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社会貢献に関する記事を日々更新しています!
左から島津先生、古谷さん、赤木さん、淺井さん、小島さん
赤木さん:2年生。子どものころから大のシャープペンシル好きで高校でもそれに関連したトピックで探究を行う。
淺井さん:2年生。メガネが人に与える印象について心理学的観点から探究する。将来は臨床心理士を目指している。
古谷さん:2年生。現在は夜間中学について探究している。1年次には「アシカとアザラシの歩き方の違い」という全く違う分野の探究をしていたことも。
小島さん:3年生。「他者の力を引き出すコミュニケーション」について探究中。韓流アイドルグループのBTSが好きで1・2年次には流行が生まれる要因について探究していた。
竹内:八王子東高校の探究の授業はそれぞれの生徒が自由に自分たちの興味のある分野を探究できるということが特徴的ですが、皆さんは現在、どのような内容の探究を行っているのですか?
古谷さん:私はまだ文理を選択していないので、自分の興味のある分野を探究し、具体化して進路につなげたいと思っています。私は中学2年生のころから夜間中学に興味があったのですが、探究の進め方を学び、2年次に夜間中学の研究を効果的に進めるために、1年生の時には「人の心情をどのように読み取るか」「アシカとアザラシの歩き方の違い」という分野は違えど身近な内容の探究を行いました。夜間中学は校舎数や生徒数の減少に伴い、行政からの支援が減り、教師・生徒の負担が増しています。今は夜間中学の経済的負担を減らし、学びたい人が学べる環境を構築するために夜間中学の知名度をあげる方法を調べています。
赤木さん:僕は小学生のころからシャープペンシルが好きで、最初はそれのための新素材を開発したくて研究者を目指していました。しかし、研究者を目指すよりもシャープペンシルがどのように人々に受け入れられていて、それをどのように売り込むかと言うマーケティングに興味がわいて来ました。今は人々がシャープペンシルに求めている要素を分析し、それに合わせたシャープペンシルを考案するという内容の探究を行っています。さらに余力があればシャープペンシルを設計して実際に3Dプリンターで出力してみたいと考えています。
小島さん:今は「他者の力を引き出すコミュニケーション」について研究しています。現時点では、そもそも他者の力とは何かと言うことから考え始めています。この「他者の力」の定義を決めたうえで、いかにコミュニケーションの中で相手のアイデアや発想を引き出せるかを今後は研究していきたいです。
赤木さん:自分の研究を進めることも大変ですが、最も大変なのは他者の研究に対して鋭い視点をもって質問をすることです。先生には毎回必ず質問をするようにと言われていて、無言の時間を作らないようにしています。でもやっぱり、考えてもなかなか出てこないし、これは皆も分かってくれると思う(笑)
淺井さん:周りの人はとても深い研究をしているので、それに質問をする知識の無さを実感したりします。「こんな基礎的なこと質問して良いのかな」とか、「これは常識なのかなのなどと考えてしまうこともあるので、(質問を)考えるのはとても難しいです。
取材を受ける生徒たちと先生
シャープペンシルについてまとめた赤木さんのプロットシート
小島さん:1年の時は入学してすぐに探究をやることになってとても戸惑ったのですが、探究を進める中で日常のことに疑問を持つようになったりとか、今後の探究をどのように進めるか考えるようになりました。同時に、自分で調べたり知識を増やそうと思うことが多くなったので、2年生になったときに自分の探究も進めやすくなったし、他の人に質問もしやすくなりました。
現段階では、探究のテーマを見つけてそれをリサーチクエスチョン(RQ)として具体化している段階だということです。そのため、プロットシートも探究の成果そのものよりも、そのリサーチクエスチョンに至った過程がマインドマップなどの方法で示されています。これをもとに夏休みから文献調査などを開始し、2学期以降に本格的に探究を進めていくということです。生徒さん一人ひとりが関心のあるテーマを軸に、それをマインドマップなどで深く掘り下げていくことで、独自性のあるリサーチクエスチョンが生まれているのだなと感じました。
竹内:この八王子東高校での探究を進めるうえで、先生の役割も非常に重要だと思います。いままで、生徒さんに対して探究についてインタビューを行ってきましたが、先生は今後、探究の授業をどのように発展させ、生徒にはどのような人物になってほしいと考えていますか?
島津先生:まずは、問いを生み出す多様な経験が出来る機会を充実させて、興味関心の幅を広げることです。校外での活動や様々なバックグラウンドを持つ人との対話、本物に触れる機会は、まだまだ充実させることが出来ると思っています。また、高校生は毎日忙しく、教科の学習や行事、部活などに取り組んでいます。そうした数多の経験が、生徒自身の知的好奇心から始まる探究と結びつくことで、「気づき」と「深まり」を実感できるように工夫したいと考えています。
生徒には高校生活の中で高度な成果を出すことを求めているわけではありません。正しい手続きで本質を追求すること、何かを生み出すことに敬意と憧れを持って、時にはその主体となり、またある時には、適切な場面でそのアシストをしたり、求めたりすることが出来る人間になって欲しいと思っています。
以上、八王子東高校で探究活動に取り組む生徒さんと先生へのインタビューでした!それぞれの生徒さんが自分たちの興味の関心軸にそってユニークなテーマで生き生きと探究していたのが印象的でした。先生は「『気づき』と『深まり』を実感できるように」と仰られていましたが、インタビューを終えて、まさにその通りに生徒さんが成長を実感できていると感じました。「無言の時間を作らない」ために、生徒は自ら知識を吸収し、それをアウトプットすることで互いに高め合うことのできる環境こそが、八王子東高校の探究のもっとも注目すべき点でしょう。ぜひ、ここで学んだことを生かして卒業後の進路選択に活かしてほしいですね!
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