連載第一回「選択する寄付」という新たな寄付のあり方ということが生まれている状況にあっても、次に、どうすれば最適な寄付先を見つけることができるのかということが問題として生まれてきます。
どのように自分に合った寄付先を見つけるのか。その処方箋をまとめてみたいと思います。
「えっ?」と思われたかもしれません。今回のような状況で、これまで自分が応援したことのある団体に寄付するとはどういうことでしょうか。
全国のNPO法人を対象に4月に行われた緊急アンケート(※)では、1,003法人中約8割の団体が新型コロナで活動内容や法人経営に影響が出ると回答しています。新型コロナに関連した事業でなくても、特別な寄付募集キャンペーンをしていなくても、普段応援している団体は困難に直面している可能性があります。そして、それらの団体は、長期化するこのウィズ・コロナの時代にあって、社会に必要不可欠な存在です。そうした団体への寄付は、その団体とって大きなエネルギーとなります。
※「新型コロナウイルスの感染拡大への対応及び支援に関するNPO 法人緊急アンケート」「新型コロナウイルス」NPO支援組織社会連帯(CIS)
新型コロナ関連で寄付する場合、どのような団体が、どのような活動をしているかという情報がまとまっている場所を探すことになります。現時点(2020年6月)で一番分かりやすいのは、クラウドファンディングのサイトです。主要な新型コロナ関連の寄付募集は、READYFOR(レディーフォー)、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)などのクラウドファンディングサイトに掲載されています。
関連するプロジェクトが多数あり、選ぶのが難しいと感じるかもしれませんが、信頼できる寄付先を探すには、金額だけではなく「支援者数」も参考の一つとなります。支援者数が多いプロジェクトは、それだけ信任投票で票を集めていると考えことができるかもしれません。自分の寄付を費用対効果で見るとすると、もう少しで目標達成するプロジェクトを探すのもいいかもしれません。
新型コロナでは、災害時の「義援金(義援金受付団体に集まった寄付金で、被災者一人ひとりに配られる見舞金)」のように分かりやすい寄付先はありません。他方で、民間の力で寄付のプラットフォームを生み出す取り組みが進んでいます。
▶新型コロナ給付金寄付プロジェクト
連携し、医療分野や子どもといった支援したい分野を選んで寄付ができるプラットフォームが立ち上がりました。個別の寄付先団体は、パブリックリソース財団が公募し、選定・助成するモデルです。
▶「47コロナ基金(よんななころなききん)」
全国47都道府県の「地域」を指定して寄付できる仕組みです。ふるさとや地元を応援したい、という人は地域を指定して寄付し、個別の寄付先団体の選定は各地の中間支援団体が担います。
最後に、それでも寄付先が見つけることが難しい方のために、新型コロナ関連で生まれている新たな取り組みをご紹介します。それは「子どもたちに寄付先選定を託す」という取り組みです。
アメリカで生まれて、広がった「 Learning by Giving(寄付を通じて学ぶ)」プログラムの日本版として、原則中高生を対象に、学校単位・希望者単位のグループで実施され、子どもたちが選定した寄付先に寄付されるという仕組みです。これにより、子どもたちの学びや成長、寄付先団体のモチベーションの増大が期待でき、寄付者は子どもたちと寄付先団体からのダブルで感謝が得られます。
▶「寄付先を子どもたちが決める(Learning by Giving)プロジェクト」
いかがでしょうか?この国難ともいえる状況の中で、「選択して支援する」という寄付が広がることは、中長期的にとても大切なことになってくると思います。
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