投稿日:2025年5月22日

NPOと高校生が協働すると社会はどう変わる?ー高校生CFOが新たな可能性を探ります!【第2章・NPOとの対話】

髙田 結愛Yua Takada
日本ファンドレイジング協会 CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)

NPOと高校生(U18世代)の繋がりを強化し、協働の機会を増やすことで、より多くの若者が社会課題の解決に関わることができるのではないか。そんな仮説を検証するために、5つのNPOの皆さんにお話を伺いました。(前回の記事はこちら


認定NPO法人こまちぷらす 理事長・森 祐美子さん(写真左)へのインタビュー

それぞれの団体さんが、大学生をインターンとして受け入れた経験はありましたが、U18世代の場合は、団体の運営に関わるというよりは、ボランティアなど一過性の関わりにとどまっているようでした。

お話の中から、U18世代との協働にはいくつかの課題があることが分かってきました。

インタビューにご協力いただいた5つのNPOの皆さん(五十音順)

・NPO法人アジア・コミュニティ・センター21(以下ACC21)(アジア地域を中心とした若者の支援)
・認定NPO法人エンパワメントかながわ(暴力のない社会の実現を目指し活動)
・認定NPO法人こまちぷらす(親子の居場所づくりを支援)
・認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(全国のこども食堂を支援)
・NPO法人日本補助犬情報センター(補助犬ユーザーへの相談業務や補助犬に関する啓発活動)

ご協力いただいたNPOの皆さんに、この場をお借りして心より感謝いたします。

NPOとU18世代が協働する価値はどこにあるのか

U18世代と協働する上での課題として、NPOの方々から「育成の難しさ」が挙げられました。

若者は社会経験が少なく、活動の進め方がわからないことも多い。ゼロから育成するにはNPOの人手が限られており、十分なサポートが難しいという現実がありました。

活動時間が放課後や週末に限られてしまう場合がほとんどのU18世代の受け入れが、時にNPOにとって大きな負担となりうることも指摘されました。

このような課題を抱えながらも、NPOがU18世代と協働する価値はどこにあるのかを、私なりに考えてみました。

活動の総量が増える |U18世代が社会課題解決に関わることで、取り組みに注がれるエネルギーが増し、より多くの変化を生み出す可能性があります。

若者の声が社会に届く|新しい世代が関わることで、これまで拾いきれなかった意見や視点が反映されるようになり、より包括的な社会づくりにつながります。

活動の質が向上する|若年層ならではの視点が、NPOの活動の改善にも貢献します。たとえば、こども食堂では高校生が関わることで、こどもたちにとって親しみやすい環境が生まれることもあります。

協働のための環境整備が必要

U18世代がより主体的に活動に関わるための環境整備も重要です。

たとえば、むすびえさんでは、中高生がこども食堂を立ち上げるためのマニュアルを作成されていました。NPO側も、U18世代との協働を歓迎する姿勢を持ちながら、実際の関わり方を整えていく必要があるのかもしれません。

また、「若者を受け入れたい気持ちはあるものの、迎え入れ方がわからない」とお話ししてくださった日本補助犬情報センターさんは、活動拠点や定期的なイベントがないため、若者に知ってもらうきっかけが少ないとおっしゃっていました。


NPO法人日本補助犬情報センター 専務理事兼事務局長・橋爪 智子さん(写真右)へのインタビュー

NPO側の若者人材へのニーズが、若者たちに届くための仕組みづくりも必要だと感じました。

『みんな』の中には、U18もいる

そして、今回のNPOの方々との対話を通して、共通して感じた大事なポイントは、

U18世代との協働は、社会の多様性を補うために必要なこと
だということです。

「『みんな』の中には、U18もいる」(こまちぷらす・森さん)

「社会はいろんな人の集まりだから、それを支えるNPOの組織内も多様であるべき」(むすびえ・三島さん)

「関わる人は誰でもいい。その『誰でも』の中にU18もいる」(エンパワメントかながわ・阿部さん)

これらの言葉からも、U18世代を特別なカテゴリーとして捉えるのではなく、社会の一員として、活動に参加して当たり前なのだという気持ちが大切だと感じました。

U18世代だからこそ持っている視点

アジア地域を中心とした若者の支援に取り組むACC21さんは、「アジアの若者たちと共に100のチャレンジをつくる」という目標を掲げ、社会課題に対して参画する若者を増やしたいという想いを明確に示されています。

これは、アジアの若者への支援を行う上で、日本の若者が行動することが効果的であることが理由だとお話してくださいました。

U18世代だからこそ持っている力や視点もあります。その価値を活かすことで、社会の活力がさらに高まるのではないかと感じました。

お互いのニーズを共有しあえる仕組みづくりを

NPOの方々との対話を通して、NPO側から見たU18世代と協働する価値や難しさを知ることができました。

これまで、「若者」にこだわって考えていましたが、「『みんな』の中には、若者もいる」という視点を持てたことは大きな変化でした。また、U18世代と協働することの魅力もNPOの皆さんに少しはお伝えすることができたのではないかと思います。

NPOとU18世代が、お互いのニーズを共有しあえる仕組みづくりに尽力していきたいと思いました。

【連載記事】NPOと高校生が協働すると社会はどう変わる?ー高校生CFOが新たな可能性を探ります!
はじまり編:https://jfra.jp/fundraisingjournal/6334/
第2章・NPOとの対話:https://jfra.jp/fundraisingjournal/6381/
第3章・U18世代との対話:https://jfra.jp/fundraisingjournal/6403/

Commentsコメント

Profileこの記事を書いた人

髙田 結愛 Yua Takada

日本ファンドレイジング協会 CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)

小学4年生でフィリピンに短期留学した際に、物乞いをする子どもたちを目の当たりにし、「貧困」を課題として認識する。中学1年生からボランティア部に所属し、貧困など様々な社会課題に対するアクションを考える中、2022年にケニアのストリートチルドレンに関する「正確な」情報を、アフリカ布「キテンゲ」を使用した商品の販売を通して啓発する「Daisy Days for Kenya」プロジェクトを創設。現在は、遠くの国の課題をジブンゴトとして捉えるきっかけづくりと、現地のニーズに合わせた最適な支援について、日本と途上国双方にインパクトを与える活動を模索している。

会員限定コンテンツを読むために

ファンドレイジングジャーナルオンラインを運営する「日本ファンドレイジング協会」とは?

より良い記事をお届けするために、
皆さまからのご意見をお寄せください

※いただいたご意見には全て対応できない可能性がございますので予めご了承ください。