投稿日:2018年4月24日

【レポート】ファンドレイジングにも効くグラフィックレコーディング ―ファンドレイジング・日本2018で初導入してみて思ったこと

大石 俊輔Shunsuke Oishi
日本ファンドレイジング協会 マネージング・ディレクター

1,560名のファンドレイザーが参加するFRJ2018にてグラレコを初導入!
 
弊協会では、2018年3月17、18日に開催されたファンドレイジング・日本2018(以下FRJ2018)にて開かれた3つのセッションにて、グラフィックレコーディング(以下グラレコ)を初めて導入しました。
 
導入の経緯としては、FRJ2018では同時間帯に10近くのセッションが行われるため、自分の参加するセッション以外の9つのセッションに参加できないことへの対応から、どのような内容だったかがビジュアルで認識できるグラレコの導入を決め、株式会社グラグリッドさんの協力の元、実施することとなったのです。
 
グラレコを導入した3つのセッションはいずれも初日に行われ、描かれたパネルは翌日の閉幕まで多くの参加者からの視線を集めており、参加者にとって大変好評だったことが伺えました。
 

目を引くセッション後のグラフィックレコーディングのパネルたち
 
 
グラレコはイベント(FRJ2018)のコンテンツ価値も高める

一般的に認知度が上がっているグラレコ(会議や議論の内容を同時平行でイラストなどのビジュアルで構造化し視覚的に認識しやすくする手法)ですが、FRJ2018の参加者であるファンドレイザーにとってあまり知られてはいませんでした。レコード用のパネルには、当初多くの参加者が困惑や疑問などを感じていた様子だったからです。
 
しかし、講師や司会から紹介が行われると「おお!」という関心の声があがるなど、参加者の関心は一機に高まりました。事実、セッション終了時には、レコーダーに記録のコツを聞くなど、相当の関心を惹いていたことが伺えました。終了後、多くの参加者がパネルの周囲に集まり次々と写真に収めていたことからも、グラレコがFRJ2018にとって大変効果的であったことは間違いないと感じました。
 

セッション後に展示されているグラレコの前で足を止めるFRJ2018参加者のみなさん
 
 
ビジュアル化することで課題の構造が理解しやすくなる

このような背景で導入してみたグラレコですが、取り入れてみて思ったことはファンドレイジングの実務でもこのような手法が有効に作用するのではないかということです。ファンドレイジングの実務では、①まずは組織の潜在力の棚卸やマーケットの把握から、実現したい状態・ポジショニングの明確化を行います。そのうえで、②中期計画や財源戦略を練り、③具体的なファンドレイジングアクションに移っていきます。
この三段階のプロセスの中でも、グラレコの手法は特に①や③のステージの業務に効くのではないかと感じました。
 
①では組織内でのコミュニケーションにおいて、自団体が目指すミッション・ビジョンとそこに至るまでのプロセスの全体像が関わるステークホルダー全員ででき、立ち返る際にもビジュアルでイメージがすぐに共有できるという点において優れています。
また、③のステージでは、様々なアクションにおいて支援を募る際に、扱う課題と解決の方向性などが言葉で伝えるよりも直感的に理解できることが有効に働くと思います。ファンドレイジングのコミュニケーションにおいて、右脳(直観的)から左脳(論理的)へというメッセージの投げかけ方が有効だとしている点からも、グラレコがファンドレイジングアクションの現場でも効く可能性は非常に高いと思います。
 
一度、自団体のミッション・ビジョン、課題の構造などを数枚のパネルにグラレコでまとめておくと、組織内外の多様のステークホルダーの理解が促進され、その後のファンドレイジングにも取り組みやすくなるのはないでしょうか。

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Profileこの記事を書いた人

大石 俊輔 Shunsuke Oishi

日本ファンドレイジング協会 マネージング・ディレクター

2008年3月法政大学大学院政策科学研究科修士課程修了。学生時代より、まちづくり、文化芸術分野のNPOでのボランティアを経験。同年4月より特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンターに勤務。2010年6月より現職。2010年日本で初めての寄付白書の編纂で中心的な役割を担うとともに、次世代向けのフィランソロピー教育である「寄付の教室」実行責任者として活躍中。

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