ファンドレイジング・日本2013、オープニングセッションでのスピーチをありがとうございました。早速ですが、セイラーさんが所属しておられるファンドレイジングスクールについて教えていただけますか?
ファンドレイジングスクールは、ファンドレイズを学び続けたい人のためのトレーニングプログラムを実施しています。これらは学位を授与するものではありません。より実践的で専門的な実践トレーニングを受けるコースです。既にファンドレイズの効果的な方法を実践している経験者も多く参加しています。アメリカ各地で授業を実施しているので、一般的な大学のカレンダーに沿ったものではありません。生徒の多くが休暇をとってやってきます。また、アメリカ国内だけでなく世界中でも教鞭をとっています。例えば、3月末にはオーストラリアの団体と合同での授業があります。
ファンドレインジグスクールでは、今までに何名ほどのファンドドレイザーが誕生したのですか?
ファンドレイジングスクールは、ハンク・ロッソによって1974年に創設にむかって動き出しました。その1974年から今まで、およそ32,000~35,000名がプログラムに参加しています。私たちはニューヨークとサンフランシスコで同時にプログラムを実施し、1987年にフィランソロフィーセンターとして正式に授業を開始しました。興味深いことに、ファンドレイジングスクールは、セラピーのようなものでした。なぜなら、ハンク・ロッソが持っていた夢とビジョンは、学問的なリサーチや理論研究、事例研究を通した大学のプログラムとは異なるものだったからです。と同時に、学問的なポイントも必要です。本当の学びは、学術課程担当者を雇用後、1990年代から始まったと言えるでしょう。初めての学位授与は1994年でした。その数年後、PHD(博士号)が生まれ、つい2年前に学士課程を作りました。ですので、今では、学士、修士、博士号の課程があります。
その期間で学ぶことは可能なのでしょうか?
そう思います。また、10年程前に、フィランソロフィーの本拠地、我々独自の学校を大学内に作ることを考えました。独立した学校となれば、学生は正式に学位をとることができます。今現在、私たちはフィランソロフィースクールとして正式な学校となりました。今世界中で仕事をする過程の中にいますから、これから常に変わっていくことでしょう。
私は2004年にファンドレイジングスクールの修了書を取得しました。そのために、インディアナポリスやサンフランシスコなどでのクラスに参加しました。そこでは、学習素材の内容だけでなく、雰囲気にも感銘をうけましたし、そこにはファンドレイザーとして経験を積んだたくさんの人が参加していました。さらに多くのことを学ぶのにとても刺激的な場所であったと思います。
私たちのコースに来る人々はファンドレイザーという仕事を既に経験、もしくは成功した人々で、彼らは自分自身の実践経験から更なる成功を育むためにきています。
とても興味深いことがありました。あれは、インディアナでの授業を始めたばかりの頃、スイスで15年もファンドレイズを仕事としていた方が、クラスに出席されたことがありました。私たちは彼になにを伝えることができるかと少し不安がありました。が、プログラム終了後、彼はこう言いました。「私は15年もファンドレイザーとして仕事をしてきましたが、今回私が学んだこと全てがつじつまが合い、意味をなしています。」
私は、“今まで5年とか10年とかファンドレイズを経験してきたが、ここで何かを学ぶことができますか?”と問われると、それこそ私たちが提供していることですよ、と彼の話を伝えています。
オープニングセッションで話してくださったポイント『学びつづけること』。ファンドレイジングにとって学び続けることが重要だというこのメッセージは、おそらくセイラーさんの経験からきたものかと推察します。ファンドレイザーとして既に経験している人々も、学び続けることから、何かを得ることができるのですね。
このポイントはいつまでたっても変わらないでしょう。新しいものや変化していくもの、また差異などを学べます。世代間の差や、期待している点が異なるなどのいろいろな場があるからこそ、常に学ばなければならないのです。
では、ファンドレイザーとしてのあなたの経験から得た、最も重要な信念は何ですか?
より良い聞き手であることです。支援者と組織が何を憂い、何に関心があるか、そしてあなたの特定のNGOはその関心・興味に対して何を届けられるのかという点に対し、敏感に反応しなければなりません。組織は財政的な資金を求め、その問題を解決するための要員としてファンドレイザーを必要とします。だからこそ、NGOの話をするだけではなく、支援者の話を聞くことが重要だと思います。
では、良い聞き手になるには、どのような姿勢が大切だと考えられますか?
良い聞き手になるには、そうなろうという意思が必要です。そしてまた、働き者であることが必要です。ファンドレイジングには、この仕事に自ら関わろうとする情熱が必要です。ですから、良い聞き手であろうとするには、働き者であろうとするその意思が大切です。ファンドレイズの過程を管理しようとするほど、時間もかかるし、仕事も増えます。
では、少し話を変えましょう。セイラーさんは、ファンドレイジングスクールにおいて、ファンドレイズ教育の発展のために必要なものは何だと考えられますか?
重要な理論を主眼に置くこと、また、過去の事例を研究することが重要だと思います。多くのファンドレイズトレーニングは事例について学ぶものです。これは私たちが仕事上で学んだことであり、経験が示すことです。私たちが実施しているようなプログラムが成長するということは、リサーチにより信頼できるものとなった事例が重要になりうることを指し示しています。今後、今まで以上に、大学でのファンドレイズやフィランソロフィーの学位やその取得者が必要になるでしょう。将来は、経験だけでは充分ではなくなるかもしれません。
今回始めて東アジアにいらして、日本のファインドレイザーの集まりについて、どのような印象を持ちましたか?
参加者の増加には目をみはるものがあります。日本だけでなく韓国からもその成功や経験を取り込もうとしていますね。将来性が非常に高いです。
それでは、最後に日本のファンドレイザーにメッセージをお願いします。
オープニングセッションでのお話を繰り返すことになりますが、自分自身が成長し続けること、学びつづけることが非常に重要です。毎日毎日、アップデートしていってください。
(聞き手 日本ファンドレイジング協会 鵜尾雅隆)
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