掲げて、様々なアイデアやネットワークを持っているところと協働して地域課題の解決を図っていこうと思っています。特に地域で活躍するファンドレイザーやNPOの方々との共創は、地域課題の解決に必要不可欠です。
ガバメントクラウドファンディングはじめ、一緒にできることはたくさんあります。ぜひ声をかけていただきたいと思います。

株式会社トラストバンクは「寄付・社会的投資が進む社会の実現」に向けて、
当会と一緒にチャレンジするスペシャルパートナーです。

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