「法人寄付を増やしたい」、そう思うのは、寄付単価が高いからでしょうか?今回の記事では、NPOが企業と連携することの価値について語りたいと思います。
以下の図は、私が所属する認定NPO法人フローレンス(以下、フローレンス)で実際に行ったワークショップでまとめたものになります。縦軸を“寄付金/使役/物資”とし、横軸を“一時的/継続的/イベントベース”にグループを分け、それぞれの支援で得られるモノ・コトは何か、チームメンバーとともに洗い出しました。
企業と連携すると何が得られるのかを洗い出し、その結果を、さらに以下のように分類しました。
私たちは、限られた予算から、「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」ために、多くの人に社会問題そのものを知ってもらうための広報を行い、そして、フローレンスの活動に共感と信頼を得た結果として、寄付を獲得しています。法人からの寄付は、資金的な支援だけでなく、そうした広報活動そのものへの協力を得ることができるのです。
前回の記事でもご紹介した通り、企業は、社会的な課題の解決と企業の競争力向上を同時に実現するCSV(共通価値の創造 Creating Shared Value)への関心が高まっています。企業は、本来主軸に考える「いかにお金を生み出すか」「いかにお金を守るか」「いかにリスクを管理するか」という軸を社会貢献と同時に実現していこうと考えています。
一方、NPOは、「いかにお金を生み出すか」「いかにお金を守るか」「いかにリスクを管理するか」を考えて、非営利活動を取り組んでいるわけではありません。
この違いをふまえて、企業と連携していく必要があります。
環境に優しい商品であるか?生産段階に労働搾取や環境破壊の問題は含んでいないか?食品ロスは少ないか?消費者の意識が高まる中、自社の利益だけを追求する時代は終わりました。どの企業も、消費者に選ばれるためだったとしても、本気で社会をより良くしていこうと取り組んでいます。
ですが、企業の本来のミッションはシェア拡大であり、そのためのスキルを持っています。一方、私たちNPOは、よりよい社会を作るために、あらゆるステークホルダーと協力し合う強みを持っています。
企業の強みと、NPOの強みをかけ合わせ、シナジー効果(相乗効果)を出す。
私たちNPOにとって、企業は「多額の寄付や様々な支援をしてくださる寄付者」ではなく、互いの強みを持ち合わせて、社会をより良くしていく強靭なパートナーなのです。
次号では、法人寄付を戦略的に集めていくためには、どのようなことをすると良いのかについてお話します。
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