投稿日:2021年1月21日

オンライン化によって期待される地域のコミュニティの役割とは|北海道チャプター共同代表からのレポート

牧 伸介Shinsuke Maki
認定ファンドレイザー
日本ファンドレイジング協会 北海道チャプター共同代表

日本ファンドレイジング協会が年に一度開催する「FRJ」。寄付・社会的投資に関する最新動向、非営利組織の資金調達に関する事例などが紹介される日本で唯一のファンドレイジングのカンファレンスだ。2019年に開催した際には、全国から1,600名を超える人が会場に集まったが、今年は、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、初のオンライン開催で実施された。8日間に渡り、全81のセッションがライブ配信やオンデマンドによって提供され、1,500名以上が集まったという。北海道からも、30名以上の参加があり、実際に参加した方からの話を聞くと、オンデマンド機能によって、ライブで参加できなくても後日視聴ができたり、何度も見返すことにより学びを深められたと、オンラインのメリットを十分に享受できたと言える。私個人も、多くのセッションを受講し、興味あるセッションは数回見直すことができた。学びを深め、参加者同士がつながるネットワーキングを、オンライン上で展開していく上には、まだ見えぬ課題もあるかと思うが、情報が中央に集中し、地域から“生きた情報”にアクセスしにくいという懸念は、一気に解消される。特に、コロナ化においての活用の期待は大いにある。

日本ファンドレイジング協会は、2014年にチャプター制度を開設した。チャプターとは、日本ファンドレイジング協会の会員やファンドレイジングに関心のある方々が「地域」という枠や、「福祉・大学」といった専門領域毎に集い、知識や経験を持ち寄り、つながりを深めていくためのもので、各チャプターで勉強会や交流会などが開催されている。2013年に、関西在住の3人の認定ファンドレイザーが自ら立ち上げた「ファンドレイジング研究会・関西(関西チャプターの前身)」を起点として、現在では11のチャプターが活動している。

▸地域チャプター【北海道・東北・関西・東海・静岡・中国・九州】
https://jfra.jp/chapter

▸テーマ別チャプター【アート・福祉・大学・グローバル】
https://jfra.jp/chapter-theme

私は、有志とともに、北海道チャプターの立ち上げに関わり、現在、共同代表をつとめているが、今年はコロナ化でチャプターメンバーが集まる機会を持つことができなかった。ファンドレイジングを学ぶための研修は、上段のFRJ同様、オンラインで受講できるようになったため、北海道からも新たなファンドレイザーの資格者は誕生した。しかしその間、一度も対面で会うことができず、新たな仲間が誕生しても、同じ地域の中でも、つながりにくい。今後、コロナが収束してもオンラインの利便性、優位性を考え、積極的に導入されていくだろう。そのときの、地域のコミュニティのあり方は、どうなっていくのか。どのような有機的な価値が求められ、そして、つくることができるのか。再構築する必要性があるのではないだろうか。

地域において、ファンドレイジングはそのエリアの持続的な未来を考えるための一つの重要なツール(手段)となり得る。そして、ファンドレイザーは、地域の様々な資源や人を共感によってつなげ、より良くしていくためのファシリテートの役割を担っている。その集合体であるチャプターのコミュニティはどんな役割を担っていくのか、そのあり方が問われている。北海道の場合は、特に、様々なバックグラウンドをもったメンバーがファンドレイジングという切り口のもとに集合している。だからこそ、地域の未来をともに共有しあいながら、推進していけるのではないかと思う。

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Profileこの記事を書いた人

牧 伸介 Shinsuke Maki

認定ファンドレイザー
日本ファンドレイジング協会 北海道チャプター共同代表

東京都生まれ。北海学園大学、広告代理店を経て札幌市でSP,マーケティングのコンサルティング業務を20年間行う。
2012年より非営利の社会的組織による地域再生を目指しコンサルティング活動を開始。

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