NPOと高校生(U18世代)の繋がりを強化し、協働の機会を増やすことで、より多くの若者が社会課題の解決に関わることができるのではないか。そんな仮説を検証するために、5つのNPOの皆さんにお話を伺いました。(前回の記事はこちら)
認定NPO法人こまちぷらす 理事長・森 祐美子さん(写真左)へのインタビュー
それぞれの団体さんが、大学生をインターンとして受け入れた経験はありましたが、U18世代の場合は、団体の運営に関わるというよりは、ボランティアなど一過性の関わりにとどまっているようでした。
お話の中から、U18世代との協働にはいくつかの課題があることが分かってきました。
・NPO法人アジア・コミュニティ・センター21(以下ACC21)(アジア地域を中心とした若者の支援)
・認定NPO法人エンパワメントかながわ(暴力のない社会の実現を目指し活動)
・認定NPO法人こまちぷらす(親子の居場所づくりを支援)
・認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(全国のこども食堂を支援)
・NPO法人日本補助犬情報センター(補助犬ユーザーへの相談業務や補助犬に関する啓発活動)
ご協力いただいたNPOの皆さんに、この場をお借りして心より感謝いたします。
U18世代と協働する上での課題として、NPOの方々から「育成の難しさ」が挙げられました。
若者は社会経験が少なく、活動の進め方がわからないことも多い。ゼロから育成するにはNPOの人手が限られており、十分なサポートが難しいという現実がありました。
活動時間が放課後や週末に限られてしまう場合がほとんどのU18世代の受け入れが、時にNPOにとって大きな負担となりうることも指摘されました。
このような課題を抱えながらも、NPOがU18世代と協働する価値はどこにあるのかを、私なりに考えてみました。
若者の声が社会に届く|新しい世代が関わることで、これまで拾いきれなかった意見や視点が反映されるようになり、より包括的な社会づくりにつながります。
活動の質が向上する|若年層ならではの視点が、NPOの活動の改善にも貢献します。たとえば、こども食堂では高校生が関わることで、こどもたちにとって親しみやすい環境が生まれることもあります。
U18世代がより主体的に活動に関わるための環境整備も重要です。
たとえば、むすびえさんでは、中高生がこども食堂を立ち上げるためのマニュアルを作成されていました。NPO側も、U18世代との協働を歓迎する姿勢を持ちながら、実際の関わり方を整えていく必要があるのかもしれません。
また、「若者を受け入れたい気持ちはあるものの、迎え入れ方がわからない」とお話ししてくださった日本補助犬情報センターさんは、活動拠点や定期的なイベントがないため、若者に知ってもらうきっかけが少ないとおっしゃっていました。
NPO法人日本補助犬情報センター 専務理事兼事務局長・橋爪 智子さん(写真右)へのインタビュー
NPO側の若者人材へのニーズが、若者たちに届くための仕組みづくりも必要だと感じました。
そして、今回のNPOの方々との対話を通して、共通して感じた大事なポイントは、
「社会はいろんな人の集まりだから、それを支えるNPOの組織内も多様であるべき」(むすびえ・三島さん)
「関わる人は誰でもいい。その『誰でも』の中にU18もいる」(エンパワメントかながわ・阿部さん)
アジア地域を中心とした若者の支援に取り組むACC21さんは、「アジアの若者たちと共に100のチャレンジをつくる」という目標を掲げ、社会課題に対して参画する若者を増やしたいという想いを明確に示されています。
これは、アジアの若者への支援を行う上で、日本の若者が行動することが効果的であることが理由だとお話してくださいました。
U18世代だからこそ持っている力や視点もあります。その価値を活かすことで、社会の活力がさらに高まるのではないかと感じました。
NPOの方々との対話を通して、NPO側から見たU18世代と協働する価値や難しさを知ることができました。
これまで、「若者」にこだわって考えていましたが、「『みんな』の中には、若者もいる」という視点を持てたことは大きな変化でした。また、U18世代と協働することの魅力もNPOの皆さんに少しはお伝えすることができたのではないかと思います。
NPOとU18世代が、お互いのニーズを共有しあえる仕組みづくりに尽力していきたいと思いました。
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