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社会貢献に関する記事を日々更新しています!
日本ファンドレイジング協会(JFRA)では、自身と社会とのつながりや社会貢献について学んでいく、ワークショップ型の出張授業として「社会貢献教育プログラム」を展開しています。研修プログラムを修了された全国170人のファシリテーターの皆様と一緒に、2010年の発足以来、これまで16,000人以上の方々にお届けしてきました。
本稿では、「寄付の教室」、「社会に貢献するワークショップ」の2つのプログラムを中心に総括してご紹介します。(カードゲームfromMeの24年度実績については、こちらを参照ください)
実施件数:13件 参加者数:485人 新規修了ファシリテーター数:13人 |
特徴的だった点として、次の3点をご紹介します。
1) 地域登録からの波及
2024年度は、教育プログラムの普及を目的に、宮城県・埼玉県・滋賀県の3つの都道府県の教育委員会および民間の教育関連ウェブサイトへのプログラム登録を行いました。これにより、登録情報をきっかけとした新たなプログラム提供の機会が生まれ、地域での実施が実現しました。特に民間サイト経由の問い合わせから具体的な導入につながった事例もあり、情報発信の重要性を再認識する結果となりました。また、宮城県では、県内で実施されたプログラムに教育委員会の担当者が実際に足を運んで、現場の様子を確認いただき、県内で実施予定の教育プログラムの説明会へのお声がけをいただくなど、地域との接点が深まりつつあります。こうした取り組みが、今後さらなる地域展開の土台となることが期待されます。
プログラム掲載先
2024年度は、例年多い高校生向けに加え、未就学児、大学生、大人と、より幅広い世代へのプログラム提供を実現しました。プログラム自体には大きな変更を加えていないものの、対象年齢に応じて情報量や内容の伝え方を工夫することで、各世代の理解や関心を引き出すことができました。例えば、未就学児には視覚的な要素や体験を重視した構成を、大学生や大人には社会的背景や専門的な視点を加えるなど、柔軟な対応を行いました。こうした年齢に応じた調整により、同一のプログラムが多様な層に届く可能性を広げ、今後の展開に向けた新たな示唆を得ることができました。世代を超えて関心を持ってもらえることは、私たちの取り組みの意義や価値を再確認する機会にもなりました。
これまでも、関心を持った高校生や大学生が事例発表やインターンとして関わる機会が多くありましたが、2024年度には新たな一歩として、高校生自身がファシリテーターとなる事例が生まれました。12月にプログラムを修了した高校生が、その後、同世代に向けた発信やイベント運営などに積極的に関わり、自らの言葉でメッセージを伝える存在として活躍しています。
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年齢の近い高校生が自分の言葉で発信することで、参加者にとって大きな刺激となり、より深い共感や関心を引き出すきっかけにもなっています。「なぜ、社会貢献に関心を持ち、この場で発信しようと思ったか」、「私がここで話すことが皆さんに届いてアクションにつながったら嬉しいなと思うことは・・」自らの言葉で社会とのつながりやこれを自身が発信する意味も含めて寄付に対する思いを伝える高校生ファシリテーターの誕生は、プログラムの可能性をさらに広げる出来事であり、今後の展開においても重要な役割を担ってくれることが期待されます。(ファシリテーターのインタビュー記事は次号でお届けします)
当会がこの社会貢献教育プログラムの活動を始めて15年目を迎えました。これまでに3つのプログラムで延べ16,000人を超える参加者と出会い、170人のファシリテーターとともに、幅広い世代へ学びの場を届けてきました。そうした積み重ねの中で、2024年度にはfromMeが本格的に始動し、新たな広がりが生まれています。
また、令和4年度に高校で「公共」が必修化されてから4年目となる2025年度は、大学生のほとんどが「公共」の授業を経験した世代となります。社会や他者との関わりをどう捉え、行動につなげていくか―私たちのプログラムが果たす役割も、より重要になってきていると感じます。
全国にこのプログラムを届けるという目標は、まだ道半ばです。だからこそ今、あらためて私たちはプログラムの意味や価値を問い直しています。そして、その問いの先にある未来を、2025年度以降、皆さんとともに築いていきたいと願っています。
今年度も多くの方々に支えられ、さまざまな地域・世代へと活動の幅を広げることができました。なかでも印象的だったのは、ある寄付者の方からいただいた言葉です。
「これまでの人生で、私自身も多くの人に助けられてきました。社会にはまだまだ多くの課題があると思います。その中には、企業や行政では手が届きにくい領域もあり、NPOだからこそできることがあると感じています。経済的な利益では測れない価値を、別の視点から解決していく取り組みに関わりたい。今の自分にできることは限られているけれど、専門家に託すという意味で、寄付が“つながり”になると考えています。」
こうした思いに支えられて、私たちの活動は続いています。いただいた想いや期待に応えられるよう、来年度も一歩一歩、前に進んでいきたいと思います。
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