投稿日:2020年6月26日

寄付先選びの処方箋

鵜尾 雅隆Masataka Uo
認定ファンドレイザー
日本ファンドレイジング協会 代表理事

連載第一回「選択する寄付」という新たな寄付のあり方ということが生まれている状況にあっても、次に、どうすれば最適な寄付先を見つけることができるのかということが問題として生まれてきます。

どのように自分に合った寄付先を見つけるのか。その処方箋をまとめてみたいと思います。


処方箋1.これまで自分が支援してきた団体に寄付する

「えっ?」と思われたかもしれません。今回のような状況で、これまで自分が応援したことのある団体に寄付するとはどういうことでしょうか。

全国のNPO法人を対象に4月に行われた緊急アンケート(※)では、1,003法人中約8割の団体が新型コロナで活動内容や法人経営に影響が出ると回答しています。新型コロナに関連した事業でなくても、特別な寄付募集キャンペーンをしていなくても、普段応援している団体は困難に直面している可能性があります。そして、それらの団体は、長期化するこのウィズ・コロナの時代にあって、社会に必要不可欠な存在です。そうした団体への寄付は、その団体とって大きなエネルギーとなります。

※「新型コロナウイルスの感染拡大への対応及び支援に関するNPO 法人緊急アンケート」「新型コロナウイルス」NPO支援組織社会連帯(CIS)

処方箋2.クラウドファンディングで寄付先を探す

新型コロナ関連で寄付する場合、どのような団体が、どのような活動をしているかという情報がまとまっている場所を探すことになります。現時点(2020年6月)で一番分かりやすいのは、クラウドファンディングのサイトです。主要な新型コロナ関連の寄付募集は、READYFOR(レディーフォー)、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)などのクラウドファンディングサイトに掲載されています。
関連するプロジェクトが多数あり、選ぶのが難しいと感じるかもしれませんが、信頼できる寄付先を探すには、金額だけではなく「支援者数」も参考の一つとなります。支援者数が多いプロジェクトは、それだけ信任投票で票を集めていると考えことができるかもしれません。自分の寄付を費用対効果で見るとすると、もう少しで目標達成するプロジェクトを探すのもいいかもしれません。

処方箋3.テーマ・地域などを選んで寄付する

新型コロナでは、災害時の「義援金(義援金受付団体に集まった寄付金で、被災者一人ひとりに配られる見舞金)」のように分かりやすい寄付先はありません。他方で、民間の力で寄付のプラットフォームを生み出す取り組みが進んでいます。

新型コロナ給付金寄付プロジェクト
連携し、医療分野や子どもといった支援したい分野を選んで寄付ができるプラットフォームが立ち上がりました。個別の寄付先団体は、パブリックリソース財団が公募し、選定・助成するモデルです。

▶「47コロナ基金(よんななころなききん)
全国47都道府県の「地域」を指定して寄付できる仕組みです。ふるさとや地元を応援したい、という人は地域を指定して寄付し、個別の寄付先団体の選定は各地の中間支援団体が担います。

処方箋4.子どもたちに寄付先の選定を託す

最後に、それでも寄付先が見つけることが難しい方のために、新型コロナ関連で生まれている新たな取り組みをご紹介します。それは「子どもたちに寄付先選定を託す」という取り組みです。

アメリカで生まれて、広がった「 Learning by Giving(寄付を通じて学ぶ)」プログラムの日本版として、原則中高生を対象に、学校単位・希望者単位のグループで実施され、子どもたちが選定した寄付先に寄付されるという仕組みです。これにより、子どもたちの学びや成長、寄付先団体のモチベーションの増大が期待でき、寄付者は子どもたちと寄付先団体からのダブルで感謝が得られます。

▶「寄付先を子どもたちが決める(Learning by Giving)プロジェクト

いかがでしょうか?この国難ともいえる状況の中で、「選択して支援する」という寄付が広がることは、中長期的にとても大切なことになってくると思います。

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Profileこの記事を書いた人

鵜尾 雅隆 Masataka Uo

認定ファンドレイザー
日本ファンドレイジング協会 代表理事

GSG 社会インパクト投資タスクフォース日本諮問委員会副委員長、全国レガシーギフト協会副理事長、寄付月間推進委員会事務局長、非営利組織評価センター理事、JICAイノベーションアドバイザー、大学院大学至善館特任教授なども務める。JICA、外務省、NPOなどを経て2008年NPO向け戦略コンサルティング企業(株)ファンドレックス創業、2009年、課題解決先進国を目指して、社会のお金の流れを変えるため、日本ファンドレイジング協会を創設し、2012年から現職。認定ファンドレイザー資格の創設、アジア最大のファンドレイジングの祭典「ファンドレイジング日本」の開催や寄付白書・社会投資市場形成に向けたロードマップの発行、子供向けの社会貢献教育の全国展開など、寄付・社会的投資促進への取り組みなどを進める。
2004年米国ケース大学Mandel Center for Nonprofit Organizationsにて非営利組織修士取得。同年、インディアナ大学The Fundraising School修了。
著書に「寄付をしようと思ったら読む本(共著)」「ファンドレイジングが社会を変える」「NPO実践マネジメント入門(共著)」「Global Fundraising(共著)」「寄付白書(共著)」「社会投資市場形成に向けたロードマップ(共著)」「社会的インパクトとは何か(監訳)」などがある。

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