無料 投稿日:2015年12月24日

【寄付月間Giving December連載】学生チームが聞く寄付最前線 ロート製薬株式会社

「子どもたちに夢を捨ててほしくない。」寄付月間賛同パートナーであるロート製薬株式会社様は、これからの日本をつくっていくのは子どもたちだという想いを胸に、次世代支援活動に積極的に取り組んでいらっしゃいます。その想いに迫るべく、広報・CSV推進部部長の河崎保徳様に取材させていただきました。

■ロート製薬さまの社会貢献に対する考えをお聞かせください。

わたしたちはいま、CSV推進部という部門を立ち上げたばかりです。
私は、CSVとはビジネスと世の中に役に立つという想いが同じ方向を向くことだと考えています。

近年CSVという、本業を通して社会・人々に貢献するための活動が企業の社会貢献の一環として広がっています。これから日本には人口減少社会が到来します。その中でわたしたちは、目薬、胃腸薬、外皮用薬をはじめとする一般消費財を取り扱っているので、人口が減少していく中では、放置しておくと売上の減少に直結していきます。
わたしたちは創業から115年、これまで1世紀以上お客様に支えられてきました。皆さまに社会的に認められているという価値を活かして、本業が人々にどのように役に立っているのか、そしてもっと役に立つことができる方法はないのかを常に考え続けています。
ビジネスと世の中に役に立つという想いが同じ方向を向くことで、社員は会社をもっと好きになることができるだろうし、その想いが社会のために何か新しいことを行なう時の創造性につながり、お客様に喜びを提供することができる。この循環を生み出していきたいと考えています。

■その社会貢献の中で、「次世代支援」を一つの軸に掲げられていますが、その想いについてお聞かせください。

ロート製薬が事業活動の使命として「次世代支援」を大切にしているのは、1995年に発生した阪神淡路大震災と2011年に発生した東日本大震災が大きなきっかけとなっています。ロート製薬は本社を大阪府に置いており、阪神淡路大震災が発生したときには社屋も被害を受け、何人かの社員は被災もしました。そして、10年が経って神戸市の町は復興しましたが、地元の若者が神戸を離れてしまっている状況を目の当たりにしました。その時に「町をつくるのは子どもたちなんだ」ということに気づきました。

ロート
河崎保徳氏 ロート製薬(株)広報CSV推進部。2011年3月、震災復興支援室室長として被災地入り。

■その経験が現在の次世代支援活動につながっているんですね。

はい。阪神淡路大震災を通して、復興とは子どもを叱るお母さんの声が聞こえる、楽しく走り回る子どもの姿を見ることができるというような、その地元で暮らす人々が幸せな生活を送ることができる環境に戻ることであり、10年・15年先のまちの未来をつくるには若者がその地元で暮らすことが大切であると考えました。

私は、東日本大震災が発生した際、「足りないものはなんでも送る。製薬会社であることを忘れて、子どもたちに夢を捨てさせないようにしてほしい」という経営陣の想いを背に受けて、3年間復興支援室の室長として被災地で過ごしました。

被災地入りして感じたことは、子どもたちが高校を卒業したあとの大学への進学や専門学校への進学に対する支援が非常に薄いということでした。被災地では両親、あるいはいずれかの親を亡くした子どもたちが1700~2000人いるといわれています。進学をあきらめる学生も少なくない中、町をつくるということには、その町にいろんな職業に従事している人々がいることが大切です。
そこで、わたしたちは異業種の会社と共同で「みちのく未来基金」という子どもたちの進学を長期的に支援する基金を設立しました。
※公式HP:http://michinoku-mirai.org/

■みちのく未来基金について詳しくお聞かせください。

「みちのく未来基金」とは、震災で両親またはどちらかの親を亡くした子どもたちが、高校卒業後の大学・短大・専門学校に進学を支援するための基金で、震災当時0歳時だった子どもが卒業するその日まで、25年間活動をしつづけていきます。すべては、これからの東北、日本をつくる子どもたちが夢を捨てずに前に進み続けるためです。また、この基金の設立を通して約700社の企業と4000名以上の個人の方々が支援してくださっており、業界の垣根をこえた支援の輪が広がっていることを実感しています。

■みちのく未来基金を通して、これまで300名をこえる子どもたちとの出会いがあるとうかがいましたが、印象に残っているエピソードはありますか。

これまで出会った子どもたちのみんなにエピソードがあります。その中でも私が印象に残っている学生を紹介します。
その学生(以下、彼女)は、東日本大震災を通して両親を亡くし、妹を亡くし、おじいちゃんおばあちゃんを亡くし、ひいおばあちゃんまで亡くしました。震災発生から2日は、家族を探しに行くことを止められていたのですが、次の日居ても立っても居られず約20km避難所を転々とし、その道中食べ物もなく、せめて空腹をまぎらわそうと道端に落ちていたものを食べるくらい、家族を探すことに明け暮れたそうです。

そんな経験もあってか、彼女は将来栄養士と教員の資格を取得し、子どもたちに食べて栄養をとることの大切さを教える先生になりたい、と私に語ってくれました。彼女は農業を営んでいた両親と食事の好き嫌いをめぐって震災前日までけんかしていた日々が幸せだったんだということに気づき、食事のありがたみを痛切に感じたというのです。

■子どもたちと接するときに大切にされていることはありますか。

逆にわたしたちは、子どもたちにたくさんのことを教えてもらっています。その中で私が子どもたちに言い聞かせているのは、夢を諦めないこと、そして仲間を大切にするということです。
夢を諦めさせないようにするのはわたしたちの役目ですが、夢を掴むのはその子どもたち自身です。ですので、必要以上に関与せず、優しさと厳しさをもって支えるようにしています。
また、子どもたちにはどうしてもつらい経験を思い出してしまう瞬間があります。そんなときの子どもたちの特効薬は、医者や医薬ではなく、やっぱり仲間です。目標を見失って辛くなったときに、同じ経験を共有する仲間と助け合うことが大切で、わたしたちはその応援ができればと考えています。

■寄付などを通した社会貢献活動を行なっていく中で、今後どのような姿を目指していきたいとお考えでしょうか。

まずは、ロート製薬という会社が世の中の痛みをわかる社員の共同体として構成されていたいと考えています。社員が「社会に対して自分にできることは何があるのか」を考え続け、そして行動をおこすことは必ず本業に通じるものであると考えています。

その一環として、ロート製薬では「ロートかるがも基金」という社員有志による積立基金を社内で設立しています。ひとり毎月1口390円の寄付をいただき、会社からの支援を合わせたものを原資として、社会に必要とされる活動に役立てています。このように、社員の社会に対する想いを社内の仕組みを通して汲みとるような活動も実施しています。

■最後に寄付月間の賛同パートナーとして、寄付月間への期待をお聞かせください。

この寄付月間が、これまで寄付をしてきた方々にとっても、どんな気持ちで寄付をしてきたのだろうと自分で振り返ることができる良いいいきっかけになるのではないかと考えています。
寄付という行為を促進するだけではなく、寄付をしている人の気持ちを引き出していろんな人と話してみたり、寄付する意味を考えて伝えてみる月間になるといいなと思っています。

ロート2
現地でのエピソードを熱心に語っていただき、会社の利益追求だけではなく東北、そして日本の未来を背負う子どもたちを「育てる」というロート製薬様の気概を強く感じました。
( 写真はロート製薬(株)広報・CSV推進部 吉田氏(左)、学生チーム(中央)、河崎氏(右) )

■本日はありがとうございました!

(聞き手:寄付月間学生チーム 松岡 蒼大・高山 捷太)

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