投稿日:2025年12月5日

【夢職人編】7ヶ月間の実践の現場から ~ファンドレイジング実践プログラム参加レポート

ファンドレイジング実践プログラム」は、資金調達に課題を抱える団体と、有資格ファンドレイザーがチームを組み、7ヶ月間の実践に取り組むプログラムです。専門家による戦略レビューを受けながら、100万円以上の資金調達を目指すプロセスを通じて、資金面だけでなく組織と事業そのものの成長を目指します。

「資金調達に課題はある。だけど、なかなかファンドレイジングに取り組む一歩が踏み出せない」―そんな声をよく耳にします。

本シリーズでは、実践プログラムに取り組んだ団体とファンドレイザーの皆さまにご協力いただき、現場で得られた成果や学びを紹介します。実際の体験談が、これから挑戦する団体やファンドレイザーにとって大きなヒントとなり、必要とする活動に必要な資金が届くチャレンジが、さらに広がっていくことにつながればと思います。

取材協力:横山 優さん(認定NPO法人夢職人 副理事長):2024年度チャレンジ団体
(聞き手)日本ファンドレイジング協会 ディレクター 岩元 暁子

「法人寄付に一点集中」。小さなチームが戦略で動いた半年

___プログラムへの参加を決めた背景には、どのような課題や想いがあったのでしょうか?

認定NPO法人夢職人では、困窮家庭への食支援事業「Table for Kids」を運営しています。
物価高騰の影響で支援を求める家庭が急増する一方、資金調達が追いつかず、支援をお断りせざるを得ないケースが増えていました。

職員は4名。専任のファンドレイザーもおらず、マンパワーの不足を感じていましたが、「どうにかしなければ」という想いで模索を続けていました。
そんなときに出会ったのが「ファンドレイジング実践プログラム」でした。職員間、理事への確認を経て参加を決断しました。

7ヶ月間という限られた期間だからこそ、あれもこれもではなく「法人寄付の開拓」に絞って取り組むと決めました。事前相談でメンター(戦略伴走者)からも「やる価値がある」と背中を押され、このテーマで挑戦する覚悟が固まりました。

___その後、どのように進めていかれましたか?

まず、毎週木曜の夕方に1〜1.5時間の定例ミーティングを設定し、半年間欠かさず実施しました。必要に応じて追加の打ち合わせも行い、常に進捗を共有できる体制を整えました。

初回のキックオフでは、ファンドレイザー・メンターとともに中間・後半の目標を明確化し、実践の中で柔軟に軌道修正をしながら、着実に進めていきました。

法人寄付の開拓に向けて取り組んだことは、主に以下の通りです。

  • 既存支援企業へのヒアリングを実施(ファンドレイザーも同席)
  • 新規企業リストの作成とメール文面の作成・送付
  • 法人向けイベントの開催とアンケート設計
  • 商談対応や資料作成など、実務面での協働

また、メンターから定期的に客観的なアドバイスを受けながら、戦略的に活動を進めました。

「一点集中」が導いた成果。資金と仕組み、両方を手に入れた半年

___半年間のプログラムを通じて、どのような成果や学びを得られましたか?

法人営業に関する施策に取り組んでいたため、定例ミーティングに向けて、企業への問い合わせなどの実務を毎週進めていました。時期によってばらつきはありますが、平均をすると週8時間ほどをプログラムに充てていたと思います。

半年間の目標は「春までに500万円のファンドレイズを達成すること」。結果として、その目標を見事に達成し、うち約半分が法人寄付でした。さらに、ファンドレイザーの提案をきっかけに助成金にも応募し、採択されるという成果も得られました。

さらに、プログラム終了後も団体内で継続できるよう、寄付開拓のマニュアルを作成し、ボランティアも含めた体制づくりを進めました。

実践を通じて強く感じたのは、「あれもこれも」ではなく、仮説を立てて一点集中することの大切さです。また、共感を育むためには、支援現場や利用者の声を定期的に共有し、寄付以外の側面でもファンドレイザーとつながることが大切だと学びました。

一方で、対面のミーティングをもっと早い段階で実施していれば、より深い信頼関係が築けたのでは、という反省もあります。今回の経験を糧に、今後は団体内のファンドレイジング力をさらに高め、共感を軸とした法人連携を広げていきたいと考えています。

本プログラム担当ディレクター 岩元 暁子からの一言

夢職人さんの取り組みから伝わってくるのは、「戦略に集中することが組織を強くする」という手応えです。限られた人数・時間の中でも、焦点を絞り、外部ファンドレイザーの視点を取り入れることで、着実な成果と新しい仕組みづくりが進んでいきました。
実践の積み重ねが“できる”という確信につながり、次の挑戦を生む。このプログラムの価値は、まさにその循環を生み出せることにあると感じています。

組織としてファンドレイジングの強化を目指す方へ

ファンドレイジング実践プログラム(先着4団体・2025年12月19日(金)締切)

有資格ファンドレイザーの伴走のもと、7ヶ月で100万円以上の資金調達に挑戦する団体向けの集中プログラムです。(詳細はこちら

連載記事に登場していただいた夢職人の横山さんと、団体に伴走したファンドレイザーのリアルトークイベントを12月9日に開催します。(詳細はこちら


夢職人・横山さんとのリアルトークイベント

【連載記事】7ヶ月間の実践の現場から ~ファンドレイジング実践プログラム参加レポート
愛媛大学医学部編: https://jfra.jp/fundraisingjournal/6552/
志塾フリースクールラシーナ編:https://jfra.jp/fundraisingjournal/6566/
夢職人編:https://jfra.jp/fundraisingjournal/6568/

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