ファンドレイジングとの出会いで、目覚めた
私は、これまで福祉団体でファンドレイジングに関わってきました。その経験の中で、地域に根ざした活動の素晴らしさと信頼感の高さを感じる一方で、行政等からの委託金、助成金というお金に縛られ、本当に地域に必要な活動が、自分たちの意思決定のもとやりずらい局面にも目の当たりにしました。その頃、ちょうど出会ったのが、「ファンドレイジング」です。
ファンドレイジングは、共感をベースに、民間の資金を調達していくことです。そしてそのお金=寄付は、団体のビジョンへの共感や活動への賛同の思いが込められているため、使途が限定的でなく、自由度が高いという特徴があります。
それに気づいた時、本当の意味で、地域を元気にする福祉を実現するためには、「寄付」というお金が必要だと強く思うようになりました。そして、その思いが日に日に強くなり、COMMNETを設立しました。そのビジョンは、「10年以内に、日本において『お金がないで諦めない福祉』を実現する」です。
8 割以上が公的資金の福祉団体と、8 割以上が寄付金の国際協力NGO
地域では、繋がりも発信力もあるのが、社会福祉協議会です。こどもから高齢者まで「すべての人が住み慣れた地域社会で安心した暮らし」を実現するために、介護サービスの提供や地域ボランティアの紹介、イベント、広報誌など発行など幅広く、地域住民に寄り添った活動をしています。
そのため、財源を見てみると、介護サービスによる事業収入、補助金・委託金という公的な資金が8割以上を占めている状況です。
その一方で、国際協力NGO(図は、国境なき医師団・日本)の財源を見てみると約9割が民間からの寄付、とりわけ個人からの寄付ということがわかります。これは、国際協力NGOとして、ビジョンに基づいた、独立性と中立性を保ち、迅速な活動を行うために、自由度の高い資金をその活動の資源としているということです。もちろん、そのために、徹底的に分析を行い、ファンドレイジング計画を着実に行っているのです。
ただ、地域と深いつながりを作ることができているかというと、人員も限られていることなどもあり、そうでもない現実もあります。グローバルな課題は、地域住民には、我が事として捉えにくく、また知ってもらう機会を作りづらいという状況もあります。
そこで、地域住民と近い関係である福祉業界と、ファンドレイジング力のある国際協力NGOが連携することで、より地域の人に、地域の困りごとから、グローバルイシューまでを知ってもらうことができるのではないか、寄付者が、より多様なNPOから寄付先を選べるようになるのではないか、信頼できるファンドレイジングを福祉業界ができるようになると、地域の人が寄付やNPOをより身近に感じてもらうきっかけとなり、寄付に対する考え方を変えてもらうきっかけになるのではないかと思い、この「NGO/NPO・地域福祉団体 寄付文化醸成及びファンドレイジング連携プロジェクトモデル事業」をスタートしました。
日本の寄付文化の醸成のために、今、できることを
これまで、日本ファンドレイジング協会が実施している寄付の調査「寄付白書」でも、寄付の動機は、お願いされたからというのが上位にあります。私は、寄付も恋愛も似たところがあると思っています。それは、顔が見える関係性になることで、お互いへの理解が深まっていくのではないかということです。
NGO/NPO・地域福祉団体 寄付文化醸成及びファンドレイジング連携プロジェクトモデル事業 調印式の様子
今後は、このプロジェクトを通じて、お互いの団体を行き来しながら、戦略的なファンドレイジングの考え方はもちろん、具体的に、地域でのイベントへのブース出展、プレスリリース、インナー広報、ファンドレイジングを担う人材の確保などすべてを学び合い、お互いに高め合う関係性を強くしていきたいと思っています。また、他の地域での展開も、計画をしていますので、この連携を全国に広めて、日本の寄付文化を醸成していきたいと考えています。
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