無料 投稿日:2015年4月13日

【あの人に聞く】ジム・マニス氏(Mobile Giving Foundation 創設者兼CEO)

モバイル・ギビング財団の創業者兼CEOであり、どの携帯電話会社からでも可能な「テキストメッセージ寄付」の実現によって世界的なファンドレイジングの革新を起こした、ジム・マニスさんにお話をお伺いしました。

プロフィール

ジム・マニス

Mobile Giving Foundation 創設者兼CEO
無線通信業界とNPO業界のリーダーたちからのサポートを受け、2007年にMobile Giving Foundation、2009年にMobile Giving Foundation Canadaを設立。
社会的に良いことのためにモバイルソリューションを使うことに道を拓いた。
2012年Mobile Giving Foundationは、モバイルギビングのチャネルを育てるため、また寄付の透明性とアカウンタビリティの基準を強化するために、Council of Better Business BureauとBBB Wise Giving Allianceとパートナーシップを結ぶ。
BBB Mobile Giving Foundationでの実績に加えて、コンサルティングとベンチャーカタリスト企業である1024 Wireless Services率いている。
また、多くの業界イベントでの講演を行っており、連携の動きを創ることで知られている。
Non Profit Timesの「フィランソロピーの分野で影響力のある50人2013」に入り、同様にWireless Weeksの第14回Leadership Award2011、RCR Ecosystem Award for Mobile Marketing in 2010、MMA’s Award for Outstanding Industry Service in 2004も含む多数の賞を受賞している。

聞き手

鵜尾 雅隆

日本ファンドレイジング協会 代表理事
G8 社会インパクト投資タスクフォース日本諮問委員会副委員長、社会的投資促進フォーラムメンバー、日本ボランティアコーディネーター協会副代表理事、(株)ファンドレックス代表取締役なども務める。JICA、外務省、米国NPOなどを経て2008年NPO向け戦略コンサルティング企業(株)ファンドレックス創業、2009年、寄付10兆円時代の実現をめざし、日本ファンドレイジング協会を創設し、2012年から現職。

モバイル・ギビング財団については、「ファンドレイジング・日本2014」でもお話をいただきましたが、読者の皆さんのためにもう一度ご説明いただけますか。

モバイル・ギビング財団は、米国とカナダで、携帯電話会社の協力を得ながら非営利団体として活動しています。私たちのミッションは、携帯電話の技術を活かしてNPOが新しい寄付者を獲得する手助けをしたり、寄付の手続きを簡便にしたりすることで、社会に貢献することです。私たちはまた、技術者として支援先の「質」を大変重視しています。

 

今おっしゃった支援先の「質」を評価するために、財団の提携先であり、NPO評価機関でもあるBBBワイズ・ギビング・アライアンスの基準を利用されているのですか。

その通りです。当初、財団でも独自の基準を設けていましたが、提携後はBBBワイズ・ギビング・アライアンスの20項目の評価基準を利用しています。さらに、NPO評価機関である同アライアンスの名のもと、NPOの透明性や信頼性を評価することの重要性をより強く訴えています。透明性と信頼性はNPO自身の長期的な継続のためにも不可欠なものですし、支援先の評価が不十分なことによって、寄付者が寄付金の使途に疑念を抱くようなことがあれば、将来的に様々な悪影響が出ると考えるからです。

 

財団を設立されたのはいつですか。

2007年の終わりです。2008年に携帯電話によるテキストメッセージ寄付サービスの提供を開始し、2010年のハイチ地震支援をきっかけに急速に発展しました。ハイチ地震では、多くの著名人がテレビCM等で寄付を呼びかけ、ソーシャルメディアでも広く拡散されたことが、携帯寄付の発展につながりました。あのような緊急事態が起こった時、人々は感情に圧倒され、支援する方法を何とかして探そうとします。財団には、「支援の手助けをありがとう」というお礼の電話が何本もかかってきました。携帯寄付の仕組みがなければ支援できなかったかもしれない人々が、少額でも寄付をすることで、自分の役割を果たすことができと感じたようでした。このような携帯寄付の心理的、感情的な側面は、財団設立時には予想していなかったことでした。

 

