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【メディア掲載】<近江と人と>NPOと寄付者 橋渡し

2017.03.06

メディア掲載

読売新聞(3/6)に、認定ファンドレイザーの戸田由美さんのインタビューが掲載されました。

 
以下、転載です。
 
◇認定ファンドレイザー戸田由美さん42
 
 「ワンカット分が欠けたホールケーキを、通常の値段で売り買いする。欠けた分のお金は食糧難に苦しむ世界の子どもたちへ。買って帰ったケーキの姿に驚くわが子には、その理由を教えてやれば、格好の社会貢献教育になる。一切れのケーキが二重の価値を生み出しているんです」
 
 市民活動団体の代表らを前に、寄付集めの成功例を紹介する。そして、持論でもある資金調達の心得を伝える。「相手の心を動かさなければダメ。自分の夢に共感してくれる人の輪を広げ、『私たちの夢』にするのが第一歩」
 
 社会を少しでも良くしたいと考える人たちが集うNPO。目的を達成するには、資金調達が不可欠だ。助成金や企業の寄付を得るだけでなく、社会貢献に関心がある大勢の人々の善意を、寄付行動などに向かわせる必要がある。その橋渡し役が、ファンドレイザー(資金調達者)なのだという。
 
 「資金集めだけでなく、人々の団体に対するファン度、つまり好感度を上げるのも仕事です」と笑う。
 
 認定資格制度が生まれると、全国でわずか16人の合格者1期生となった。寄付集めのプロになる決意をさせたのは、大阪府の交響楽団で働いていたときの苦い経験だった。
 
 「当時の知事の一声で、助成金が大幅に減らされることになり、賛助会員の募集や存続のための署名集め、自分でデザインしたエコバッグの販売など、出来ることは何でもやった」
 
 「他人と違っていても大丈夫」「いつも自分の頭で考えなさい」と、母に言われて育った。「何を描いてもいいわよ」と、部屋の壁の下半分には紙が貼られていたという。そのせいか、絵が好きになり、いつの間にか「頭の中で絵を描いて、ものを考えるようになった」と語る。
 
 言葉やデザインにもこだわる。広告代理店の岡山支社で、顧客を引きつける表現を考え続けた経験も、影響しているのだろう。
 
 ◇いつも全力投球
 
 「住む場所や職場は転々としても、いつも目の前のことに全力投球してきたつもり。その経験すべてが、今の自分につながっているような気がします」
 
 高島市で暮らす今も、関西や東京で開かれるファンドレイジングの研究会へと足を運び、常に知識を磨いている。県内各地で講演する機会も増えた。
 
 最近は、市職員としても、企業や大学と自治体とをつなぐ仕事を任されている。
 
 「異なる集団の間に立ち、相手の立場になって、それぞれの思いを表現する。しかも、絵が目に浮かぶような、心を動かす言葉を見つけて。そんな翻訳者のようになりたいと思っています」(宮明敬)
 
 ◇1974年、高知市生まれ。岡山大学で美術史を学び、広告代理店に勤務。2005年、当時の大阪センチュリー交響楽団に移り、事業経理などを担当する。09年、高島市に移住。市役所勤務のかたわら、13年に「認定ファンドレイザー」の資格を取得し、市民活動団体に助言などを行っている。日本ファンドレイジング協会関西チャプターの共同代表。