Newsお知らせ

【報告】第7回ファンドレイジング研究会

2010.03.11

第7回ファンドレイジング研究会

■社会的認知の低いテーマのファンドレイジング■

報告:徳永洋子(事務局次長)

3月10日、午後6時半から8時半、第7回ファンドレイジング研究会を開催しました。

「ファンドレイジング研究会」は、当協会の会員を対象として、NPOの資金調達改善の事例研究やスキルアップ研修を実施することを目的とするもの。相互の学び合いの環境を担保するために、人数を20名と限定して、参加型で開催することで、ノウハウや知見の集約、共有を図ります。

今回のテーマは、「社会的認知の低いテーマのファンドレイジング」。

難民支援でも、「海外の難民は分かるけど、国内で?」という声に立ち向かって地道に支援を集める努力をした難民支援協会広報部長の鹿島美穂子氏と、犯罪被害者支援という新しい社会的課題の認知を広げて支援の輪を広げる努力をしている全国被害者支援ネットワーク事務局長補佐の奥田江里子氏を講師にお迎えしました。

はじめに、全国被害者支援ネットワークの奥田江里子氏が登壇されました。

全国被害者支援ネットワークは、1998年に設立。1999年に「犯罪被害者の権利宣言」を策定、2004年に制定された犯罪被害者等基本法策定の推進と、2005年犯罪被害者等基本計画の策定に参加するなど、日本における犯罪被害者支援制度の推進役を担われてきました。あわせて、現在、全国47か所にある全国各地の犯罪被害者支援団体の活動を強化するための活動を展開されています。

1
奥田氏は、全国の犯罪被害者支援団体のファンドレイジングの成功例として、「行政との連携」、「企業との連携」、「個人を対象としたもの」の3つに分けて、約20事例ほど紹介されました。街頭キャンペーン時に、啓発のためのチラシだけだと通行人に受け取ってもらいにくいことを解消するために、企業のサンプル製品を「おまけ」として付けて配ることを計画。大企業は敷居が高いことから、顧客サービスセンターに電話して、顧客の一人として活動を話して担当部署に取り次いでもらえた・・・合併で名称が変更される予定の企業をたずねて、店頭で配布している社名入りティッシュの余りそうなものを寄付してもらえた・・・というような、アイディアが紹介されました。また、新しい動きとしては、「寄付型自動販売機」の設置が、犯罪被害者支援についての周知(相談窓口の電話番号周知など)と寄付金獲得の両方に効果が上がりつつあるとのことです。

奥田氏は、全国被害者支援ネットワーク自身のファンドレイジングについても紹介。なかでも、追加で印刷することで様々なチラシをつくることができる、上半分を白紙にした払込票付きのA4用紙には、参加者の皆さんから、「いいアイディアだ!ウチもつくろう!」との声があがりました。

最後に、奥田氏は、ファンドレイジングに大切なのは地道に活動を続けていく努力。「わかってもらえない」と怒ったり嘆いたりせずに支援を募り、支援者にはきちんと感謝をすることだと延べ、発表を終えました。

2
続いて登壇された、難民支援協会広報部長の鹿島美穂子氏は、「そもそも、理解されにくい」ことの本質は何だろうと問題提起。「知られていない」「知らせていない」「知らせたけど退かれてしまう」という3つの要素があると指摘されました。そして、それらを解消する努力をすると同時に、他と比べて難しいテーマだと嘆くのではなく、そもそも自分がその団体で働こうと思い至ったときのことを思い出し、どこに共感してもらえるのかを、よく考えることが重要だと話されました。また、現在支援してくださっている人たちが、なぜ寄付をしてくださったのかを徹底的に考えることも必要だとされました。そのうえで、自分たちの活動に適した方法を考えるといいと述べました。

なお、難民支援協会では、法務省に難民認定を申請中の、不安定な立場と生活を余儀なくされている外国人に対して、その生活費を支援することを行っており、また、そのような活動を行っている団体が非常に少ないことから、難民支援と難民にとって欠かせない団体自体の持続のために、ファンドレイジングは活動の大きな柱の一つだとし、その意識を団体内で共有して、組織一丸となってファンドレイジングに取り組むようにしているそうです。目標額を掲げて、達成したら皆で喜びあうというような職場の雰囲気も大切にしていると話されました。

鹿島氏は、難民支援協会のファンドレイジングについて、団体の初期の段階から今日までの流れを、団体規模の変化、社会の変化と合わせて説明。これぞれのフェイズで、それぞれの状況に応じて、どのような取組みを行ってきたかを話されました。過去の取り組みを振り返りながら、鹿島氏は、活動の初期に資金を一気に拡大することはできなかったが、今となっては、長い時間をかけて資金拡大を図ってきたことが良かったと思うと述懐。そのことで、活動の方向性を見誤ったり、急激に活動を広げすぎて信頼性を失ったりせずに済んだのかもしれないとも述べました。

また、現在のファンドレイジングのための広報については、難民申請中の人は名前や顔を一切出せないことから、当事者のイメージを伝えるのが難しく、それを解消するために、「母国語で手書きしたメッセージ」、「実在感の無い、Aさん、B君ではなく、仮名をつける」、「声でメッセージを紹介する」といった工夫をされているとのこと。支援者拡大には共感を得ることが不可欠であることから、受益者の姿やストーリーを見せるための努力を続けているそうです。

最後に鹿島氏は、お名前の「かしま」でモットーを示されました。
か:考えよう!
し:しつこくやろう!
ま:まわりを大事にしよう!

両氏の講演後、2テーブルに分かれて、講師とともにフリーディスカッションを行いました。各テーブルともに、両団体のファンドレイジングについての細かい質問などが続きました。

3
毎回、研究会では、終了後に「1時間だけ」の懇親会を開催します。この日も、ほとんどの方が参加され、講師を交えて、和やかな交流と、熱心な議論が続いていました。

なお、研究会では、終了後の1週間後の週末に、参加者がオンライン上(ファンドレイジングネット:http://frn.npoweb.jp/ )で研究会を振り返る週末書き込みイベントを行います。

研究会の2時間だけではなく、その後に皆で振り返ることで、さらに学びが深まればということで始めたものです。

研究会は会員限定で開催されるものです。会員となって御参加を希望される方は、こちらから会員申し込みをお願いいたします。
http://jfra.jp/form/sanka.php