
「資金調達に課題はある。だけど、なかなかファンドレイジングに取り組む一歩が踏み出せない」―そんな声をよく耳にします。
本シリーズでは、実践プログラムに取り組んだ団体とファンドレイザーの皆さまにご協力いただき、現場で得られた成果や学びを紹介します。実際の体験談が、これから挑戦する団体やファンドレイザーにとって大きなヒントとなり、必要とする活動に必要な資金が届くチャレンジが、さらに広がっていくことにつながればと思います。
___プログラムへの参加を決めた背景には、どのような課題や想いがあったのでしょうか?
認定NPO法人夢職人では、困窮家庭への食支援事業「Table for Kids」を運営しています。
物価高騰の影響で支援を求める家庭が急増する一方、資金調達が追いつかず、支援をお断りせざるを得ないケースが増えていました。
職員は4名。専任のファンドレイザーもおらず、マンパワーの不足を感じていましたが、「どうにかしなければ」という想いで模索を続けていました。
そんなときに出会ったのが「ファンドレイジング実践プログラム」でした。職員間、理事への確認を経て参加を決断しました。
7ヶ月間という限られた期間だからこそ、あれもこれもではなく「法人寄付の開拓」に絞って取り組むと決めました。事前相談でメンター(戦略伴走者)からも「やる価値がある」と背中を押され、このテーマで挑戦する覚悟が固まりました。
___その後、どのように進めていかれましたか?
まず、毎週木曜の夕方に1〜1.5時間の定例ミーティングを設定し、半年間欠かさず実施しました。必要に応じて追加の打ち合わせも行い、常に進捗を共有できる体制を整えました。
初回のキックオフでは、ファンドレイザー・メンターとともに中間・後半の目標を明確化し、実践の中で柔軟に軌道修正をしながら、着実に進めていきました。
法人寄付の開拓に向けて取り組んだことは、主に以下の通りです。
また、メンターから定期的に客観的なアドバイスを受けながら、戦略的に活動を進めました。
___半年間のプログラムを通じて、どのような成果や学びを得られましたか?
法人営業に関する施策に取り組んでいたため、定例ミーティングに向けて、企業への問い合わせなどの実務を毎週進めていました。時期によってばらつきはありますが、平均をすると週8時間ほどをプログラムに充てていたと思います。
半年間の目標は「春までに500万円のファンドレイズを達成すること」。結果として、その目標を見事に達成し、うち約半分が法人寄付でした。さらに、ファンドレイザーの提案をきっかけに助成金にも応募し、採択されるという成果も得られました。
さらに、プログラム終了後も団体内で継続できるよう、寄付開拓のマニュアルを作成し、ボランティアも含めた体制づくりを進めました。
実践を通じて強く感じたのは、「あれもこれも」ではなく、仮説を立てて一点集中することの大切さです。また、共感を育むためには、支援現場や利用者の声を定期的に共有し、寄付以外の側面でもファンドレイザーとつながることが大切だと学びました。
一方で、対面のミーティングをもっと早い段階で実施していれば、より深い信頼関係が築けたのでは、という反省もあります。今回の経験を糧に、今後は団体内のファンドレイジング力をさらに高め、共感を軸とした法人連携を広げていきたいと考えています。
本プログラム担当ディレクター 岩元 暁子からの一言
夢職人さんの取り組みから伝わってくるのは、「戦略に集中することが組織を強くする」という手応えです。限られた人数・時間の中でも、焦点を絞り、外部ファンドレイザーの視点を取り入れることで、着実な成果と新しい仕組みづくりが進んでいきました。
実践の積み重ねが“できる”という確信につながり、次の挑戦を生む。このプログラムの価値は、まさにその循環を生み出せることにあると感じています。
組織としてファンドレイジングの強化を目指す方へ
【連載記事】7ヶ月間の実践の現場から ~ファンドレイジング実践プログラム参加レポート
愛媛大学医学部編: https://jfra.jp/fundraisingjournal/6552/
志塾フリースクールラシーナ編:https://jfra.jp/fundraisingjournal/6566/
夢職人編:https://jfra.jp/fundraisingjournal/6568/
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