投稿日:2015年12月1日

【寄付月間Giving December連載】学生チームが聞く寄付最前線 コモンズ投信編その1

寄付月間賛同パートナー・共同事務局であるコモンズ投信株式会社は、個人向け投資信託を生業とする株式会社。そんなコモンズ投信が、なぜ社会起業家を支援したり、寄付文化をより広く知ってもらうための寄付月間に賛同しているのでしょうか?学生チームが体当たりで会長の考えを暴きました。

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未来に向けて学生でも少額から積み立てを行うことができるファンド、コモンズ投信。その売り上げの約1パーセントを社会起業家に寄付する、コモンズSEEDCapとは?

参考:http://park.commons30.jp/2015/09/seedcap.html (SEEDCapのしくみ:コモンズ投信公式ブログより)

金子:コモンズ投信(以下コモンズ)は「コモンズSEED Cap」を行っていますが、今一度コモンズの寄付・社会貢献活動について教えてください。

渋澤会長(以下渋澤):まずコモンズ投信自体は一口3000円から毎月積み立てられるファンドです。それを持続的な価値創造の可能性が高い30社に厳選して投資しますというのがポイントです。別に3000億円を投資してもらってもいいのですが(笑)

金子・谷口:(笑)

渋澤:どちらかというといわゆる一般の家庭や学生さんといった「ふつうの方々」がわたしたちのお客様です。信託報酬というのがわたしたちの収入源になるのですが、その税引き前の年間1.15%が直接販売する場合、わたしたちの収入になります。そしてさらに、そのコモンズの収入のうちの1%にあたる金額をコモンズSEEDCapに充てています。

大きな組織の決断ではなく、個人の価値判断に任せたい。

渋澤:もともとは、コモンズの前に立ち上げたシブサワ・アンド・カンパニーの仕事の関係で、アメリカのファンドと仕事を始めたときに行ったのがSEED Capです。その時のファンドの投資家は機関投資家、つまり銀行や保険会社でした。

(※以前のSEED Capについての詳細はこちら:http://www.jcie.or.jp/japan/cn/seedcap/

この時はかなりプログラムの規模があったのですが、残念なことにリーマン・ショックの時に全て解約されてしまいました。「個人的にいいファンドだと思っているけど、会社の方針で解約せざるを得ない。」と言われてしまって。

その時に、個人の言うことは信じるけど、会社の言うことは信じるのをやめよう、と思ったんです。

金子:なるほど、個人の価値基準をより重視するようになったと。

渋澤:個人は投資額が少額でも、自分の判断で投資をしてもらうことがプログラムの持続性につながるのではないかと思ったのです。

TEDexをヒントに、コモンズ起業家フォーラムの形式に隠された工夫と仕掛け

渋澤:以前は機関投資家向けのプログラムだったので、何人かが助成先の選考委員会に入ってもらえば社会起業家たちとの接点をもつのは簡単だったのですが、一般個人の方々でも参加意識が高まるように社会起業家と接点を持ってほしいと思っていました。

そこで、毎年10月に社会起業家フォーラムを行うようになりました。このきっかけは、ファンドを立ち上げた2009年に招待されたTEDexで受けた衝撃にあります。

TEDではスピーカーがほぼ言葉のみ、質疑応答なしで、休憩時間をとって全員で対話の場所を作るということにとても興味を持ちました。だから起業家フォーラムでは持ち時間7分で、パワーポイントなしの言葉だけで行ってもらうことにしました。

毎年11人がスピーカーとして登壇してもらい、それから過去を含めた登壇者の中から最終候補者3人に絞り、最終的に1つの団体をSEEDCapの助成先として選びます。

第7回社会起業家フォーラムの様子(Youtube : Commons TVより):https://www.youtube.com/watch?v=wcc3bB3MBcc

実際の推薦メールの紹介(コモンズ投信公式ブログより):http://park.commons30.jp/2015/06/seedcap630_29.html

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コモンズSEEDCapは、社会起業家のポテンシャルへの投資、つまりそれがコモンズ投信の設立理念にある「世代を超えられる投資」。

渋澤:コモンズ投信の設立理念は「世代を超えられる投資」です。働いている人の30年後、そのさらに30年後を考えた時に目先の生活ではなく未来に対する蓄えが大切だと考えています。

そこで、「今日よりもよい明日」を目指すために投資だけでなく社会起業家も応援しているというわけです。

わたしにとっての社会起業家の定義は、そこに社会課題があるときに、自分で立ち上がる人だと思っています。その形態は、株式会社でも、個人でも、NPOでも構わないのです。

そういう人たちに寄付する時に、「人」を助成したいと思って、SEEED Capでは寄付金の使途は特に縛っていません。基金の寄付金などは活動には使えるけれど、運営に使えないことが多いので、すべて社会起業家本人に任せています。広報でも、人件費でもなんでもいいんですよ。

つまり、その人の活動のポテンシャルに出資しているということです。

寄付で投資したことっていつ・どのように戻ってくるかは分かりづらいですから。

経済的な投資はすごく分かりやすくて、金利や配当や株の値などがあります。でも、社会的課題に対して活動していると、なかなか数値化できないことが多いですよね。子供の笑顔って数えられないし…ほんとの笑顔ってなんだろう、とかね。

寄付も投資も、未来への「期待」。投資はリターンが可視化されていて、寄付は見えないから何も戻って来なくていい、というわけではない。

渋澤:とはいえ、本来投資したら何かを還元されることが前提です。だから、寄付だから後はしらないよ、ということではなく、自分には直接戻ってこなくても、子どものために「今日よりもよい明日」を還元されるという「期待」ですよね。投資だって元本保証とかって話はもちろんありますが、必ず戻ってくるわけではないから、「期待」にお金を出しているわけです。だから数値と時間軸という観点では違うけれど、寄付は投資である、そんなに違わないものだと僕は思っています。

ですので、SEEDCapは僕からしたら本業です。立ち上げのときの精神、やりたいことをやっていたらこうなったというだけですね。

~その2に続く~

(インタビュー:寄付月間学生インターン 金子瑞葉)

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