特集やコラム、実践者へのインタビューなど
社会貢献に関する記事を日々更新しています!
みなさんはじめまして、順天高校3年の大原亜里咲と申します!
普段は、高校生活を送りながら東京都板橋区にある多世代のコミュニティスペース「陽ちゃん家」でボランティアをしています。
私は約1年前に「寄付先を子供たちに託すプロジェクト(Learning by Giving)」に参加しました。
実際に私が参加した、寄付先を子供たちに託すプロジェクト(Learning by Giving)についてはこちら
今回はそのご縁から、私が興味を持っている「地域社会のコミュニティづくり」について、2つの団体に取材を行いました。
そして取材後、課題点やインタビューで得た知見を元に、「地域社会を活性化させるための多世代参加型イベント」の企画を考案し、多くの人がさまざまな地域の多世代コミュニティに参加するきっかけになってほしいと考えています。
具体的には、
の3つを今回と次回の2回に渡った記事で紹介していきます。
今回の記事では、「私が住む市町村(埼玉県川口市)でのコミュニティの取り組みのインタビュー」と「多世代のコミュニティ(東京都板橋区の多世代のコミュニティースペース「陽ちゃん家」)についてお話ししていきます。
まずは、私の住む埼玉県川口市で地域のボランティア活動の支援を行い、地域福祉を推進している「川口市社会福祉協議会 かわぐちボランティアセンター」の副所長である後藤さんに話を伺ってみました。
【主な業務】
主な活動としてはボランティア活動の推進や、社会的に困っている人を助ける活動、地域のために何かを立ち上げたい・取り組みたいと考える人の支援などを行っている。基本的には『市民のみんなと地域福祉をどうやって進めるか』というのを考えているとのこと。
【埼玉県川口市のコミュニティづくりの現状】
『ひとりぼっちにしない地域づくり』と『安心できる居場所づくり』を目標に地域づくりを進めている。
具体的には「地域福祉・ボランティア活動推進事業」と「生活支援体制整備事業」があり、
前者はこども食堂の支援や、サロン活動や居場所づくり活動(パパ・ママ・こどもなどを対象にしたコミュニティ)といったコミュニティづくりを行っている。
後者は高齢者の介護予防のために地域活動の場所を提供することで、高齢者の生きがいとなり、介護予防につながるそうだ。
【地域の特徴と問題点】
1番の問題点は「孤立」だそうだ。
川口市は東京と比較した際に土地が安くベッドタウンとなっており、人口61万人だが人の出入りが多い。例えば上京してきた夫婦が川口に家を購入し、こどもを授かり、その後夫が都心の仕事へ行ってしまうと奥さんは『孤立』してしまう。
また、8050問題などが地域課題として挙げられている。18歳までは学校や民生委員との連携、70歳以上の高齢者は全員調査で「孤立」を把握することが可能である。しかし、その中間層の年代は把握が難しくなり「孤立」してしまうケースが多いとのこと。
現在はその対策としてLINE相談・YouTubeでの動画作成などを模索し、気軽な相談を可能にする施策を考えているそうだ。
【これからの目標・ありたい姿】
今後の目標は「多世代が交流出来るコミュニティをつくる」こと。
現在は、多世代が交流出来る拠点づくりを行う前段階として、公民館で、短時間・不定期の居場所づくりを行っております。
今後は、老人ホームの交流スペースに地域交流拠点が設置される予定。24時間ずっと人が滞在している老人ホームなどは、夜中に虐待などから逃げるこどもたちのかけこめる場所にもなるため、地域交流拠点として絶好の場所であったそう。
また、最終的には空き家などを借りて、コミュニティの場を毎日開きたいとのこと。
二人目は、私が多世代のコミュニティづくりのボランティアでいつもお世話になっている特定非営利活動法人ドリームタウンの理事である佐々木さんに話をお伺いしました。佐々木さんは、地域コミュニティづくりにも造詣が深いため、一度詳しくお話をお聞きし自身の知見を深めたいと考え、取材をお願いしました。
【N P O法人「ドリームタウン」(佐々木さんが理事を務めている団体)の活動】
東京都板橋区で多世代共生型の地域交流拠点の運営を行なっている。
具体的には、
の3つを運営し、活動しているそうだ。
【NPO法人ドリームタウンの目標(ミッション)について】
① 自分に合った場を選べるように、コンビニの数くらい居場所のある地域社会を促進する。
② 地域の人と人を繋いで小さなイノベーションをつくる。
③ 社会起業家によって運営される街をつくる。
を3つを軸とし、活動を行っている。