どのくらいの数のNPOが、財団の携帯寄付プラットフォームを利用していますか。

財団設立以来、数千ものNPOが財団による認証を受けています。日々、1,500から2,000もの支援キャンペーンが精力的に進められていますし、毎年新たなNPOが参加することでさらに成長を続けています。

 

どのくらいの数の携帯電話会社が、財団の携帯寄付サービスに参加していますか。

米国とカナダのほぼ全ての携帯電話会社が参加しており、98%の携帯電話加入者をカバーしています。残りの2%は小規模な携帯会社の加入者であり、財団の携帯寄付サービスに対応した課金の仕組みがないため、残念ながら参加できません。

 

寄付金から手数料は徴収されるのですか。

携帯電話会社は、寄付金から手数料を徴収しません。寄付金の全額が携帯電話会社から財団に送金され、財団から支援先のNPOに送金されます。なお、寄付の送金後に、NPOには取引手数料が別途請求されます。また、寄付キャンペーンの実施や支援者データベースの効率化のためにNPOと携帯マーケティング会社が締結する契約に伴う手数料も、財団の財源になります。

 

財団の主な財源は、そういった手数料だけですか。

財団の主な財源は3種類あり、手数料はそのうちの1つです。2つ目はNPO認証の際の申込金です。3つ目は、他財団からの助成金や、企業のCSRプログラム実施にかかる契約による収入です。

 

財団を設立するというアイデアをどのように考え出されたのかを教えて下さい。また、このような革新的な寄付の仕組みを実現される過程で、最もやりがいを感じたのはどのような点でしたか。

私たちは技術者として、緊急の事態においてどのような役割を果たすことができるかを常に考えていました。私たちの専門である携帯電話の技術は、寄付に要する時間を短縮し、かつ大規模な展開を可能とするもので、非常に影響力のあるものと思われました。こういったことから、財団の設立に至ったのです。
やりがいを感じた点は、携帯寄付の仕組みがNPOの新規寄付者獲得だけでなく、支援の必要を多くの人々に伝えるという啓蒙にも役立っていることと、支援のプロセスに携帯電話会社の参加を得ることができたことだと思います。

 

今後の展望についてお聞かせいただけますか。

将来に向けての財団の短期的な目標は、より多くのNPOにとって、より適切なテキストメッセージ寄付のプラットフォームを実現していくことです。
長期的な目標は、企業等の協力も得ながら、様々な携帯のプラットフォーム上で、NPOと寄付者が信頼関係を築くための仕組みを構築することです。テキストメッセージはプラットフォームの1つに過ぎません。NPOの活動をより充実したものにするためには、携帯アプリ、携帯広告、携帯ウェブサイト、ソーシャルメディアへとプラットフォームを拡大していく必要があります。携帯は5年ほど前までは、テレビ、パソコンに次ぐ第3の画面と言われていました。それが今では第2の画面、第1の画面と言われるほど急成長をしています。従って、NPOが様々な携帯のプラットフォーム上でメッセージを伝えられる環境を作り、それに対する寄付者の反応と共にソーシャルメディアでも拡散されるようにして、より大きな反響を生み出せるようにしていきたいと考えています。

 

携帯寄付の仕組みは、日本や他のアジアの国々にも拡大し得ると思いますか。

携帯寄付の仕組みは、フィリピンやシンガポールで既に活用されつつありますし、日本にも拡大し得ると思います。国によって携帯のあり方が異なることには注意が必要ですが、より多くの人々が、より長い時間携帯を使うようになってきているのは世界共通です。従って、NPOが様々な局面で携帯の技術を活用する方法を見出す必要があるというのも、世界共通だと考えています。

 

最後に、日本のファンドレイザーの皆さんにメッセージをお願いします。

もし皆さんが現在、ファンドレイジングに携帯の技術を活用されていないのであれば、ぜひ活用を始めて下さい。携帯は、人々が常に持ち歩いて様々な用途に使う個人的なものであると同時に、相手の反応を即座に得ることができる双方向的なものであり、様々なプラットフォームを統合したものでもあります。そのような性質から考えても、また利用者の急増という点から考えても、NPOと寄付者にとって、ますます重要なものとなっていくのは確実だからです。

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