【地域(東京都板橋区)の特徴と問題点】
板橋区の地域の特徴として人口の半分が一人暮らしということが挙げられるとのこと。その中でも65歳以上の一人暮らしが増加傾向にあり、平成30年のデータでは3万6千人にものぼるそうだ。そのため単身高齢者の方が孤立しやすいという問題点があり、N P O法人ドリームタウンではその対策も考慮しながら活動しているそう。
更に、多世代コミュニティ運営の具体例として、現在、私がボランティア活動でお世話になっている板橋区宮本町の多世代コミュニティ『陽ちゃん家』について、詳しくお話を伺った。
【板橋区宮本町のコミュニティスペース『陽ちゃん家』について】
まだ立ち上げから1年ほどしか経っておらず、様々なことを手探りで進めているそうだ。
例えば『陽ちゃん家』がある地域は一戸建ての住宅が多く、一人暮らしの高齢者も多い。そのため、そういった家族連れや高齢者が集まれる場所になれば良いと考えているが、コミュニティのメインターゲットを高齢者に絞るか、地域全体(青少年や子供)に向けるか、方向性を模索しているそうだ。
それゆえ、色々な形のイベント(子供受けが良く、高齢者も参加しやすい)を企画・実行中なのだそう。
例:ミニ縁日、ハロウィンパーティー、料理作りパーティー(タコ焼き・豚汁・ジャムなど)、スマホ教室、体操教室、etc…
【『陽ちゃん家』の課題と解決策について】
◯課題について
大きく分けて「知名度」「資金面」「人材面」という3つの課題が挙げられるそうだ。
まず「知名度」という部分について、立ち上げからまだ1年ということもありまだ地域に浸透していないということがある。特に高齢者はコロナウイルス感染拡大で、人が集まりづらいことも影響しているそう。
加えて「資金面」について、資金が限られているので、運営していく上で難しいこともあるそうだ。特に『陽ちゃん家』は一年ほど使われていない空き家だったため、掃除や準備を全て自分達で行わなければならず、立ち上げるまでが、大変であったそう。
そして「人材面」は、まだコミュニティを自主的に運営してくれる担い手が中々いないということがあるそう。佐々木さん達は『陽ちゃん家』を「場を提供し地域の人々が実際につくり上げる拠点にする」ということを目標に活動しているが、まだそういった人材がいないというのが現状だそうだ。
◯解決策について
まずは、知ってもらうことを最優先に対策を打っているそうだ。
認知度を高めるため、イベントなどのチラシを地域の様々な場所(区役所、板橋区ボランティアセンター、社会福祉協議会、お年寄り相談センター、アイキッズ(学童保育)など)に、配り、貼っているそうだ。
また情報発信力もある学生ボランティアの人にも来てもらうことで居場所が明るくなり、活性化するとともに、多くの人に知ってもらうきっかけになるそう。
【佐々木さんがコミュニティ作りにかける想いと今後のビジョン】
◯佐々木さんの想い
同世代だと困り事・悩み事が同じである場合が多いが、世代の違う人が出会った時に、困っていることが誰かが経験したことだったりする。
そのため、多世代が集まると化学変化が起こり、解決策が考えやすくなったり、さらに地域ならではの解決が出来たりする。そういった「地域の中で役割をもつことができる」というのが多世代の良さであるとおっしゃっていた。
◯今後のビジョン
高齢者と子育て世代を合体させることで家族のようになれる発想から、地域全体が家族になれると感じている。多世代の世代のコミュニティというより、地域社会で家族のような役割ができるようになれば、とおっしゃっていた。
今回は、私が普段ボランティアでお世話になっている東京都板橋区の多世代のコミュニティスペース「陽ちゃん家」を運営しているN P O法人「ドリームタウン」の佐々木さんにインタビューを行いました。
様々な視点からコミュニティを考えている佐々木さんのお話は学びが多く、とても勉強になりましたが、特に印象に残っているのが、
「そこに住んでいる人たちがどういう人達かによってニーズや色が変わってくる。それに合わせて拠点も意味合いで変えていけばよいのではないか」という佐々木さんの言葉です。私はつい成功事例を他のケースに当てはめて、自分の想いを重視して考えてしまいがちです。ですが、佐々木さんの言葉で様々な人の想いやニーズ、地域特性を考慮し進めていくことが大事なのだと改めて実感することができました。
次回は、実際にインタビューし学んだことや気づいたことを詰め込んだ企画を考案する予定ですので、是非ご笑覧くださいませ!
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